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2018/8/29

転移性脳腫瘍数が4個以下で手術が必要な場合の術後放射線治療は定位放射線照射が標準に

横山勇生=編集委員

 頭蓋内の転移腫瘍が3cm以上で神経症状が強い場合の標準治療は、手術による脳転移巣の摘出とその後のサルベージ定位放射線照射SRSγナイフリニアックサイバーナイフ)であることが明らかとなった。脳転移個数が4個以下で、腫瘍の最大径が3cmを超える転移巣が1つのみの転移性脳腫瘍摘出後の放射線照射として、SRSの全脳照射WBRT)への非劣性を検証したフェーズ3試験であるJCOG0504の結果から分かったもの。試験では、SRSとWBRTで全生存期間(OS)は変わらないこと、治療開始から30日目、31日目から90日目まで、中等度の放射性皮膚炎、食欲不振、悪心などの副作用がWBRTの場合で多いこと、91日目以降で記憶障害・認知障害がWBRTで多いことが示された。

 結果は既に2018年6月21日に、Journal of Clinical Oncology誌に掲載されている。8月28日に国立がん研究センターが記者会見を行い、詳細について解説を行った。

 JCOG0504試験には、2006年2月15日から2014年5月27日までに頭蓋内の転移個数が4個以下で、腫瘍の最大径が3cmを超える転移巣が1つのみの転移性脳腫瘍患者271人が登録された。腫瘍摘出後にWBRTを受ける群(WBRT群、137人)とSRSを受ける群(SRS群、134人)に割り付けられた。年齢中央値はWBRT群が61歳(34-79)、SRS群が63歳(28-78)。原発巣は、WBRT群は非小細胞肺癌が48.2%、乳癌が19.7%、大腸癌が13.1%、その他が19.0%、SRS群は非小細胞肺癌が47.0%、乳癌が19.4%、大腸癌が14.2%、その他が19.4%だった。転移個数1がWBRT群73.0%、SRS群73.9%だった。単発病変に対する全摘出割合はWBRT群84.0%、SRS群76.9%。術後に残存病変のない患者はWBRT群61.3%、SRS群59.7%だった。

 試験の結果、OS中央値は、WBRT群が15.6カ月(95%信頼区間:12.2-19.8)、SRS群が15.6カ月(95%信頼区間:11.4-20.8)で、ハザード比1.05(95%信頼区間:0.83-1.33)、非劣性に対するp=0.0266で、非劣性であることが証明された。

 試験期間が長かったため、登録期間の後半でOSが長い傾向があったが、治療群間で大きな差はなかった。癌種別では乳癌でSRS群のOSが長かったが、他の癌種では差がなかった。術前のPS、術後のPS、単発、多発、残存病変の有無に関わらず、両群間にOSに差はなかった。

 脳内無増悪生存期間中央値は、WBRT群が10.4カ月、SRS群が4.0カ月、ハザード比1.91(95%信頼区間:1.46-2.51)で、WBRT群で長かったが、頭蓋内病変による死亡は、WBRT群が21.9%、SRS群が21.0%と差がなかった。

 治療開始から30日までのグレード3/4の血液毒性は両群とも5%未満、グレード3/4の非血液毒性はWBRT群が9.6%、SRS群が7.6%。プロトコール治療開始から30日目・31日から90日までは、グレード2-4の放射性皮膚炎、食欲不振、悪心がWBRT群で多く、91日目以降では記憶障害・認知障害がSRS群よりもWBRT群で有意に多かった。91日目以降のグレード2-4の記憶障害は、WBRT群が16.4%、SRS群が6.8%、認知障害はWBRT群が16.4%、SRS群が7.7%だった。

 なお、SRS群のうち追加のSRSが実施されなかったのは35.1%、1回が50.0%、2回が11.9%、3回が2.2%、4回が0.7%だった。37.3%がWBRTを受けた。SRS群でWBRTを受けた患者での記憶障害、認知障害の発現度については、データを解析しておらず、不明であると記者会見では説明された。

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