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2018/10/30

ROS1/TRK阻害薬entrectinibはNTRK融合遺伝子陽性の固形腫瘍に有望【ESMO2018】

森下紀代美=医学ライター

 NTRK融合遺伝子陽性の固形腫瘍の患者に対し、ROS1/TRK阻害薬entrectinibは、全身での奏効率は57.4%、頭蓋内奏効率は54.5%と臨床的に意義のある持続的な効果をもたらし、忍容性も良好であることが、entrectinibを評価したフェーズ2のSTARTRK-2試験、フェーズ1のSTARTRK-1試験およびALKA-372-001試験の統合解析から示された。10月19日から23日までドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、米国Dana-Farber Cancer Institute and Harvard Medical SchoolのGeorge D. Demetri氏が発表した。

 NTRK融合遺伝子は、さまざまな癌種の原因遺伝子として特定されている。NTRK融合遺伝子陽性の頻度は低く、現時点ではこの変異を標的とする治療の承認には至っていない。

 entrectinibは、TRK A/B/CおよびROS1チロシンキナーゼを強力かつ選択的に阻害する経口薬。さまざまな癌種で抗腫瘍効果が示されており、中枢神経系(CNS)転移への効果も認められている。ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌(NSCLC)では、CNS転移を有する患者を含む全対象の奏効率は77%となり、その効果は持続的であることが報告された。

 今回の統合解析の目的は、NTRK融合遺伝子陽性の固形腫瘍の患者を対象として、安全性と有効性を評価することだった。

 3件のフェーズ1、2試験には、NTRK 1/2/3、ROS1、ALKの遺伝子再構成を有する局所進行または再発の固形腫瘍の患者が登録された。今回の解析対象は、局所進行または転移を有するNTRK融合遺伝子陽性の固形腫瘍を有し、TRK阻害薬による治療歴がない成人患者とされた。NTRK融合遺伝子のスクリーニングには、次世代シーケンサー(NGS)などの核酸ベースの診断法を用いた。

 3件の試験のうち、フェーズ2のSTARTRK-2試験は、日本を含む15カ国から150施設が参加した第II相グローバルバスケット試験で、entrectinib 600mgを1日1回、28日を1サイクルとして投与した。このSTARTRK-2試験からは最も多い51人、第I相の用量漸増試験であるSTARTRK-1試験からは2人、ALKA-372-001試験からは1人のデータがそれぞれ収集された。主要評価項目は、盲検下の独立中央判定(BICR)の評価による奏効率と奏効期間、副次的評価項目はBICRの評価による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)、頭蓋内奏効率と奏効期間、安全性と忍容性だった。

 NTRK融合遺伝子陽性の患者54人の年齢中央値は57.5歳(範囲:21-83)、女性は59.3%、白人は79.6%、アジア人は13.0%、前治療で全身療法を1レジメン受けた患者は20.4%、2レジメン以上受けた患者は42.6%だった。ベースラインでCNS転移を認めた患者は22.2%だった。癌種は10種類、組織病理学評価では19種類以上となり、最も多かったのは肉腫で24%、NSCLCの19%、乳腺類似分泌癌の13%、乳癌の11%が続いた。

 データカットオフ日を2018年5月31日とし、追跡期間中央値15.5カ月の時点において、BICRの評価による奏効率は57.4%(95%信頼区間:43.2-70.8)となり、奏効は全ての癌種で認められた。

 奏効率をベースラインのCNS転移の有無でみると、CNS転移を認めた患者(12人)では50.0%、認めなかった患者(42人)では59.5%となった。

 NTRK融合遺伝子で奏効率をみると、NTRK1を有する患者(22人)では59.1%、NTRK2を有する患者(1人)では0%、NTRK3を有する患者(31人)では58.1%となった。

 奏効期間の評価が可能だった31人では、追跡期間中央値13.1カ月の時点において、奏効期間中央値は10.4カ月(95%信頼区間:7.1-評価不能[NE])となった。

 また、NTRK融合遺伝子陽性の54人のPFS中央値は、追跡期間中央値12.9カ月において、11.2カ月(95%信頼区間:8.0-14.9)、OS中央値は20.9カ月(95%信頼区間:14.9-NE)となった。

 ベースラインでCNS転移を認めた患者では、頭蓋内奏効は評価可能だった11人中6人で得られ、頭蓋内奏効率は54.5%となった。完全奏効(CR)は3人(27.3%)で得られた。頭蓋内奏効の奏効期間中央値はNE、PFS中央値は14.3カ月となった。

 安全性解析対象は、entrectinibを評価した3試験で投与を受けた全患者355人で行われた。ほとんどの治療関連有害事象(TRAE)はグレード1または2で可逆性であり、減量(27.3%)または中断(25.4%)で管理可能だった。TRAEのため投与を中止した患者は3.9%と少なかった。NTRK融合遺伝子陽性の患者では、entrectinibの投与を1回以上受けた68人のデータが収集され、全対象と一致する結果だった。

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