このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2019/10/1

ERBB2遺伝子増幅を確認した進行・再発大腸癌にHER2二重阻害療法が有効な可能性【ESMO2019】

横山勇生=編集委員

 腫瘍組織または循環腫瘍DNA(ctDNA)でERBB2遺伝子が増幅していることが確認された治癒切除不能な難治性の進行・再発大腸癌(mCRC)に対して、トラスツズマブペルツズマブ併用療法が有効である可能性が明らかとなった。腫瘍組織、ctDNAでのERBB2遺伝子増幅確認後にHER2二重阻害の効果を前向きに評価した初めての多施設共同フェーズ2試験であるTRIUMPH試験で、有効性と忍容性が認められた。

 9月27日から10月1日までスペイン・バルセロナで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、国立がん研究センター東病院の中村能章氏によって発表された。

 TRIUMPH試験は現在進行中の多施設共同フェーズ2試験。標準化学療法不応・不耐なmCRC患者でRAS遺伝子が野生型、腫瘍組織でHER2陽性(IHC3+)またはFISH陽性(ERBB2/CEP比が2以上)か、ctDNAでNGS(Guardant360)によりERBB2の遺伝子増幅が確認された患者を対象とした。HER2陽性大腸癌においてRAS変異がHER2標的治療の抵抗性に関わることが過去の臨床試験より知られていることから、RAS遺伝子野生型が対象とされた。

 患者には、3週ごとにトラスツズマブ(初回のみ8mg/kg、2回目以降は6mg/kg)、ペルツズマブ(初回のみ840mg、2回目以降は420mg)が投与された。主要評価項目は研究グループの判定による確定奏効率で、腫瘍組織でERBB2増幅が確認された患者とctDNAで確認された患者の2群で調べられた。期待奏効率は30%だった。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、治療成功期間(TTF)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間 (OS)、安全性などだった。

 最初の効果の評価は2019年1月17日に行われた。7施設で19人が登録され、18人で評価が可能だった。観察期間中央値は5.7カ月(1.2-11.4)。ERBB2遺伝子の増幅が、組織とctDNAの両方で確認されたのが14人、組織のみが3人(ctDNAの結果が得られなかった1人を含む)、ctDNAのみが1人だった。この結果、組織陽性グループ17人、ctDNA陽性グループ15人としてそれぞれ評価された。

 組織陽性グループで6人の確定奏効が認められ、奏効率は35.3%(95%信頼区間:14.2-61.7)だった。病勢コントロール率は64.7%(95%信頼区間:38.3-85.8)。腫瘍部位が右側の患者は1人中1人(100%)で奏効が認められ、左側の患者は16人中5人で確定奏効が認められ、奏効率は31.3%(95%信頼区間:11.0-58.7)だった。病勢コントロール率は62.5%(95%信頼区間:35.4-84.8)。ctDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2 が野生型だった11人については6人で確定奏効が認められ、奏効率は54.4%(95%信頼区間:23.4-83.3)だった。病勢コントロール率は90.9%(95%信頼区間:58.7-99.8)。ctDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2のいずれかに変異があった5人には奏効、病勢安定のどちらもなかった。

 ctDNA陽性グループで5人の確定奏効が認められ、奏効率は33.3%(95%信頼区間:11.8-61.6)だった。病勢コントロール率は60.0%(95%信頼区間:32.9-83.7)。腫瘍部位が右側の患者は2人中1人で奏効が認められ、奏効率、病勢コントロール率ともに50.0%(95%信頼区間:1.3-98.7)だった。左側の患者は13人中4人で確定奏効が認められ、奏効率は30.8%(95%信頼区間:9.1-61.4)だった。病勢コントロール率は61.5%(95%信頼区間:31.6-86.1)。ctDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2が野生型だった11人については5人で確定奏効が認められ、奏効率は45.5%(95%信頼区間:16.7-76.6)だった。病勢コントロール率は81.8%(95%信頼区間:48.2-97.7)。ctDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2のいずれかに変異があった4人には奏効、病勢安定のどちらもなかった。主要評価項目は達成された。

 無増悪生存期間(PFS)中央値は組織陽性グループが4.0カ月(95%信頼区間:1.4-5.6)。ctDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2が全て野生型の患者の中央値は5.6カ月(95%信頼区間:2.8-7.7)、いずれかに変異のあった患者の中央値は1.4カ月(95%信頼区間:0.5-1.8)だった。また、奏効期間中央値は4.2カ月(95%信頼区間:3.8-NR)だった。

 ctDNA陽性グループのPFS中央値は4カ月(95%信頼区間:1.3-5.6)だった。tDNAでRAS/BRAF/PIK3CA/ERBB2が全て野生型の患者の中央値は5.6カ月(95%信頼区間:1.3-6.2)、いずれかに変異のあった患者の中央値は1.4カ月(95%信頼区間:1.2-1.8)。また、奏効期間中央値は4.2カ月(95%信頼区間:3.8-NR)だった。

 最良効果が病勢増悪であった患者のみ、ベースライン時点でのctDNAにKRAS遺伝子、BRAF遺伝子、PIK3CA遺伝子、ERBB2遺伝子の変異が認められた。

 トラスツズマブ、ペルツズマブの安全性プロファイルは、過去に報告されたものと一致していた。

この記事を友達に伝える印刷用ページ