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2019/4/3

チェックポイント1阻害薬prexasertibとオラパリブの併用は安全でBRCA変異のある卵巣癌で有効な可能性【AACR2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 チェックポイントキナーゼ1(CHK1)阻害薬prexasertib(LY2606368)とPARP阻害薬オラパリブの併用療法は、安全に投与でき、前治療のPARP阻害薬で進行したBRCA変異のある高異型度漿液性卵巣癌(HGSOC)に対して有効である可能性がフェーズ1試験で明らかになった。3月29日から4月3日まで米アトランタで開催されているAmerican Association for Cancer Research(AACR2019)で、米Dana-Farber Cancer InstituteのKhanh T. Do氏らが発表した。

 DNAが損傷すると、細胞周期は停止し、DNA修復が行われる。この過程でチェックポイントキナーゼ1は、相同組み換えタンパク(RAD51等)のリン酸化などを介して、相同組み換え修復(HRR)や、二本鎖DNAの複製が進行する領域である複製フォークの安定化において中心的な役割を果たす。そのためCHK1阻害薬はHRRを抑え、複製フォークを不安定化することで、抗腫瘍効果を示すと考えられた。前臨床試験では、prexasertibとオラパリブの併用はprexasertib単独、オラパリブ単独に比べて効果を示した。

 フェーズ1試験はオープンラベルで単群の用量漸増試験として、3+3デザインで実施された。試験の主要評価項目はprexasertibとオラパリブ併用療法の安全性と忍容性、最大耐用量(MTD)の決定、ならびに併用療法の薬物動態を評価することであった。

 患者はオラパリブによる7日間の導入期間ののち、28日おきにprexasertibを1日目と15日目に投与した。オラパリブは1-5日と15-19日に投与した。初回用量はprexasertibが80mg/m2、オラパリブが200mgだった。

 用量制限毒性(DLT)は導入期間と1サイクル目に、グレード3以上の非血液毒性、発熱性好中球減少もしくはグレード4の好中球減少症が5日を超えて続く場合、グレード4の血小板減少症もしくはグレード3の血小板減少症で出血を伴う場合、オラパリブの80%用量での投与とprexasertibの導入期間と1サイクル目での投与ができなかった場合とした。MTDは、導入期間と1サイクル目に、6人のうち2人までがDLTを経験した場合の用量とした。

 対象は、標準治療で増悪した、高異型度漿液性卵巣癌を含む進行固形癌患者21人。年齢中央値は58歳、うち女性が19人。前治療数の平均が6回(2-12回)で、BRCA変異のある患者10人のうち7人はPARP阻害薬による治療を受けていた。癌の種類は、卵巣癌14人、子宮内膜癌2人、肉腫3人、乳癌1人、大腸癌1人だった。

 初回用量における有害事象は、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、悪心、嘔吐、下痢で、グレード3以上の有害事象は白血球減少(52.3%)、好中球減少(53%)、貧血(14.3%)、血小板減少(2.4%)であった。初回用量で3人がDLTを経験した。

 そのため両剤で低用量が評価された結果、MTDは1段階減量のprexasertib 70mg/m2の1日目と15日目投与、オラパリブ 100mgの1-5日と15-19日投与と決定された。この用量でのグレード3以上の有害事象は白血球減少(50%)、好中球減少(50%)、貧血(4.8%)、血小板減少(4.8%)であった。

 また併用療法でも単剤療法と同じように安定した薬物動態が確認された。

 有効性に関して、BRCA1/2変異のあるHGSOC患者3人は部分奏効に達し、うち2人はPARP阻害薬による治療歴があった。

 導入期間と1サイクル目の16日目に腫瘍組織の生検が行われた。生検検体においてオラパリブのみを投与した場合に比べ、prexasertibとオラパリブの併用投与後はHRRに関与するタンパク質であるRAD51陽性細胞が減少していた。またDNA損傷修復に重要な因子であるヒストンH2AXのリン酸化(γ-H2AX)がprexasertib投与後は増加しており、DNA損傷が起きていることが確認された。そのためγ-H2AXの増加と一致したRAD51の減少は併用療法による相乗効果の作用機序を示すものであるとした。

 さらに患者由来のオルガノイド培養を行い、複製フォークの安定性について機能解析を行った。その結果、prexasertibで治療効果がなかった患者由来のオルガノイドでは安定した複製フォークが認められたが、治療効果があった患者のオルガノイドでは不安定性が示された。

 以上の結果から、MTDが決定し、prexasertib単独に比べオラパリブの併用で骨髄毒性は増加しなかったとした。またPARP阻害薬で進行したBRCA変異のあるHGSOC患者において、prexasertibと減量したオラパリブの併用療法は抗腫瘍効果が認められたとした。PARP阻害薬で進行したBRCA変異のあるHGSOC患者を対象に、MTDでの投与で患者登録を継続しているという。

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