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2019/6/2

mCRPCの治療における骨折のリスクは骨修飾薬でコントロール可能【ASCO2019】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対し、エンザルタミドRadium-223(Ra 223)の併用療法、エンザルタミド単剤療法のいずれにおいても、骨修飾薬の併用を必須とすることにより骨折の発生率は減少することが、両治療を比較したEORTC-1333-GUCG(PEACE III)試験の早期の結果から確認された。5月31日から6月4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で、フランスInstitut de CancerologieのBertrand F. Tombal氏が発表した。

 骨折は、病理学的因子の有無に関わらず、mCRPCの全身療法での頻度が高い副作用である。新規のアンドロゲン受容体(AR)標的薬を評価したフェーズ3試験において、骨折は試験治療群で多く報告されている。

 アビラテロン+プレドニゾン/プレドニゾロン(AAP)+Ra223の併用群とAAP+プラセボを比較したERA223試験では、併用群で病的骨折、外傷性骨折、骨粗鬆症性の骨折などの骨折が有意に増加した。このため、同試験は2017年11月、独立データモニタリング委員会(IDMC)の勧告を受け、非盲検化とされた。同試験では、併用群では骨折の40%は最初の6カ月間に発生していること、登録時に患者の40%は登録時に骨修飾薬の投与を受けていたこと、さらに事後解析からは、両群ともに骨修飾薬の投与により骨折率が有意に低下したことがわかっている。

 EORTC-1333-GUCG(PEACE III)試験では、ERA223試験と同様の患者を対象としており、化学療法未治療のmCRPCで、無症候性または軽度の症状を有する患者で、骨転移が2個以上あり、内臓転移はなく、リンパ節転移の有無は問わないなどの条件を満たす患者だった。

 当初の試験デザインでは、エンザルタミド160mgを1日1回投与し、併用でRa223 55kBq/kgを4週毎に6サイクル投与する群(併用群)、またはエンザルタミドのみを投与する群(単剤群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。主要評価項目は画像診断上の無増悪生存期間(rPFS)だった。骨修飾薬(デノスマブまたはビスホスホネート)は、ベースラインで投与を受けていた患者のみに許可されていた。

 しかし、ERA223試験が非盲検化とされ、2018年3月に緊急安全性情報が配布されたたことを受け、EORTC-1333-GUCG(PEACE III)試験は2018年4月にプロトコールを改訂し(v4.0)、試験治療期間中は全例に骨修飾薬を使用することとした。また2018年3月14日以降に発生した全ての骨関連事象は、直ちに医薬品安全性監視(pharmacovigilance)に報告することとされた。

 IDMCに提出された4回目の安全性に関する報告(2019年5月20日)によると、同試験では併用群の43.1%、単剤群の46.3%が試験では、試験治療を中止している。

 ランダム化割り付けが緊急安全性情報の配布前に行われた患者は115人、配布後に行われた患者は45人で、骨修飾薬の投与を受けていない患者はそれぞれ53.9%、8.9%、試験治療中に骨修飾薬の投与を開始したのは、それぞれ27.0%、13.3%、ランダム化割り付けの時点から骨修飾薬の投与を継続していたのはそれぞれ15.7%、73.3%だった。合計では、試験治療中に骨修飾薬の投与を受けた患者はそれぞれ42.6%、86.7%となり、全対象の55.0%が投与を受けた。

 骨折の発生率は、骨修飾薬の投与を受けた併用群(39人)、骨修飾薬の投与を受けた単剤群(49人)、骨修飾薬の投与を受けなかった併用群(37人)、骨修飾薬の投与を受けなかった単剤群(35人)において、6カ月の時点ではそれぞれ0%、0%、5.6%(95%信頼区間:1.0-16.3)、8.8%(2.2-21.0)、12カ月の時点ではそれぞれ0%、0%、37.4%(21.8-53.1)、12.4%(3.9-26.2)となった。骨折の累積発生率は、併用群で骨修飾薬の投与を受けなかった場合に最も高かった。20カ月以降に骨折が発生した患者は、いずれのグループにおいても少なかった。

 これらの結果について、Tombal氏は「患者に骨修飾薬を投与した場合、両群において骨折のリスクが良好にコントロールできることが強く示唆される。今回の安全性解析は、mCRPC患者の治療では、国際的な推奨に従う重要性、特に骨転移のある患者の骨関連事象の予防では重要であることを確認するもの」としている。

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