このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2019/6/4

転移性ホルモン感受性前立腺癌に対する標準治療へのエンザルタミドの追加でPFSとOSが延長【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 転移性ホルモン感受性前立腺癌mHSPC)に対し、標準治療と新規アンドロゲン受容体標的薬であるエンザルタミドの併用による3年全生存(OS)率は80%となり、標準治療と非ステロイド性抗アンドロゲン薬(NSAA)併用の72%と比べて有意に延長したことが、国際的なフェーズ3のランダム化比較試験(ENZAMET[ANZUP 1304])の第1回の中間解析から示された。PSA無増悪生存期間(PSA-PFS)および臨床的なPFSの延長も認められた。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)のプレナリーセッションで、米Dana-Farber Cancer InstituteのChristopher Sweeney氏が発表した。

 mHSPCに対する治療は、2014年まではテストステロン抑制±NSAAしかなく、高腫瘍量の患者の予後は不良だった。その後、テストステロン抑制の初期にドセタキセルやアビラテロンを追加することにより、OSが改善することが示された。

 ENZAMET試験では、mHSPCに対する1次治療として、標準治療(テストステロン抑制±ドセタキセル)へのエンザルタミドの追加により、標準治療+NSAAよりもOSが延長するとの仮説を立て、これを検証した。

 テストステロン抑制とエンザルタミド160mg/日を併用する群(エンザルタミド群)または標準的なNSAA(ビカルタミド、nilutamide、フルタミド)を併用する群(NSAA群)に、mHSPC患者を1対1でランダムに割り付けた。前治療のアンドロゲン除去療法(ADT)はランダム化割り付けの12週前までに終了していることとされた。層別化は、腫瘍量(CHAARTED試験に基づき、高腫瘍量 vs 低腫瘍量)、初期のドセタキセルの投与の予定、ECOG PS、骨吸収抑制剤の使用、併存疾患スコア(ACE-27)、試験実施施設により行った。主要評価項目はOS、副次的評価項目は、PCW2(Prostate Cancer Working Group 2)の基準に基づくPSA無増悪生存期間(PSA-PFS)、臨床的なPFS(画像、症状、徴候による)、有害事象、健康関連QOLなどだった。

 同試験のITT解析対象では、目標症例数を1100人、470件の死亡と予測した。2014年3月13日から2017年3月24日までに1125人が登録され、第1回の中間解析(235件の死亡の発生)の基準を満たしたのは2019年2月28日だった。今回発表されたデータは245件の死亡、追跡期間中央値34カ月に基づいている。

 エンザルタミド群563人、NSAA群562人となり、ベースラインでは両群の重要な患者背景因子のバランスはとれていた。初期にドセタキセルの投与が予定されたのは、エンザルタミド群254人(45%)、NSAA群249人(44%)だった。

 主要評価項目であるOSは、エンザルタミド群で有意に延長した。全対象における3年OS率は、エンザルタミド群80%(95%信頼区間:75-83)、NSAA群72%(95%信頼区間:68-76)、ハザード比0.67(95%信頼区間:0.52-0.86)、p=0.002となった。

 副次的評価項目であるPFSは、エンザルタミドのNSAA群に対するPSA-PFSのハザード比は0.39(95%信頼区間:0.33-0.47)、p<0.001、臨床的なPFSのハザード比は0.40(95%信頼区間:0.33-0.49)、p<0.001となった。

 ドセタキセル非投与の患者(622人、37%は高腫瘍量の患者)と投与した患者(503人、71%は高腫瘍量の患者)のPFSとOSをみると、臨床的なPFSでは、ドセタキセル非投与の患者のハザード比は0.34(95%信頼区間:0.26-0.44)、ドセタキセルを投与した患者のハザード比は0.48(95%信頼区間:0.37-0.62)となり、エンザルタミド群でいずれも改善した。一方、3年OS率は、ドセタキセル非投与の患者では、エンザルタミド群83%、NSAA群70%、ハザード比0.53(95%信頼区間:0.37-0.75)となりPFSと相関したが、ドセタキセルを投与した患者では、エンザルタミド群74%、NSAA群75%、ハザード比0.90(95%信頼区間:0.62-1.31)となり、今回の中間解析では臨床的に意義のある影響はみられなかった。

 腫瘍量別の3年OS率は、高腫瘍量の患者(588人)では、エンザルタミド群71%、NSAA群64%、低腫瘍量の患者(537人)では、エンザルタミド群90%、NSAA群82%となった。

 3年の時点でエンザルタミド群の201人、NSAA群の356人が割り付けられた治療を中止しており、有害事象による中止はそれぞれ33人(16%)、14人(4%)だった。

 重篤な有害事象は、エンザルタミド群の34%、NSAA群の33%に発現した。グレード2、3の疲労感は、エンザルタミド群では25%、6%、NSAA群では14%、1%に発現した。てんかんなどの痙攣発作(全グレード)はそれぞれ1%、0%だった。ドセタキセルを投与した患者では、エンザルタミド群では発熱性好中球減少症が14%、グレード2の感覚性ニューロパチーが9%に発現し、NSAA群ではそれぞれ13%、3%に発現した。

 Sweeney氏は「mHSPCでテストステロン抑制を開始した患者に対し、エンザルタミドを追加することは適切な治療選択肢と考えられる」とした。

この記事を友達に伝える印刷用ページ