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2019/6/4

enfortumab vedotinはプラチナ製剤と免疫チェックポイント阻害薬で治療後の進行尿路上皮癌に有望、奏効率は44%【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 局所進行性または転移を有する尿路上皮癌で、前治療でプラチナ製剤を含む化学療法と抗PD-1/PD-L1抗体の両方の投与を受けた患者に対し、ネクチン-4を標的とした抗体-薬物複合体enfortumab vedotin(EV)は44%と臨床的に意義のある奏効率を示し、このような対象で臨床的な効果を示した初の治療薬となった。この知見は、単群で2つのコホートを評価している非盲検、多施設共同のフェーズ2試験(EV-201)の予備的な解析から示されたもの。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、米Yale School of MedicineのDaniel Peter Petrylak氏が発表した。

 局所進行性または転移を有する尿路上皮癌で、プラチナ製剤と免疫チェックポイント阻害薬を投与中または投与後に増悪した患者の予後は不良で、治療選択肢は限られている。

 EVは、尿路上皮癌に多く発現する細胞接着分子のネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体。フェーズ1試験では、前治療で抗PD-1/PD-L1抗体を投与した患者で高い奏効率が示された。この結果に基づき、米食品医薬品局(FDA)はEVをブレークスルーセラピーに指定した。

 EV-201試験では、切除不能な局所進行性または転移を有する尿路上皮癌で、抗PD-1/PD-L1抗体とプラチナ製剤を含む化学療法を行った後に増悪した患者をコホート1、前治療は抗PD-1/PD-L1抗体のみでプラチナ製剤は未投与、またはシスプラチンに不適格な患者をコホート2とし、評価している。コホート1の登録は2018年7月に終了し、コホート2は現在も登録が進行中である。今回はコホート1の結果が発表された。

 治療は28日を1サイクルとし、EV 1.25mg/kgを1、8、15日目に投与した。主要評価項目はRECIST v1.1に基づく奏効率とし、盲検化した中央独立審査で評価した。副次的評価項目は奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性だった。
 
 2017年10月から2018年7月までに、コホート1には128人が登録された。このうち125人がEVの投与を受け、ITT解析対象となった。治療期間中央値は4.6カ月(範囲:0.5-15.6)で、16%の患者は現在も治療を継続中である。男性は70%、年齢中央値は69歳(範囲:40-84)、上部尿路の病変は35%、内臓転移は90%、肝転移は40%に認めた。PD-L1 combined positive scoreが10以上の患者は35%だった。

 コホート1では全例にネクチン-4の発現を認めた。腫瘍細胞の染色強度に陽性細胞の分布割合を掛け合わせたH-score は290(範囲:14-300)となった。

 コホート1における奏効率は44%(95%信頼区間:35.1-53.2)となり、完全奏効(CR)は12%、部分奏効(PR)は32%だった。ベースラインから腫瘍縮小を認めた患者は84%に上った。同様の奏効は、前治療の抗PD-1/PD-L1抗体の投与、肝転移などに関わらず、全てのサブグループで認められることもわかった。

 奏効までの期間の中央値は1.8カ月(範囲:1.2-9.2)で、奏効のほとんどは初回評価時に特定された。奏効期間中央値は7.6カ月(範囲:0.95-11.30)だった。

 PFS中央値は5.8カ月(95%信頼区間:4.9-7.5)、OS中央値は11.7カ月(95%信頼区間:9.1-未到達)となった。

 最も多く観察された有害事象は疲労感(全グレード50%)、脱毛(49%)、食欲低下(全グレード44%)だった。グレード3以上で最も多かったのは好中球減少症(8%)だった。治療関連有害事象による治療中止は12%で、末梢神経感覚障害が最も多かった。1人の治療関連死が報告され、間質性肺疾患であったが、高用量のコルチコステロイドを使用しており、ニューモシスチス肺炎も疑われた。

 治療関連有害事象のうち、末梢神経障害は、全グレードで50%、グレード3以上で3%に発現し、グレード4はなかった。登録時に末梢神経障害があった患者のうち、48%は悪化しなかった。76%の患者では、最終追跡時に解消またはグレード1で持続していた。

 発疹は、全グレードで48%、グレード3以上で12%に発現したが、グレード4はなかった。グレード3の1人はスチーブンス・ジョンソン症候群と報告された。93%の患者では最終追跡時に解消または改善していた。発疹が持続した患者の75%はグレード1だった。

 高血糖は、全グレードで11%、グレード3以上で6%に発現したが、既存の高血糖があった患者の68%では治療関連有害事象が発現しなかった。またグレード4の1人は改善し、投薬不要となった。71%の患者では最終追跡時に解消または改善した。

 今回の結果は、同じ対象でEV-1を評価したフェーズ1と一致していた。Petrylak氏は「これらのデータは、FDAへの迅速承認の申請の裏付けとなるもの。承認されれば、enfortumab vedotinは、プラチナ製剤と抗PD-1/PD-L1抗体で治療後に増悪した患者の新たな標準治療となる可能性がある」と話した。

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