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2019/6/2

mCRPCに対するエンザルタミドにアビラテロンとプレドニゾンを追加してもOSの延長は得られず【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対し、エンザルタミドアビラテロン+プレドニゾン(AAP)の併用療法は、エンザルタミド単剤と比較して治療中の画像診断上の無増悪生存期間(rPFS)をやや延長したものの、全生存期間(OS)は延長しないことが、フェーズ3のAlliance A031201試験から示された。有害事象も併用療法で多く観察された。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、米Memorial Sloan Kettering Cancer CentreのMichael J. Morris氏が発表した。

 mCRPCにおいて、アンドロゲン受容体(AR)のシグナル伝達は重要な増殖のメカニズムの1つであり、エンザルタミドやAAPなどのAR axis inhibitorによる治療の根拠となっている。

 一方で、エンザルタミドなどのAR標的薬は、代償性に自己分泌および傍分泌によるアンドロゲン刺激作用が起こる可能性がある。Morris氏らは、このような耐性メカニズムを防ぐため、エンザルタミドとアンドロゲンの生合成を阻害するAAPを併用することにより、生存期間が延長するとの仮説を立てた。

 Alliance A031201試験の対象は、Prostate Cancer Working Group 2の基準による進行性のmCRPC患者で、転移に対しタキサンによる前治療を受けていないこととされた。エンザルタミドまたはAAPによる前治療を受けた患者も除外された。

 エンザルタミド160mgを1日1回投与する群(ENZ群)、またはエンザルタミドとAAP(アビラテロン1000mgを1日1回、プレドニゾン5mgを1日2回)を投与する群(ENZ/AAP群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。層別化は、前治療の化学療法、Halabiのリスク分類で行った。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項はrPFS、治療中のPSA値の低下などだった。

 2014年1月から2016年8月までに1311人をランダムに割り付け、ENZ群657人、ENZ/AAP群は654人となった。患者背景はバランスが取れていた。患者の15.6%は高リスク、35.3%は中間リスク、48.1%は低リスクだった。前治療で化学療法を受けていたのは両群2.1%だった。

 解析の時点において、1311人中711人(54.2%)が死亡しており、ENZ群の56.6%、ENZ-AAP群の51.8%が死亡していた。増悪を認めたのは861人(65.7%)で、ENZ群の68.0%、ENZ/AAP群の63.3%が増悪していた。

 OS中央値は、ENZ群32.5カ月(95%信頼区間:30.4-35.4)、ENZ/AAP群34.2カ月(95%信頼区間:31.8-37.5)、ハザード比0.90(95%信頼区間:0.78-1.05)となり、有意差はなかった(p=0.19)。

 治療中止の理由のうち、最も多かったのは両群ともに画像上の増悪だったが、ENZ/AAP群では、有害事象、治療前の同意の撤回、治療中の脱落もENZ群と比べて多く認められた。

 グレード3-4の有害事象のうち、疲労感はENZ群の6.2%、ENZ/AAP群の11.4%、心房細動はそれぞれ0.5%、1.1%、高血圧は22.6%、30.1%に発現した。またグレード3-4のAST/ALT値の上昇はENZ群2.2%、ENZ/AAP群8.6%、低カリウム血症はそれぞれ0.8%、4.0%に発現した。全体では、グレード3-4の非血液毒性は、ENZ群56.6%、ENZ/AAP群68.5%に観察された。

 後治療では、アビラテロンはENZ群の18%、ENZ/AAP群の6%に投与され、ENZ群で多かったが、その他の後治療の分布は両群でバランスがとれていた。

 PSA値の低下の割合は両群で有意差はなかった。治療中のrPFS中央値は、ENZ群20.7カ月、ENZ/AAP群25.2カ月、ハザード比0.85(95%信頼区間:0.74-0.97)、p=0.02となったが、治療中と治療後の全てのrPFSのイベントを合わせたrPFS中央値は、ENZ群22.4カ月、ENZ/AAP群25.2カ月、ハザード比0.88(95%信頼区間:0.77-1.00)、p=0.05となり、有意差はなかった。ただし、rPFSとOSには相関が認められた。

 今回の結果から、Morris氏は「現在の標準治療は、本試験によって変わることはない」と結論した。

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