このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2019/4/2

抗PD-1抗体が不応の転移性メラノーマに腸内細菌叢移植と抗PD-1抗体の再投与が有望かも【AACR2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 抗PD-1抗体が不応となった転移性メラノーマ患者において、腸内細菌叢の移植と抗PD-1抗体の再投与は安全に施行でき、効果も期待できることが、フェーズ1試験のプレリミナリーな結果で示された。3月29日から4月3日まで米アトランタで開催されているAmerican Association for Cancer Research(AACR2019)で、イスラエルSheba Medical Center/Tel Aviv UniversityのErez N. Baruch氏らが発表した。

 マウスモデルでは腸内細菌叢の移植(Fecal microbiota transplantation:FMT)が抗PD-1抗体の効果を高めることが示されている。そこで抗PD-1抗体抵抗性で転移を有するメラノーマ患者を対象に、腸内細菌叢の移植と抗PD-1抗体の再投与のフェーズ1試験(NCT03353402)が行われた。

 FMTは、大腸内視鏡による腸への移植、さらにドナーの便を入れたカプセルの経口投与で行われた。その後、抗PD-1抗体(ニボルマブ、14日おき)の再投与を行った。また維持療法として、抗PD-1抗体の投与に合わせて、便カプセルの経口投与も行った。6サイクル(3カ月)後は抗PD-1抗体のみを投与した。

 S状結腸鏡検査と結腸組織の生検を治療前と31日目に行い、PET-CTによる全身の画像検査を治療前と60日目に、腫瘍組織の生検を治療前と65-70日目に実施した。

 便を提供するドナーは、抗PD-1抗体で持続的な完全奏効を得られた転移性メラノーマ患者2人(ドナー#1:59歳男性、ドナー#2:41歳女性)。2人ともBRAF V600E変異を有し、ベムラフェニブあるいはベムラフェニブ+cobimetinibの治療を受けていた。抗PD-1抗体はニボルマブが投与され、完全奏効期間はそれぞれ12カ月、14カ月だった。

 便の提供を受けるレシピエントは、抗PD-1抗体による少なくとも1回の治療で効果が得られなかった転移性メラノーマ患者3人。抗PD-1抗体としてはレシピエント#1(66歳女性)がニボルマブとニボルマブ+イピリムマブ、レシピエント#2(69歳女性)はニボルマブ、レシピエント#3(78歳男性)はペムブロリズマブが投与されていた。BRAF V600E変異のある患者(レシピエント#1)ではdabrafenib+trametinibも投与されていた。抗PD-1抗体治療後のウォッシュアウト期間はそれぞれ43日、98日、52日だった。

 レシピエント#1とレシピエント#3はドナー#1から便移植を受け、レシピエント#2はドナー#2から移植を受けた。

 安全性に関して、FMT関連の重篤な有害事象(穿孔や重度の腹痛など)はなく、下痢や便秘、悪心などもなかった。また免疫関連の有害事象もなかった。

 細菌叢移植による変化を評価するため、レシピエントとドナーの便を用いて細菌の16S rDNA遺伝子をシーケンサーで解析した。その結果、移植前後でレシピエントの腸内細菌叢の組成は変化していた。レシピエント#1および#3(31日目)はドナー#1の組成と類似し、レシピエント#2(7日目)はドナー#2と類似していた。2つの細菌群が特に変化しており、抗PD-1抗体の効果に関連する細菌群(Matson V, et al. Science 2018)が便移植後は増加、反対に効果不良と関連する細菌群(Routy B, et al. Science 2017)は減っていた。

 生検組織を用いた免疫組織化学的染色で、腸の組織および腫瘍組織で、移植後にCD68陽性細胞の浸潤の増加が認められた。治療後の腫瘍内CD8陽性T細胞の浸潤も増加した。

 レシピエント#1とレシピエント#3は臨床所見および画像所見で治療による効果が認められた。レシピエント#2は病勢進行した。

 これらの結果から、治療抵抗性の転移性メラノーマ患者において、FMTと抗PD-1抗体の再投与は安全に施行できるとした。またドナーと類似した腸内細菌叢に変化し、免疫細胞の浸潤も増加したことから、「cold tumorからhot」に変わる可能性が示唆されたとした。ただし、サンプル数が3人であること、複数の治療を行っているため、効果はどの治療によるものかは明らかでなく、さらに検討が必要であるとした。

この記事を友達に伝える印刷用ページ