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2019/10/2

IDH1遺伝子変異陽性の進行胆管癌でIDH1阻害薬ivosidenibがPFSを有意に延長、OSも延長の傾向【ESMO2019】

森下紀代美=医学ライター

 IDH1遺伝子変異を有する既治療の進行胆管癌患者に対し、IDH1阻害薬ivosidenibは、プラセボと比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)でも良好な傾向を示すことが、国際的な二重盲検フェーズ3のランダム化比較試験ClarIDHy試験から示された。ivosidenibの安全性プロファイルも良好だった。9月27日から10月1日までスペイン・バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのGhassan K. Abou-Alfa氏が発表した。

 IDH1遺伝子変異は、進行胆管癌患者の最大20%に発現し、予後不良と関連する。ivosidenibはIDH1遺伝子変異に対する経口の小分子阻害薬である。

 ClarIDHy試験の対象は、組織学的に確認された進行胆管癌で、中央でNGSによりIDH1遺伝子変異が確認され、ECOG PS 0-1、測定可能な病変がある患者だった。前治療は2レジメン以下で、ゲムシタビンまたは5FUを含むレジメンを含むこととされた。治療は28日を1サイクルとし、ivosidenib(500mgを1日1回投与)またはプラセボを投与する群に、患者は2対1でランダムに割り付けられた。プラセボ群に割り付けられた患者は、画像所見で増悪を認めた場合にivosidenibへのクロスオーバーが認められた。主要評価項目は独立評価委員会(IRC)によるPFS、副次的評価項目は試験担当医の判定によるPFS、OS、奏効率、QOLなどだった。

 2019年1月31日の時点において、185人がランダムに割り付けられ、ivosidenib群124人、プラセボ群61人となった。プラセボ群の57.4%は増悪後にivosidenibにクロスオーバーしている。全対象の年齢中央値は62歳、男性68人、女性117人だった。肝内胆管癌はivosidenib群89.5%、プラセボ群95.1%、前治療が1レジメンの患者はそれぞれ53.2%、54.1%、2レジメンの患者は46.8%、45.9%だった。IDH1遺伝子のR132C変異、R132L/G/S/H変異は、ivosidenib群ではそれぞれ67.7%、16.9%/13.7%/1.6%/0%、プラセボ群ではそれぞれ73.8%、11.5%/9.8%/1.6%/3.3%で認められた。

 IRCの評価によるPFSは、中央値はivosidenib群2.7カ月、プラセボ群1.4カ月、ハザード比0.37(95%信頼区間:0.25-0.54、p<0.001)となり、ivosidenib群で有意に延長した。6カ月時と12カ月時のPFS率は、ivosidenib群ではそれぞれ32.0%、22%となったが、プラセボ群では6カ月以上無増悪だった患者はいなかった。サブグループ解析でも、全てのグループでivosidenib群が優れる結果となった。

 ivosidenib群では部分奏効(PR)が2.4%で得られ、奏効率は2.4%、安定状態(SD)は51%で得られた。プラセボ群では、奏効率は0%、SDは28%だった。

 ITT解析におけるOSは、ivosidenib群で延長傾向がみられた。OS中央値は、ivosidenib群10.8カ月、プラセボ群9.7カ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.44-1.10、p=0.06)となった。6カ月時のOS率は、ivosidenib群67%、プラセボ群59%、12カ月時のOS率はそれぞれ48%、38%だった。

 プラセボ群の半数以上がivosidenibにクロスオーバーしたことを考慮し、RPSFT(Rank-preserving structural failure time)法で調整すると、プラセボ群の6カ月のOSはivosidenib群よりも有意に短く、ハザード比0.46(95%信頼区間:0.28-0.75、p<0.001)となった。

 ivosidenibの忍容性は全般的に良好だった。ivosidenib群で多く観察された治療関連有害事象は、嘔気(32.1%)、下痢(28.8%)、疲労感(23.7%)、咳嗽(19.2%)、腹痛(18.6%)、腹水(18.6%)、食欲低下(17.3%)、貧血(16.0%)、嘔吐(16.0%)だった。グレード3以上の有害事象は、ivosidenib群46.2%、プラセボ群35.6%に発現し、腹水はそれぞれ7.7%、6.8%、ビリルビン上昇5.8%、1.7%、貧血5.1%、0%、AST上昇5.1%、1.7%に発現した。治療関連死はなかった。治療関連有害事象で投与中止につながったのは、ivosideinib群(5.8%)よりもプラセボ群(8.5%)で多かった。

 QOLについては、EORTC QLQ-C30、QLQ-BIL21 Qolのスコアにおいて、ivosidenib群がプラセボ群と比べて身体機能および情緒機能で良好な結果を示した。
 
 今回の結果について、Abou-Alfa氏は「ClarIDHy試験では、IDH1遺伝子変異を有する胆管癌に対するivosidenibの臨床的な関連性とベネフィットを証明するとともに、ニーズがまだ満たされていないこの希少癌において、遺伝子検査の役割を確立するもの」としている。

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