抗CLDN18.2抗体IMAB362を進行胃癌、胃食道接合部癌の1次治療としてmFOLFOX6と併用投与するフェーズ3試験が間もなく開始される。また、CAPOXと併用するフェーズ3試験は今年後半に開始される予定だ。試験を実施するアステラス製薬によると、日米欧アの世界規模で実施する試験になるという。
CLDN18.2は膜たんぱく質で、タイトジャンクション形成に関わる主要なたんぱく質であるクローディンファミリーの1つ。胃粘膜以外の正常組織では発現せず、様々な癌で発現し、胆道癌、膵臓癌、胃癌、粘液性卵巣癌の70%から90%に存在しているとされる。
mFOLFOX6との併用を評価する多施設二重盲検無作為化フェーズ3試験は、腫瘍細胞でCLDN18.2が75%以上発現した患者を対象としている。アステラス製薬によると、進行胃癌の約3分の1の患者にあてはまるという。試験参加者数は550人の予定で、IMAB362とmFOLFOX6を投与する群とプラセボとmFOLFOX6を投与する群に割り付けられる。試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、全生存期間(OS)、奏効率、奏効期間などだ。
2016年のASCOでは、IMAB362をEOXと併用したフェーズ2試験FASTの結果が報告されている。FAST試験は、CLDN18.2が40%以上の腫瘍細胞で2+/3+の強度で発現した胃癌、胃食道接合部腺癌患者を対象に、1次治療として行われた。EOXのみを投与する群(EOX群)とEOXにIMAB362を加えて投与する群(IMAB362群)に分けて実施され、主要評価項目はPFSだった。試験の結果、PFS中央値はEOX群が4.8カ月、IMAB362群が7.9カ月で、ハザード比0.47、p=0.0001で有意にIMAB362群が良い結果だった。OS中央値もEOX群が8.4カ月、IMAB362群が13.2カ月で、ハザード比0.51、p=0.0001で有意にIMAB362群が良好だった。腫瘍細胞の70%以上でCLDN18.2が発現している患者に限定すると、OS中央値はEOX群が9カ月、IMAB362群が16.7カ月で、ハザード比0.45、p<0.0005とさらに良い結果となっていた。
近く開始される試験は、CLDN18.2の発現が75%以上とされているが、検査キットの違いによるもので、FAST試験の70%以上とされた患者と同レベルにCLDN18.2が発現した患者だという。