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2019/06/06

治療歴のあるHER2陽性転移性乳癌にneratinib+カペシタビンはラパチニブ+カペシタビンに比べPFSを延長【ASCO2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 2レジメン以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性転移性乳癌に、不可逆的pan-HER チロシンキナーゼ阻害薬 neratinibとカペシタビンの併用療法はラパチニブとカペシタビンの併用療法に比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、ランダム化フェーズ3試験NALAで明らかになった。米国Magee-Womens Hospital of UPMCのAdam Brufsky氏らが、5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で発表した。

 NALA試験(NCT01808573)は、HER2陽性転移性乳癌で、2レジメン以上の抗HER2療法を受けた患者を対象に行われた。無症候性および安定した脳転移を有する患者も含まれた。neratinib+カペシタビン群とラパチニブ+カペシタビン群に1:1の割合で患者割り付けを行った。
 
 neratinib+カペシタビン群では、neratinibは240mg/日、カペシタビンは750mg/m2を1日2回、21日おきに14日間投与した。またロペラミドを1サイクル目に投与した。ラパチニブ+カペシタビン群では、ラパチニブは1250mg/日、カペシタビンは1000mg/m2を1日2回、21日おきに14日間投与した。

 主要評価項目は中央評価のPFS、全生存期間(OS)とした。主要評価項目の到達はPFSがp<0.01もしくはOSがp<0.04の場合とされた。副次評価項目は治験担当医師による評価のPFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、臨床的有用率(CBR)、中枢神経系(CNS)転移、安全性、患者報告健康アウトカムとした。

 621人がランダム化され、neratinib+カペシタビン群は307人、ラパチニブ+カペシタビン群は314人だった。2群の患者背景はバランスがとれていた。HR陽性が2群とも59%、内臓転移が80%と81%だった。抗HER2療法の前治療数は3ライン以上が30%と32%、前治療がトラスツズマブのみの患者は40%と36%だった。
 
 neratinib+カペシタビン群はラパチニブ+カペシタビン群に比べて病勢増悪もしくは死亡のリスクが24%低下した(ハザード比0.76、95%信頼区間:0.63-0.93、p=0.0059)。6カ月PFS率はneratinib+カペシタビン群47%、ラパチニブ+カペシタビン群は38%、12カ月PFS率は29%と15%であった。また24カ月までのPFSの平均がneratinib+カペシタビン群8.8カ月、ラパチニブ+カペシタビン群6.6カ月(p=0.0003)だった。

 サブグループ解析では、内臓転移の有無とHRの状態でPFSは有意に異なり、HR陽性ではラパチニブ+カペシタビン群のほうが良好であった。

 OSは有意な違いは見られなかった。48カ月までのOSの平均はneratinib+カペシタビン群24.0カ月、ラパチニブ+カペシタビン群22.2カ月(p=0.2086)であった。

 CNS病変の累積発生率は22.8%と 29.2%(p=0.043)で、neratinib+カペシタビン群のほうがCNS病変の発生を遅らせることが示唆された。
 
 測定可能病変を有する患者でのORRはneratinib+カペシタビン群33%、ラパチニブ+カペシタビン群27%(p=0.1201)、CBRは45%と36%(p=0.0328)だった。DoR中央値は8.5カ月と5.6カ月、ハザード比0.50(95%信頼区間:0.33-0.74、p=0.0004)であった。

 Neratinibの減量は24%、ラパチニブの減量は20%の患者で行われていた。

 治療による有害事象(TEAE)は2群間で類似していたが、neratinib+カペシタビン群では下痢の頻度が高かった。neratinib+カペシタビン群83%、グレード3の下痢は24%、ラパチニブ+カペシタビン群では66%、グレード3の下痢が13%だった。このほかneratinib+カペシタビン群では悪心、嘔吐、食欲不振が多かった。TEAEによる治療中止割合はneratinib+カペシタビン群10.9%、ラパチニブ+カペシタビン群14.5%だった。
 
 下痢に関して、グレード3の下痢の初回発生までの期間はneratinib+カペシタビン群11日、ラパチニブ+カペシタビン群38日で、患者あたりの下痢の累積期間は2群とも4日だった。下痢による治療中止は2.6%と2.3%であった。
 
 QOLは治療中に維持され、2群間で大きな違いはなかった。

 以上の結果から、主要評価項目は到達し、neratinib+カペシタビンはラパチニブ+カペシタビンに比べて PFSを有意に改善し、OSも改善する傾向が示されたとした。このためneratinib+カペシタビンはHER2陽性転移性乳癌に対する有効性のある治療選択肢であるとしている。

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