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2018/12/9

HER2陰性早期乳癌で過体重の患者の減量に集中的な生活様式の介入プログラムが寄与【SABCS2018】

森下紀代美=医学ライター

 HER2陰性の早期乳癌で術後化学療法が行われた過体重の患者に対し、電話ベースの集中的な生活様式の介入プログラムは、一般的な推奨のみを行う場合と比べて減量の成功につながることが、フェーズ3のランダム化比較試験SUCCESS Cの中間解析から示された。また探索的な解析では、2年間の介入プログラムを完了した場合に予後の改善が期待できる可能性が示された。12月4日から8日まで米・サンアントニオで開催されたSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS2018)で、ドイツUniversity Hospital UlmのWolfang Janni氏 が発表した。

 近年の臨床試験から、肥満と身体活動の低さは乳癌の発症リスクを高め、すでに乳癌に罹患した患者では、再発と生存へのリスクが高まるとするエビデンスが示されている。

 SUCCESS C試験は、ドイツで行われた非盲検、多施設共同、2×2ファクトリアルデザインの試験で、HER2陰性の早期乳癌患者を対象に、2つの異なる化学療法のレジメンで無病生存期間(DFS)などを比較した。

 患者は、5FU 500mg/m2+エピルビシン100mg/m2+シクロホスファミド500mg/m2を3週毎に3サイクル投与した後、ドセタキセル100mg/m2を3週毎に3サイクル投与する群(FEC-D群)、またはドセタキセル75mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2を3週毎に6サイクル投与する群(DC群)にランダムに割り付けられた。DFSは両群で有意差はなく、アンスラサイクリンを含まないDC群の有効性は十分であることが、昨年のSABCS2017で報告されている。

 今回報告されたのは、同試験で2回目のランダム化割り付けを行い、術後化学療法後の身体活動と健康的な食事に焦点を当てた生活様式の集中的な介入プログラムを実施し、DFSに対する効果を評価した結果だった。

 2回目のランダム化割り付けでは、BMI 24-40の患者を対象とし、食事と運動で2年間に中等度の減量を行うことを目的として、電話をベースとする生活様式の介入プログラムを行う群(LI群)、または健康的な生活について一般的な推奨のみを行う群(非LI群)に、患者を割り付けた。生活様式の介入では、食事内容の改善、脂肪の摂取量の抑え方、身体活動の増やし方などについてアドバイスするとともに、体重管理に関連する行動やモチベーションなどの問題に対応した。

 DFSの分析は、年齢、BMI、閉経の状態、腫瘍の大きさ、リンパ節の状態、組織学的グレード分類、組織型、ホルモン受容体、術後化学療法の割り付けを調整したCox回帰分析で行った。追跡期間中央値は、DFSで64.2カ月、OSで64.6カ月となった。

 同試験の3643人が対象となり、2292人に2回目のランダム化割り付けを行い、各群1146人となった。LI群と非LI群の臨床病理学的特徴に偏りはなく、BMIの中央値は両群ともに28、リンパ節転移陽性は約60%だった。

 生活様式の介入により、介入開始から2年間の追跡で、LI群では減量に成功していた。介入開始時からの体重の変化は、LI群では平均1.0kg(95%信頼区間:0.60-1.39)の減少、非LI群の患者は平均0.95kg(95%信頼区間:0.61-1.31)の増加が示された(p<0.001)。

 DFSとOSは両群間で差はなかった(それぞれp=0.922、p=0.799)。多変量Cox回帰分析でも差はみられず、DFSのハザード比は0.91(95%信頼区間:0.70-1.18)、p=0.48、OSのハザード比は0.90(95%信頼区間:0.63-1.28)、p=0.56だった。

 ただし、LI群では介入プログラムを完了したのは64.4%にとどまっていた。そのため、探索的なサブグループ解析として、介入の完了に関する解析が行われた。介入の完了の定義は、LI群では2年間の生活様式の介入プログラムを完了したこととし、非LI群では、健康的な生活に関する基本的な情報を受けていることなどとした。

 介入を完了したのは、LI群で552人(48.2%)、非LI群では925人(80.7%)となり、LI群で低い割合となった。介入を完了しなかった患者では、減量はLI群と非LI群で差はなく、LI群では介入を完了した患者でのみ減量が認められた。またLI群では、介入を完了した患者は、完了しなかった患者と比べて、年齢がやや若く(p=0.013)、組織学的グレード分類でG1、G2がやや多く(p=0.043)、ホルモン受容体陽性例が多かった(p=0.004)。

 介入を完了した患者では、完了しなかった患者と比べて、DFSとOSが有意に延長した(いずれもp<0.001)。またDFSの観察期間中央値は、介入を完了した患者で64.4カ月、完了しなかった患者で58.9カ月(p<0.001)となった。OSの観察期間中央値は、介入を完了した患者で64.7カ月、完了しなかった患者で63.3カ月となった(p<0.001)。

 介入を完了した患者のみで行った多変量Cox回帰分析では、LI群の非LI群に対するDFSのハザード比は0.51(95%信頼区間:0.33-0.78)、p=0.002となった。

 Janni氏 は、介入プログラムを完了した患者と完了しなかった患者の間にバイアスがあることに言及し、今回の探索的な中間解析の結果の解釈には注意が必要と話した。同試験ではさらに長期の追跡、その他の転帰、予後因子の解析を予定している。

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