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2019/1/20

切除可能膵癌でゲムシタビン+S-1による術前化学療法が手術先行と比較してOSを延長【ASCO GI2019】

森下紀代美=医学ライター

 切除可能膵癌に対し、ゲムシタビンS-1の併用療法による術前化学療法(NAC-GS)を施行後に手術を行い、S-1による術後補助化学療法を行う治療戦略は、手術を先行して術後補助化学療法を行う標準的治療よりも、全生存期間(OS)を有意に延長することが、第II/III相のランダム化比較試験Prep-02/JSAP-05から示された。米国サンフランシスコで2019年1月17日から19日まで開催されたGastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI2019)で、東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座消化器外科学分野の海野倫明氏が発表した。

 手術を先行し、術後補助化学療法を行う治療戦略は、切除可能膵癌に対する標準的治療であるが、OSは限られている。また、この治療戦略は、審査腹腔鏡で切除不能と判明した患者や、術後合併症で回復が遅れた患者に行うことはできない。

 術前補助療法は膵癌の治療選択肢の1つであるが、切除可能膵癌に対する有効性を示すエビデンスはない。

 海野氏らは2010年から2012年に、前向き、単群、第II相のPrep-01 NAC-GS試験を行い、切除可能またはborderline resectableな膵管腺癌の患者を対象として、NAC-GSを評価している。主要評価項目の2年OS率は、NAC- GS、R0/1切除、ゲムシタビンによる術後補助化学療法を行った患者で74.6%となった。

 Prep-01 NAC-GS試験の結果を受けて行われたのが、Prep-02/JSAP-05試験である。この試験では、切除可能な膵管腺癌の患者を対象として、手術を先行し、S-1による術後補助化学療法を行う群(手術先行群)と、NAC-GSを行った後に手術を行い、S-1による術後補助化学療法を行う群(NAC-GS群)を比較した。主要評価項目は、第II相の部分では切除率、第III相の部分ではOSだった。

 主な適格基準には、組織学的または細胞学的に確認された未治療の膵管腺癌で、放射線学的診断で遠隔転移のない限局性の腫瘍であること、総肝動脈や腹腔動脈、上腸間膜動脈などの動脈に接触・浸潤がなく、R0/1切除が可能であること、ECOG PS 0または1であること、20-79歳であることなどが含まれた。

 患者は、手術先行群またはNAC-GS群にランダムに割り付けられた。NAC-GS群では、術前化学療法として、ゲムシタビン1g/m2を1日目と8日目に、S-1 40mg/m2を1日2回、1-14日目まで投与し、このレジメンを2サイクル行った。

 第II相の部分は、試験治療群であるNAC-GS群において、第III相に進めるための十分な切除率が得られるかを確認するために計画された。2013年1月から9月までに登録された患者86人で評価した切除率は、NAC-GS群93%、手術先行群82%となり、事前に定めた基準を満たすことが確認された。

 Prep-02/JSAP-05試験には、2013年1月から2016年1月までの3年間に57施設から計364人が登録され、最終的にNAC-GS群182人、手術先行群180人がITT解析対象となった。患者背景は両群でバランスがとれていた。

 NAC-GSによるグレード3または4の有害事象は72.8%に発現し、白血球減少症と好中球減少症が多く観察された。

 ITT解析対象におけるOS中央値は、NAC-GS群36.72カ月、手術先行群26.65カ月、ハザード比0.72(95%信頼区間:0.55-0.94)、p=0.015となった。2年OS率は、NAC-GS群63.7%、手術先行群52.5%だった。また全てのサブグループにおいて、予後はNAC-GSで良好だった。

 手術が行われた各群157人では、ランダム化割り付けから手術までの日数を除き、手術に関して有意差はみられなかった。術後合併症の発生率は、NAC-GS群(45.9%)と手術先行群(49.7%)で同等だった(p=0.57)。周術期の死亡は両群ともに発生しなかった。

 手術が行われた患者の病理学的所見で有意差が見られたのはpN(p<0.01)で、pN1はNAC-GS群59.6%、手術先行群81.5%となり、リンパ節転移はNAC-GS群で有意に減少した。

 全対象の再発形式で有意差がみられたのは肝転移(p=0.01)で、NAC-GS群の30.0%、手術先行群の47.5%に発生し、NAC-GS群で有意に減少した。

 今回の結果から、海野氏は「術前化学療法は、切除可能な膵管腺癌の患者に対する新たな標準的治療となると考えられる」と話した。

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