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2019/6/3

CAB療法後のCRPCに対する抗アンドロゲン剤交替療法と早期エンザルタミド導入療法、エンザルタミド抵抗性までの期間とOSは同等【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 ビカルタミドを用いた複合アンドロゲン遮断CAB)療法後の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者に対し、フルタミドエンザルタミドによる抗アンドロゲン剤交替療法(AAT)は、早期エンザルタミド導入療法と比較して、エンザルタミド抵抗性までの期間(TTF-ENZA)、全生存期間(OS)に有意差はないことが、多施設共同、非盲検、フェーズ2のランダム化比較試験(OCCU-CRPC試験)の探索的研究から示された。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学の井口太郎氏が発表した。

 アジアでは、局所進行または転移を有する前立腺癌の治療として、ビカルタミドを用いたCAB療法が広く行われている。

 ビカルタミドを用いたCAB療法後のCRPC患者に対する1次治療として、近年では新規AR標的薬のエンザルタミドやアビラテロンが使用される機会が増加している。新規AR標的薬が導入される前の実地臨床では、フルタミドによるAATが広く行われていたが、2016年版前立腺癌診療ガイドラインにはこのAATは記載されていない。

 井口氏らは、ビカルタミドを用いたCAB療法後のCRPC患者に対する1次治療として、フルタミドとエンザルタミドを比較するOCCU-CRPC試験を実施し、今年2月に開催されたASCO GU2019において、主要評価項目である3カ月後のPSA奏効率(50%以上の低下)は、エンザルタミドで有意に改善したことを発表した。

 ただし、CRPCに対しエンザルタミドを投与する最適なタイミングは明らかになっていない。井口氏が過去に報告した後ろ向き研究では、1次治療としてのエンザルタミドと、フルタミド投与後の2次治療としてのエンザルタミドでは、最良のPSA奏効とPSA無増悪生存期間(PSA-PFS)に有意差はなかったためである。OSにも有意差はなかった。

 そのため井口氏らは、OCCU-CRPC試験の探索的研究として、同試験に組み入れられた患者を対象に、フルタミドを投与した群の2次治療としてエンザルタミドを投与した後の転帰を前向きに評価することとした。

 OCCU-CRPC試験では、エンザルタミド160mg/日を投与する群(エンザルタミド群)、またはフルタミド375mg/日を投与する群(フルタミド群)に、患者を1対1でランダムに割り付けている。今回の探索的研究では、TTF-ENZA、OSを評価した。

 2015年1月から2018年2月までに計103人のランダム割り付けが行われ、エンザルタミド群52人、フルタミド群51人となった。ベースラインの患者背景に偏りはなかった。

 追跡期間中央値は、エンザルタミド群13.4カ月(四分位範囲[IQR]:9.6-23.8)、フルタミド群17.0カ月(IQR:9.7-24.4)となった。2018年9月末のデータカットオフの時点で、66人が割り付けられた治療を中止し、エンザルタミド群の27人(52%)、フルタミド群の39人(76%)が増悪または有害事象のため割り付けられた治療を中止した。フルタミド群で治療を中止した39人のうち、34人が2次治療としてエンザルタミドの投与を受けた。

 その結果、TTF-ENZAとOSは両群で有意差はなかった。TTF-ENZA中央値は、エンザルタミド群15.0カ月、フルタミド群は21.7カ月、ハザード比は1.27(95%信頼区間:0.73-2.19、p=0.086)となった。またTTF-ENZAのサブグループ解析からは、エンザルタミドは75歳未満、フルタミドは75歳以上の患者で有用な可能性も示唆された。

 OS中央値は、エンザルタミド群は未到達、フルタミド群は28.4カ月、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.31-1.89、p=0.567)となった。ただし、OSに関してはイベント数が少ないため、井口氏は「さらに追跡が必要」と話した。

 さらに1カ月あたりの薬剤費は、フルタミドのほうが安価であり(日本および米国)、フルタミドとエンザルタミの逐次療法は、早期エンザルタミド導入療法と比較して、薬剤費を平均で45%抑えられることも示された。

 井口氏は「フルタミドが有用な患者も存在すると考えられ、経済性も考慮すると、AATは不要とは言えない。現状では、フルタミドを使用している医師と、ガイドラインに記載がないからと使用しない医師が混在している。そうした状況に示唆を与えることができればと思う」と話した。

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