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2019/8/1

日本人卵巣癌におけるBRCA変異率調査の結果を解説

横山勇生=編集委員

 新潟大学の吉原弘祐氏は、8月1日に都内で開催されたアストラゼネカのプレスセミナーで、今後の進行卵巣癌へのPARP阻害薬の応用について解説した。BRCA変異があればPARP阻害薬単剤を用い、BRCA変異がなくても、その他の相同組換えに関連した遺伝子異常によって、相同組換え修復異常状態があればPARP阻害薬も効果が期待できるとした。また今後、BRCA変異卵巣癌に対して、PARP阻害薬と他の薬剤との併用もさらに期待され、今後の治験の結果の発表が待たれる状況だとした。AVANOVA試験の結果からは、PARP阻害薬と血管新生阻害薬との併用は、相同組換え修復異常を認めない卵巣癌においても効果が期待されるが、今後さらなる併用の有効性の確認が必要と思うとした。また吉原氏は、日本人卵巣癌におけるBRCAの変異率を調査したJapan CHARLOTTE studyの詳細についても解説した。


 PARP阻害薬であるオラパリブは、生殖細胞系列または体細胞系列にBRCA変異を有する進行卵巣癌の1次治療で奏効が認められた患者の維持療法での有効性が無作為化二重盲検プラセボ対照多施設フェーズ3試験SOLO-1で示され、6月に適応拡大となっている。SOLO-1試験の結果は、昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で発表されていた(関連記事)。一方、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)では、BRCA変異の有無、相同組み換え修復能の有無に関わらず、PARP阻害薬niraparibとベバシズマブの併用が有効である可能性がフェーズ2試験であるAVANOVA試験で示されていた。

 またJapan CHARLOTTE studyでは、日本人卵巣癌における生殖細胞系列BRCA1/2(gBRCA1/2)変異の頻度は、欧米人における過去の報告と同等で、gBRCA1/2検査前の遺伝カウンセリングを受けた患者の96%以上が、実施者の職種(産婦人科医、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー)に関わらず、「十分満足している」または「満足している」と回答した。

 Japan CHARLOTTE studyは、日本人患者におけるgBRCA1/2遺伝子の変異率の決定と、gBRCA1/2検査前の遺伝カウンセリングに対する患者の満足度の評価の2つを目的として、20歳以上の新規卵巣癌(原発性腹膜癌、卵管癌を含む)日本人女性患者を対象に行われた。国内63施設で、2016年12月から2018年6月までに登録された666症例のうち、BRCA遺伝子検査を実施した634症例を対象に調査が実施された。

 BRCA遺伝子変異陽性の割合については、既にプレスリリースされていた。日本人のBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7%(BRCA1が9.9%、 BRCA2が4.7%)で、欧米人を対象とした研究報告(14.1%)と同程度だった。また進行卵巣癌(FIGO分類III期またはIV期)における陽性の割合は24.1%(BRCA1が16.3%、BRCA2が7.7%)で、早期卵巣癌(4.9%)より高い保有率だった。組織学的分類別では、進行癌が多い高異型度漿液性癌でBRCA遺伝子変異が最も多く、28.5%(78/274例)だった。一方、欧米人よりも日本人で多い明細胞癌では2.1%(4/187)だった。また、年齢別では41歳未満(41人)でBRCA2変異のみがあった患者はいなかった。50歳以下のgBRCA1/2変異が陽性だったのは、新規診断卵巣癌全体の4.3%だった。

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