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2019/6/2

再発・持続性の卵巣明細胞腺癌患者の増悪後生存期間はプラチナ製剤抵抗性再発の患者で不良【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 再発または持続性の卵巣明細胞腺癌(CCC)患者を対象に、TC療法(カルボプラチン、パクリタキセル)とCPT-P療法(イリノテカン、シスプラチン)を比較した多施設共同、フェーズ3のランダム化比較試験(JGOG3017/GCIG)の後ろ向き解析から、プラチナ製剤抵抗性再発の患者は、プラチナ製剤感受性再発の患者と比べて、増悪後生存期間(PPS)中央値が有意に短いことがわかった。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、三重大学大学院医学系研究科産科婦人科学の近藤英司氏が発表した。

 CCCはアジア人女性に多く、特に日本人では上皮性卵巣癌(EOC)の24-26.9%を占める。再発CCCの治療には細胞障害性抗癌剤が使用されるが、再発または持続性のCCCに対する有効な確立された治療法の報告はない。

 JGOG3017/GCIG試験では、再発または持続性のCCC患者における予後予測因子を検討することを目的として、組織学的にCCCが確認された、FIGO分類でI期からIV期の患者を対象に、TC療法(カルボプラチン、パクリタキセル)とCPT-P療法(イリノテカン、シスプラチン)を比較した。

 同試験には、2006年9月から2011年2月までにCCC患者619人が組み入れ基準に適格とされた。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、TC療法とCPT-P療法で有意差はなく、CPT-T療法も治療選択肢となることがすでに報告されている。

 今回発表されたのは、対象から再発を伴わない死亡を除き、2017年8月から2019年3月までの再発または持続性のCCC患者166人を後ろ向きに検討した結果だった。

 主要評価項目はPPSとし、プラチナ製剤感受性再発(無治療期間が182.6日を超える) vs プラチナ製剤抵抗性再発(同182.6日未満)、治療群(TC vs CPT-P)、病期、complete surgery(肉眼的残存腫瘍がない状態)/optimal surgery(最大残存腫瘍径が1cm未満)/suboptimal surgery(最大残存腫瘍径が1cm以上)、PS、人種により推定した。

 ベースラインの患者背景は、TC療法群とCPT-P療法群で有意差はなかった。

 166人の病期別の再発率は、IA/IB期で6.3%(96人中6人)、IC期で14.6%(315人中46人)、II-IV期で54.8%(208人中114人)となった。手術の状態からみた再発率は、complete surgeryでは19.4%(544人中106人)、optimal surgeryでは75%(36人中27人)、suboptimal surgeryでは84.6%(39人中33人)だった。

 PPS中央値は、全対象では14.0カ月(95%信頼区間:12.6-17.9)、TC療法群(77人)で13.5カ月(95%信頼区間:11.4-19.6)、CPT-T療法群(89人)で14.4カ月(95%信頼区間:11.0-18.8)となり、両群間で有意差はなく、ハザード比は1.02(95%信頼区間:0.71-1.47、p=0.898)となった。

 プラチナ製剤抵抗性再発の患者では、PPSが有意に短かった。PPS中央値は、プラチナ製剤抵抗性の患者(44.6%、74人)で10.9カ月(95%信頼区間:8.9-13.3)、プラチナ製剤感受性再発の患者(53.0%、88人)で18.8カ月(95%信頼区間:15.0-28.7)、ハザード比1.88(95%信頼区間:1.30-2.72、p<0.001)となった。

 さらに、プラチナ製剤抵抗性再発とプラチナ製剤感受性再発には、人種差(日本人 vs 日本人以外、p=0.022)、病期(IC期 vs IA/IB期またはII期またはIII期またはIV期、p=0.001)、残存腫瘍(complete vs optimalまたはsuboptimal、p<0.001)がみられた。この検討では、日本人(プラチナ製剤抵抗性再発が多い)、最大残存腫瘍(complete surgeryでプラチナ製剤感受性再発が多い)は予後予測因子となるとみられた。

 近藤氏は「このような患者を対象とする今後の臨床試験の基盤となる、再発CCC患者のPPSに関するデータが得られた。CCCの新たな治療戦略を開発する必要がある」としている。

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