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2019/6/6

抗HER2療法後に増悪のHER2陽性進行乳癌へのFc最適化抗HER2抗体margetuximabと化学療法の併用がPFSを延長【ASCO2019】

横山勇生=編集委員

 抗HER2療法を受けて増悪したHER2陽性の進行乳癌に対して、Fc最適化抗HER2抗体margetuximabと化学療法の併用が、トラスツズマブと化学療法の併用よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に延長できることが明らかとなった。フェーズ3試験SOPHIAの結果から示された。またFcγRIIIa(CD16A)の遺伝子多型でトラスツズマブの効果を減少することに関連していると考えられている158F型で、margetuximabのより強いPFS延長効果が認められた。

 5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、米University of California San Francisco Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏によって発表された。

 margetuximabは抗HER2キメラモノクローナル抗体で、免疫エフェクター細胞を活性化するようにFc領域が最適化されている。エフェクター細胞により強固に結合できるようになり、特にIgGの受容体であるFcγRのうち、活性型であるFcγRIIIa(CD16A)への結合を増加させ、抑制型のFcγRIIb(CD32B)への結合を減少させることで、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を高める。

 SOPHIA試験は、ペルツズマブを含む2レジメン以上の抗HER2療法歴があり、転移癌への治療歴数が1から3のHER2陽性進行乳癌患者を対象とした無作為化オープンラベルフェーズ3試験。医師が化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビンから選択)を選択した後、患者はmargetuximab群(3週おきにmargetuximabを15mg/kg投与+化学療法)とトラスツズマブ群(3週おきにトラスツズマブ6mg/kg投与、ただし初回のみ8mg/kg+化学療法)に1対1で割り付けられた。

 患者は転移部位数(2以下と2超)、転移個数(2以下と2超)、選択した化学療法の種類で層別化されていた。主要評価項目は、盲検下中央解析によるPFSと全生存期間(OS)。副次評価項目は、研究グループの評価によるPFS、盲検下中央解析による奏効率、臨床的ベネフィト率(CBR)、奏効期間(DOR)、安全性プロファイル、抗体薬に対する抗体の出現、CD16A、CD32A、CD32Bに対するmargetuximabの効果だった。

 ITT患者536人が、margetuximab群に266人、トラスツズマブ群に276人割り付けられた。両群の患者背景に差はなく、両群ともにトラスツズマブ投与歴があったのは100%、ペルツズマブの投与歴があったのは100%だった。T-DM1の投与歴があったのは、margetuximab群が91%、トラスツズマブ群が92%だった。

 試験の結果、盲検下中央解析によるPFS中央値は、margetuximab群が5.8カ月(95%信頼区間:5.52-6.97)、トラスツズマブ群が4.9カ月(95%信頼区間:4.17-5.59)で、ハザード比0.76(95%信頼区間:0.59-0.98)、層別化p=0.033で有意にmargetuximab群で延長していた。研究グループの評価によるPFS中央値は、margetuximab群が5.6カ月(95%信頼区間:5.06-6.67)、トラスツズマブ群が4.2カ月(95%信頼区間:3.98-5.39)で、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.56-0.87)、層別化p=0.001で有意にmargetuximab群で延長していた。PFSのサブグループ解析の結果は、ほとんどのサブグループでmargetuximab群が優位だった。FCγ受容体遺伝子型別のPFSの解析で、CD16A-158F型(ホモ型、ヘテロ型)の患者においてはmargetuximab群が優位だった。CD32A、CD32Bについては遺伝子型に関わらずmargetuximab群が優位だった。

 CD16A遺伝子で158F型の患者(遺伝子型を決定された患者506人中437人、ヘテロ、ホモの両方を含む)のPFS中央値はmargetuximab群が6.9カ月(95%信頼区間:5.55-8.15)、トラスツズマブ群が5.1カ月(95%信頼区間:4.14-5.59)で、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.52-0.90)、p=0.005で、ITT患者の場合よりもmargetuximab群のPFS延長効果が顕著だった。

 OSの中間解析の結果も発表された。ITT患者におけるOS中央値は、margetuximab群が18.9カ月(95%信頼区間:16.16-25.07)、トラスツズマブ群が17.7カ月(95%信頼区間:15.80-33.31)で、ハザード比0.95(95%信頼区間:0.69-1.31)で差はなかった。カプランマイヤー曲線はほぼ重なっていた。CD16A-158F型の患者におけるOS中央値は、margetuximab群が23.69カ月(95%信頼区間:16.56-NA)、トラスツズマブ群が16.9カ月(95%信頼区間:15.41-20.53)で、ハザード比0.82(95%信頼区間:0.58-1.17)でmargetuximab群がやや良い傾向があった。カプランマイヤー曲線は一部はmargetuximab群が上にあった。

 ベースラインで測定病変を有していた524人(margetuximab群262人、トラスツズマブ群262人)についての評価で、奏効率はmargetuximab群が22.1%(95%信頼区間:17.3-27.7)、トラスツズマブ群が16.0%(95%信頼区間:11.8-21.0)で、margetuximab群の方が高い傾向があった(p=0.060)。臨床的ベネフィト率は、margetuximab群が36.6%(95%信頼区間:30.8-42.8)、トラスツズマブ群が24.8%(95%信頼区間:19.7-30.5)で、margetuximab群の方が有意に高かった(p=0.003)。奏効期間中央値は、margetuximab群が6.1カ月(95%信頼区間:4.11-9.13)、トラスツズマブ群が6.0カ月(95%信頼区間:4.01-6.93)、p=0.541で差はなかった。、

 安全性は両群で同等だった。margetuximab群でグレード3以上の副作用が発現したのは138人(52.3%)、重篤な副作用が発現したのは39人(14.8%)、トラスツズマブ群でグレード3以上の副作用が発現したのは128人(48.3%)、重篤な副作用が発現したのは46人(17.4%)だった。副作用で投与中止となったのは、margetuximab群が3.0%、トラスツズマブ群が2.6%だった。主に低グレードの注射関連反応がmargetuximab群で多かったが管理可能だった。

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