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2019/09/30

HER2陽性転移性乳癌に対するペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセルの有効性を国内フェーズ4試験で確認【ESMO2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 HER2陽性転移性乳癌の1次治療として、ペルツズマブトラスツズマブ、ドセタキセル併用療法の有効性は、日本も参加した国際フェーズ3試験で示されているが、国内で実施されたフェーズ4試験COMACHIの結果、日本人での有効性と安全性が確認された。9月27日から10月1日までスペイン・バルセロナで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、大阪医療センター一般外科・乳腺外科の増田慎三氏らが発表した。

 ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセルの有効性と安全性は海外フェーズ3試験CLEOPATRAで示されている。しかし同試験に登録した日本人患者は53人と少なく、試験薬群と対照群の間で患者背景はバランスがとれていなかった。また日本人サブグループ解析における有効性の結果は全体の試験結果と一致しなかった。そこで、有効性と安全性を再確認するため、多施設共同の前向き単群フェーズ4試験COMACHIが実施された。

 COMACHI試験はCLEOPATRA試験と同じデザインで行われた。対象は、手術不能もしくは再発HER2陽性乳癌で、化学療法や抗HER2療法の治療歴がない患者(1回のホルモン治療は許可されていた)。ECOG PS 0/1、左室駆出率(LVEF)50%以上を適格条件とした。

 治療は、3週おきにペルツズマブを初回用量840mg、その後420mgを投与し、トラスツズマブは初回用量8mg/kg、その後6mg/kgが投与された。ドセタキセルは75mg/m2を3週おきに投与した。ドセタキセルは許容できない毒性もしくは病勢進行がない場合は少なくとも6サイクル投与することが勧められた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)と安全性とした。

 2013年11月から2015年9月までに29施設132人が登録された。治療期間の中央値は17.1カ月、観察期間中央値は46.9カ月だった。ペルツズマブとトラスツズマブの治療サイクル数の中央値はいずれも24サイクル(2-86サイクル)、ドセタキセルは6サイクル(1-65サイクル)であった。

 年齢中央値は56.5歳、閉経前の患者が28.8%、ECOG PS 0の患者が87.1%を占め、HER2 IHC 3+が84.1%、内臓転移のある患者が61.4%だった。132人のうち、再発例が49人で、ホルモン治療を除く術前・術後治療を受けていた患者が38人、多くがトラスツズマブ+化学療法だった。

 初回解析(データカットオフ:2018年6月)では、PFS中央値は22.8カ月(95%信頼区間:16.9-34.8)だった。最終解析(データカットオフ:2019年4月)でも、PFS中央値は22.8カ月(95%信頼区間:16.9-37.5)だった。なお、CLEOPATRA試験でペルツズマブ群のPFS中央値は18.7カ月、プラセボ群は12.4カ月であり、COMACHI試験のPFSは95%信頼区間の下限がこの12.4カ月を超えていた。

 サブグループ解析では、年齢(65歳未満、65歳以上)や術前・術後治療の有無、閉経状態などによってPFSに有意な違いはなかった。

 OSについては(データカットオフ:2019年4月)、中央値に到達していない(95%信頼区間:58.9-NE)。なお、CLEOPATRA試験でのOS中央値は56.5カ月(95%信頼区間:49.3-NE)であった。

 また、ドセタキセル投与の影響を見るため、6サイクルで中止した場合と6サイクル以降まで投与した場合を比較したところ、PFSに違いは見られなかった。さらに6サイクルで中止した患者のうち、有害事象や病勢進行で投与を中止した患者を除くと、6サイクルで中止した患者のほうがPFSは良好な傾向があった。ドセタキセルの長期投与は副作用につながるが、6サイクルで投与を中止しても予後には影響しない可能性があるとしている。

 グレード3以上の有害事象は96.2%、重篤な有害事象は24.2%に見られ、試験薬による死亡はなかった。主なグレード3/4の有害事象は、発熱性好中球減少症(31.8%)、好中球減少症(24.2%)、白血球減少症(10.6%)、下痢(4.5%)等だった。新たな安全性の問題は認められなかった。
 
 7人(5.3%)ではLVEFが50%未満に下がり、ベースライン時より10%以上低下し、これはCLEOPATRA試験と同じであった。1人は症候性の心不全を経験した。

 以上の結果から、日本人患者におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセルの有効性と安全性はCLEOPATRA試験で示された有効性と一致しており、HER2陽性転移性乳癌の1次治療として標準治療となることが再確認されたとした。またCOMACHI試験ではCLEOPATRA試験よりも良好な結果が得られているが、これについて増田氏はマネジメントの違いに加え、腫瘍量が少ない段階で癌が発見されている可能性もあると述べた。

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