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2019/7/19

PIK3CA変異陽性進行乳癌へのalpelisib、日本では追加試験を実施の方向【JSMO2019】

横山勇生=編集委員

 アロマターゼ阻害薬(AI)投与(CDK4/6阻害薬を併用または非併用)後のホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性閉経後または男性の進行乳癌でPIK3CA変異を有する患者に対して、PI3Kα特異的阻害薬であるalpelisibとフルベストラントを併用することについて、日本においては追加で臨床試験を行う方向であることが明らかとなった。

 alpelisibとフルベストラントの併用投与群とプラセボとフルベストラントの投与群とを比較したフェーズ3試験、SOLAR-1試験の日本人サブグループの解析で、半数以上の患者が皮疹などの副作用で投薬中止となっていることを受けたもの。用量強度が低く、無増悪生存期間(PFS)の差は日本人サブグループでは認められなかった。7月18日から20日まで京都市で開催されている日本臨床腫瘍学会(JSMO2019)で、愛知県がんセンターの岩田広治氏がSOLAR-1試験の日本人サブグループ解析の結果を発表、質疑応答の中で追加の臨床試験を実施する方向にあることを認めた。

 SOLAR-1試験は、世界規模で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験。AI投与(CDK4/6阻害薬を併用または非併用)後のHR陽性HER2陰性閉経後または男性の進行乳癌で、ECOG PSが1以下の患者を対象に行われた。腫瘍組織の評価でPIK3CA変異があった341人と変異がなかった231人を分け、それぞれalpelisibとフルベストラントの併用投与群(alpelisib群)とプラセボとフルベストラントの投与群(プラセボ群)に1対1に割り付けた。患者にはalpelisib300mgかプラセボが1日1回投与された。フルベストラントは500mgが1サイクル目のみ1日目と15日目に筋肉内投与され、その後は28日を1サイクルとして1日目に投与された。

 試験の全体の結果は昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表されていた。PIK3CA変異があった患者の解析で、alpelisib群(169人)のPFS中央値が11.0カ月、プラセボ群(172人)が5.7カ月、ハザード比0.65(95%信頼区間:0.50-0.85)、p=0.00065で有意にalpelisib群が長かった。PIK3CA変異がなかった患者においては、両群にPFSの有意な差はなかった。

 今回、発表されたのは、PIK3CA変異があった患者でalpelisib群に登録された日本人患者17人、プラセボ群に登録された日本人患者19人、PIK3CA変異がなかった患者でalpelisib群に登録された日本人患者15人、プラセボ群に登録された日本人患者17人の結果だった。

 日本人のPIK3CA変異があった患者は全体集団に比べてPS 0の患者の割合が高かった。alpelisib群のPFS中央値が9.6カ月、プラセボ群が9.2カ月、ハザード比0.78(95%信頼区間:0.35-1.75)で差がなく、カプランマイヤー曲線は、ほぼ重なっていた。日本人のPIK3CA変異がなかった患者の場合、alpelisib群のPFS中央値が8.0カ月、プラセボ群が9.3カ月、ハザード比2.41だった。

 PIK3CA変異があった患者におけるalpelisibの暴露期間中央値は、全体が5.5カ月(0.0-29.0)だったのに対して、日本人患者は1.4カ月(0.3-21.1)だった。平均相対用量強度は全体が77.8%(SD:21.61)に対して、日本人患者は58.8%(SD:25.81)に留まっていた。

 PIK3CA変異の有無に関わらず、副作用の発現を調べてみたところ、投与中止につながる副作用を発現したのは、alpelisib群全体の全グレードで25.0%(グレード3/4が13.0%)だったのに対し、日本人患者では56.3%(グレード3/4が25.0%)と明らかに日本人患者で多かった。alpelisib群の日本人で特にグレード3/4の副作用発現が多かったのは、皮疹(全体で20.1%、日本人患者で43.8%)、膵炎(全体で5.6%、日本人患者で15.6%)、重篤な皮膚反応(全体で1.1%、日本人患者で9.4%)だった。日本人患者のグレード3/4の皮疹の発現は、多くが14日以内に起きていた。薬物動態は日本人と非日本人で差はなく、副作用に関連すると考えられる臨床的な因子も見出されなかった。

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