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2019/10/01

早期TNBCの術前・術後療法にペムブロリズマブを加えることでpCRを有意に改善【ESMO2019】

森下紀代美=医学ライター

 早期のトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対し、プラチナ製剤を含む術前化学療法ペムブロリズマブを追加し、術後にペムブロリズマブを投与すると、プラセボと比べて病理学的完全奏効(pCR)率が有意かつ臨床的に意義のある上昇を示し、無イベント生存率(EFS)も良好な傾向を示すことが、フェーズ3のKEYNOTE-522試験の中間解析から示された。同試験は、早期のTNBCを対象として、術前/術後療法としてペムブロリズマブをプラセボ対照のランダム化比較試験で前向きに評価した初の試験となった。9月27日から10月1日までスペイン・バルセロナで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英Barts Cancer Institute、Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が発表した。

 早期のTNBCに対し、術前化学療法とペムブロリズマブの併用は、管理可能な安全性と有望な抗腫瘍効果を持つことが、フェーズ1bのKEYNOTE-173試験などから示されている。

 KEYNOTE-522試験の対象は、新規にTNBC(AJCCでT1c N1-2またはT2-4 N0-2)と診断された、ECOG PS 0または1の患者で、PD-L1の評価のために組織を提出することとされた。患者は、ペムブロリズマブ(200mgを3週毎)またはプラセボを術前化学療法に追加する群に、2対1でランダムに割り付けられた。術前化学療法は、パクリタキセル80mg/m2を週1回、カルボプラチンはAUC5で3週毎またはAUC1.5で週1回投与し、これを4サイクル行った後、ドキソルビシン60mg/m2、エピルビシン90mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2をそれぞれ3週毎に投与し、これを4サイクル行った。根治手術を行った後、術後療法としてペムブロリズマブまたはプラセボの投与を9サイクル、あるいは再発または受容不能な毒性の発現まで継続した。

 主要評価項目は、ITT解析対象において、施設の病理学医が評価したpCR(ypT0/Tis ypN0)、試験担当医が評価したEFSだった。副次的評価項目は、pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性の患者群におけるpCR、EFS、OS、投与した全患者の安全性だった。中間解析は2回行い、初回の中間解析(IA1)は、最初に登録された602人でpCRの主要解析を行い(データカットオフ:2018年9月24日)、2回目の中間解(IA2)では、IA1でpCRが検証された場合はpCRの正式な検証は行わず、EFSを検証することとした(データカットオフ:2019年4月24日)。

 2017年3月から2018年9月までに1174人が登録された。ペムブロリズマブを投与する群に784人(ペムブロリズマブ群)、プラセボを投与する群に390人(プラセボ群)が割り付けられ、ITT解析対象はそれぞれ784人、390人、安全性解析対象は781人、389人となった。追跡期間中央値は、ペムブロリズマブ群15.3カ月、プラセボ群15.8カ月だった。

 IA1におけるpCR率は、pCRの解析が可能だった602人において、ペムブロリズマブ群64.8%(401人中260人)、プラセボ群51.2%(201人中103人)となり、ペムブロリズマブ群で有意に改善した(p=0.00055)。Schmid氏は「臨床的に意義のあるベネフィットとなる13.6%という差が示された」と話した。

 副次的評価項目のpCRも類似する結果だった。ypT0 ypN0の患者のpCR率は、ペムブロリズマブ群59.9%、プラセボ群45.3%、ypT0/Tisの患者のpCR率はそれぞれ68.6%、53.7%だった。

 また、ペムブロリズマブの効果はPD-L1の発現によらずに得られ、PD-L1陽性の患者のpCR率は、ペムブロリズマブ群68.9%、プラセボ群54.9%、PD-L1陰性の患者のpCR率はそれぞれ45.3%、30.3%となった。サブグループ解析でも、効果は一致して認められた。

 IA2におけるEFSは、18カ月の時点でペムブロリズマブ群91.3%、プラセボ群85.3%となった。イベントの発生はそれぞれ7.4%、11.8%、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.43-0.93)だった。ただし、追跡期間が短く、この時点でのEFSは事前に定められた有意性の境界に到達していない。

 安全性は各薬剤の既知のプロファイルと一致していた。術前化学療法に関連するグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、IA2ではペムブロリズマブ群76.8%、プラセボ群72.2%に発現し、いずれかの薬剤の投与中止につながった有害事象はそれぞれ23.3%、12.3%だった。死亡は両群で0.3%に発生した。

 術後化学療法に関連するグレード3以上のTRAEは、IA2ではペムブロリズマブ群5.7%、プラセボ群1.9%に発現し、治療中止につながった有害事象はそれぞれ3.3%、1.3%に発現した。死亡はそれぞれ0.2%、0%だった。

 グレード3以上の免疫介在性有害事象は、ペムブロリズマブ群14.1%、プラセボ群2.1%に発現し、治療中止につながった有害事象はそれぞれ9.5%、2.6%、死亡はそれぞれ0.1%、0%だった。有害長期の安全性の追跡は現在も行われている。

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