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2018/06/11

EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療でdacomitinibはゲフィチニブに比べOSを有意に延長【ASCO2018】

八倉巻尚子=医学ライター

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療として、第2世代EGFR-TKIであるdacomitinibゲフィチニブに比べて有意にOSを延長させることが、フェーズ3試験ARCHER 1050の最終的な全生存期間(OS)の解析で明らかになった。Chinese University of Hong Kong のTony Mok氏らが、6月1日から5日まで米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で発表した。

 ARCHER 1050試験は、新規診断3B期/4期のNSCLC患者または再発NSCLC患者で活性型EGFR変異(エクソン19の欠失あるいはエクソン21のL858R変異)を持ち、中枢神経系に転移がない患者を対象に行われた。452人をdacomitinib群とゲフィチニブ群に無作為に1対1で割り付けた。人種(アジア人、非アジア人)、EGFR変異の種類(エクソン19の欠失、エクソン21のL858R変異)で層別化された。Dacomitinibは45mgを1日1回経口投与し、ゲフィチニブは250mgを1日1回経口投与した。

 主要評価項目は盲検化された独立審査委員会の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は治験担当医師による評価のPFS、奏効率、OS、安全性などだった。

 これまでに、dacomitinibはゲフィチニブに比べてPFSを有意に延長することが報告されている(Wu et al, Lancet Oncol, 2017)。PFSのデータカットオフ日(2016年7月29日)の時点で、dacomitinib群のPFS中央値は14.7カ月、ゲフィチニブ群は9.2カ月、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.47-0.74)、p<0.0001だった。今回はOSの結果が報告された。

 2017年2月17日時点で、220人(48.7%)が死亡し、dacomitinib群(227人)では103人(45.4%)、 ゲフィチニブ群(225人)では117人(52.0%)だった。観察期間中央値は31.3 カ月で、dacomitinib群31.1カ月、ゲフィチニブ群31.4カ月であった。

 OS中央値はdacomitinib群 34.1 カ月(95%信頼区間:29.5-37.7)、ゲフィチニブ群26.8 カ月(95%信頼区間:23.7-32.1)、層別解析でハザード比 0.76(95%信頼区間:0.582-0.993)、両側検定p=0.0438だった。30カ月生存率はdacomitinib群56.2%、ゲフィチニブ群46.3%となった。また増悪時に中枢神経系の転移が認められた患者はdacomitinib群1人、ゲフィチニブ群11人だった。
 
 サブグループ解析の結果、ほとんどのサブグループでdacomitinibによるOSの延長が示された。
 
 ランダム化時点でのEGFR変異の種類別に、エクソン19 欠失ではdacomitinib群(134人)のOS中央値は34.1カ月(95%信頼区間:30.1-NR)、ゲフィチニブ群(133人)は到達せず(NR)(95%信頼区間:25.0-NR)で、ハザード比0.880(95%信頼区間:0.613-1.262)、両側検定p=0.4862だった。30カ月生存率はdacomitinib群59.7%、ゲフィチニブ群52.7%となった。
 
 L858R変異ではdacomitinib群(93人)のOS中央値は32.5カ月(95%信頼区間:25.5-NR)、ゲフィチニブ群(92人)は23.2カ月(95%信頼区間:19.6-28.6)で、ハザード比0.707(95%信頼区間:0.478-1.045)、両側検定p=0.0805だった。30カ月生存率はdacomitinib群51.6%、ゲフィチニブ群36.7%であった。
 
 アジア人では、dacomitinib群(170人)34.2カ月(95%信頼区間:30.1-NR)、ゲフィチニブ群(176人)は29.1カ月(95%信頼区間:25.2-NR)で、ハザード比0.812(95%信頼区間:0.595-1.108)、両側検定p=0.1879だった。30カ月生存率はdacomitinib群58.9%、ゲフィチニブ群49.9%であった。また非アジア人でもハザード比0.721(95%信頼区間:0.433-1.201)だった。

 後治療別には、最初の後治療が化学療法だった患者ではOS中央値はdacomitinib群(63人、27.8%)29.5カ月、ゲフィチニブ群(80人、35.6%)24.6カ月だった。後治療が第3世代EGFR-TKIだった患者ではdacomitinib群(22人、9.7%)36.7カ月、ゲフィチニブ群(25人、11.1%)NRだった。第3世代EGFR-TKIにはオシメルチニブ、olmutinib、rociletinib、avitinib、TAS-121が含まれる。その他のEGFR-TKIが使われた患者ではdacomitinib群(20人、8.8%)34.7カ月、ゲフィチニブ群(19人、8.4%)32.1カ月だった。その他のEGFR-TKIにはゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブなどが使われた。

 有害事象についても長期結果が報告された。dacomitinib群の主なグレード3以上の有害事象は、下痢(8.8%)、爪周囲炎(7.5%)、ざ瘡様皮膚炎(13.7%)、口内炎(3.5%)、皮疹(4.4%)であった。ゲフィチニブ群ではALT上昇(8.5%)、AST上昇(4.0%)が見られた。また用量調整がdacomitinib群で66.5%、ゲフィチニブ群は8.0%の患者で行われた。dacomitinib群では30mgへの減量が38.8%、15mgへの減量が27.8%だった。

 以上の結果から、EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として2つのEGFR-TKIを比較したランダム化フェーズ3試験において、ARCHER 1050試験はOSの改善を示した最初の試験であり、dacomitinibは標準治療の選択肢の1つになるとした。この結果は同日、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された。

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