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2019/9/11

進行扁平上皮NSCLCの1次治療でアテゾリズマブを化学療法に追加してもOSの有意な延長は得られず【WCLC2019】

森下紀代美=医学ライター

 進行扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)に対する1次治療として、抗PD-L1抗体アテゾリズマブをカルボプラチン+nab-パクリタキセルに追加しても、化学療法のみと比べて全生存期間(OS)の有意な延長は得られないことが、フェーズ3のIMpower131試験のOSの最終結果から明らかになった。ただしPD-L1高発現の患者では、臨床的に意義のあるOSの延長が得られる可能性が示された。9月7日から10日までスペイン・バルセロナで開催された2019 World Conference on Lung Cancer(WCLC2019)で、米Rocky Mountain Cancer CentersのRobert Jotte氏が発表した。

 IMpower131試験の対象は、IV期の扁平上皮NSCLCで、化学療法未治療、ECOG PS 0または1の患者で、免疫組織化学染色法(IHC)によるPD-L1の発現状態は問わなかった。

 登録された1021人は、次の3群に1対1対1でランダムに割り付けられた。A群では、アテゾリズマブ1200mg、カルボプラチンAUC6、パクリタキセル200mg/m2を3週毎に投与、B群では、アテゾリズマブとカルボプラチンを3週毎、nab-パクリタキセル100mg/m2を週1回投与、対照のC群ではカルボプラチン+nab-パクリタキセルを投与し、4または6サイクル行うこととした。その後、A群とB群では維持療法としてアテゾリズマブを投与し、C群では支持療法のみを行い、臨床的なベネフィットの消失または疾患の増悪まで継続した。主要評価項目は、ITT解析対象集団において試験担当医が評価した無増悪生存期間(PFS)とOSだった。

 この試験では、B群とC群のITT解析対象でPFSとOSを比較し、OSで有意差が得られた場合に、A群とC群のITT解析対象でPFSとOSを比較することとなっていた。

 A群338人、B群343人、C群340人となり、患者背景はバランスがとれていた。年齢中央値は65歳(範囲:B群23-83、C群38-86)、約81%が男性だった。PD-L1が高発現(TC3またはIC3)の患者はB群13.7%、C群12.9%、PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)の患者はそれぞれ39.7%、36.8%、PD-L1陰性の患者は46.6%、50.3%だった。

 B群とC群のPFSの主要解析の結果(データカットオフ日2018年1月22日)は、昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で報告され、ハザード比0.71(95%信頼区間:0.60-0.85)、p=0.0001となり、有意差が得られたことが明らかになっている。

 今回はB群とC群のOSの最終結果が発表された。データカットオフ日は2018年10月3日で、追跡期間中央値は25.5カ月、最短の追跡期間中央値は18.7カ月となった。

 OS中央値は、B群14.2カ月(95%信頼区間:12.3-16.8)、C群13.5カ月(95%信頼区間:12.2-15.1)、ハザード比0.88(95%信頼区間:0.73-1.05)、p=0.1581となり、統計学的な有意差はなかった。

 ただし、副次的評価項目の1つであるPD-L1の発現状態別のOSは、PD-L1高発現のサブグループで臨床的に意義のある延長がみられ、OS中央値はB群23.4カ月、C群10.2カ月、ハザード比0.48(95%信頼区間:0.29-0.81)となった。これに対し、PD-L1低発現のグループでは、OS中央値はB群12.8カ月、C群15.5カ月、ハザード比1.08(95%信頼区間:0.81-1.45)、PD-L1陰性のグループではそれぞれ14.0カ月、12.5カ月、ハザード比0.87(95%信頼区間:0.67-1.13)となり、2群間に差はみられなかった。

 1レジメン以上の後治療を受けた患者は、B群36.2%、C群58.2%だった。B群では化学療法が32.1%で最も多く、分子標的治療は7.3%、免疫療法は6.4%に行われた。C群では免疫療法が43.2%で最も多く、化学療法は27.4%、分子標的治療は5.9%に行われた。

 治療に関連するグレード3-4の有害事象、重篤な有害事象、重篤な治療関連有害事象は、B群ではそれぞれ68.0%、47.9%、21.0%、C群ではそれぞれ57.5%、28.7%、10.5%に発現した。新たな安全性のシグナルは特定されず、過去の解析結果と一致していた。

 今回の結果について、Jotte氏は「転移を有する扁平上皮NSCLCでPD-L1高発現の患者では、アテゾリズマブをカルボプラチン+nab-パクリタキセルに追加することでベネフィットが得られる可能性があることが示唆される」と話した。

 この発表のディスカッサントを務めた米UCLAのJay M. Lee氏は、PD-L1の発現状態別の検討では高発現のサブグループでのみOSの延長効果がみられた点に触れ、進行扁平上皮NSCLCの1次治療としてペムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセルを評価したKEYNOTE-407試験を参照した。KEYNOTE-407試験では、全対象に加え、PD-L1の発現がTPS(tumor proportion score)1%未満、1-49%、50%以上の全てのサブグループでOSの延長効果が示されたことから、Lee氏は「このような対象では、1次治療の併用療法のレジメンはやはりペムブロリズマブ+化学療法が好ましい」と述べた。

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