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2019/6/3

プラチナ製剤抵抗性再発・再燃卵巣癌に対するPLDは40mg/m2の減量投与でもPFSとOSは標準用量と同等の可能性【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 プラチナ製剤抵抗性再発・再燃Mullerian carcinoma(上皮性卵巣癌、原発性卵管癌、腹膜癌)の患者において、リポソーム化ドキソルビシン(PLD)の標準用量である50mg/m2に対し、減量した40mg/m2の投与でも、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)は同等となり、口内炎などのグレード2以上の有害事象の頻度は低いことが、多施設共同、非盲検、フェーズ3のランダム化比較試験(JCOG3018)から示された。ただし、この試験は早期中止となったため、非劣性の検証はできなかった。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科の藪野彰氏が発表した。

 単剤でのPLDの標準用量は、50mg/m2の4週毎の投与であるが、40mg/m2での投与は手足症候群と口内炎の発現が減少することから、実地臨床や臨床試験では行われている。ただし、この減量投与の有効性と毒性を評価するための比較試験は存在しない。

 そのためJCOG3018試験では、プラチナ製剤抵抗性再発・再燃Mullerian carcinomaに対するPLDの40mg/m2と50mg/m2の2つの用量について、有効性と毒性を評価することを目的とした。

 対象は、プラチナ製剤抵抗性再発・再燃Mullerian carcinomaの患者で、前治療が2レジメン以下、ECOG PS 2以下であることとした。患者は、PLD40mg/m2を投与する群(PLD40mg/m2群)、または標準用量の50mg/m2を投与する群(PLD50mg/m2群)に1対1でランダムに割り付け、投与は10サイクルまで、または増悪、受容不能な毒性の発現のいずれかまで継続した。層別化は、PS、前治療の化学療法のPFS(3カ月未満と3カ月以上6カ月未満)で行った。主要評価項目はPFS、副次的評価項目は全生存期間(OS)、有害事象、奏効率、忍容性だった。

 患者登録は2010年2月2日から2017年3月3日まで行われたが、登録の進行が遅く、目標症例数の470人に届かず、272人がランダム化割り付けされた時点で同試験は中止となった。PLD40mg/m2群は137人、PLD50mg/m2群は135人となった。

 患者の年令中央値は、PLD40mg/m2群63歳、PLD50mg/m2群61歳、無治療期間(TFI)が3カ月未満の患者はそれぞれ57.4%、58.5%、PS 0の患者の割合はそれぞれ82.4%、80.7%だった。

 最終解析は、234人の死亡とPFSのイベントが269件発生した時点で行われた。治療サイクル数の中央値は、PLD40mg/m2群は4サイクル、PLD50mg/m2群は3サイクルだった。

 PFS中央値は、PLD40mg/m2群4.0カ月、PLD50mg/m2群4.0カ月、ハザード比1.065(95.8%信頼区間:0.830-1.366)、p=0.714となった。OS中央値は、それぞれ14.0カ月となり、ハザード比1.078(95%信頼区間:0.831-1.397)、p=0.7196だった。

 測定可能病変における最良奏効割合(best response rate)は、PLD40mg/m2群(109人)では、完全奏効(CR)は0.9%、部分奏効(PR)は11.9%、安定状態(SD)は41.3%、増悪(PD)は43.1%、臨床的有効率(CBR)は54.1%となった。PLD50mg/m2群(104人)では、CRは2.9%、PRは14.4%、SDは26.9%、PDは46.2%、CBRは44.2%となった。

 減量が必要となった患者は、PLD40mg/m2群では13人(9.6%)だったのに対し、PLD50mg/m2群では32人(23.7%)となり、このうち5人(3.7%)は2段階の減量が必要だった。

 グレード2以上の有害事象は、PLD50mg/m2群で多く発現した。グレード2以上の口内炎は、PLD40mg/m2群の11.3%、PLD50mg/m2群の13.5%に発現した(p=0.0089)。一方、グレード2以上の手足症候群の頻度はそれぞれ15.0%、19.8%となり、両群に有意差はなかった(p=0.3330)。

 藪野氏らは「PLD40mg/m2の減量投与は、プラチナ製剤抵抗性再発・再燃卵巣癌患者に対する標準治療の1つになりうると考えられる」としている。

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