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2017/6/6

レゴラフェニブとTAS-102、標準的な化学療法に耐性のmCRC患者のOSに対する効果は同様の可能性【ASCO2017】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する大腸癌(mCRC)で標準的な化学療法に耐性の患者に対し、レゴラフェニブとTAS-102(トリフルリジン・チピラシル)は全生存期間(OS)に対して同様の有効性を示すと考えられることが、日本の大腸癌研究会(JSCCR)による多施設共同の観察研究の傾向スコア解析から示された。6月2日から6日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2017)で、国立がん研究センター東病院消化管内科の福岡聖大氏が発表した。

 mCRCでレゴラフェニブおよびTAS-102の投与が可能な患者に対し、どちらの薬剤を先に投与すべきかは、直接比較が行われていないため、明らかになっていない。

 今回の研究では、標準的な化学療法に耐性の患者を対象として、レゴラフェニブとTAS-102の有効性を比較し、今後前向き比較試験を実施すべきかどうかを検討した。2014年6月から2015年11月までにレゴラフェニブまたはTAS-102を投与したmCRC患者の臨床データを後ろ向きに収集し、2016年9月まで追跡した。

 対象は、組織学的に大腸の腺癌が確認され、レゴラフェニブおよびTAS-102の投与を受けていない、フッ化ピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、ベバシズマブ、抗EGFR抗体(KRAS/NRAS野生型の場合)による治療を受けた患者だった。ECOG PSは0-2であることとされた。

 JSCCRの24施設から589人が登録され、550人が解析の組み入れ基準を満たした。主要評価項目は全生存期間(OS)だった。レゴラフェニブ群223人、TAS-102群327人を傾向スコアで調整して主要解析を行い、傾向スコアを用いて1対1のマッチングを行った各群174人で感度分析を行った。傾向スコアは、年齢や性別、BMI、ECOG PS、原発腫瘍の部位、原発腫瘍の切除、組織型、RASの状態などを含む、20の予後変数を含む多変量回帰ロジスティックモデルを用いて算出した。

 患者背景のうち、原発腫瘍が右側の割合はレゴラフェニブ群で高く、骨転移はTAS-102群で多く、患者の希望による投与はTAS-102群で多く、最初に減量が多かったのはレゴラフェニブ群だった。

 PSで調整した解析の結果、OSは2群で同様となった。OS中央値は、レゴラフェニブ群7.9カ月、TAS-102群7.4カ月、TAS-102群のレゴラフェニブ群に対する調整ハザード比は0.96(95%信頼区間:0.78-1.18)、p=0.69だった。

 無増悪生存期間(PFS)も両群間で差がなかった。PFS中央値は両群2.1カ月となり、調整ハザード比は0.94(95%信頼区間:0.78-1.14)、p=0.54だった。

 治療成功期間(TTF)には有意差がみられ、TTF中央値はレゴラフェニブ群1.9カ月、TAS-102群2.0カ月、調整ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.68-0.97)、p=0.025となった。

 ECOG PSが2以上となるまでの期間は、両群間で差がなかった。同期間の中央値はレゴラフェニブ群4.9カ月、TAS-102群4.6カ月、調整ハザード比は1.00(95%信頼区間:0.82-1.23)、p=0.97だった。

 OSのサブグループ解析では、レゴラフェニブ群はTAS-102群と比べて、65歳未満の患者で良好、65歳以上の患者では不良となることが示された(p=0.012)。OS中央値は、65歳未満の患者ではレゴラフェニブ群10.4カ月、TAS-102群7.0カ月、65歳以上の患者ではそれぞれ6.2カ月と7.7カ月だった。

 傾向スコアでマッチングさせた各群174人では、両群間の患者背景は初回の減量を除いてバランスがとれていた。有効性の傾向は主要解析の結果と類似しており、OS中央値はレゴラフェニブ群8.0カ月、TAS-102群7.4カ月、調整ハザード比1.02(95%信頼区間:0.80-1.30)、p=0.89となった。

 これらの患者におけるPFSの調整ハザード比は0.92(95%信頼区間:0.74-1.15)、p=0.47、TTFの調整ハザード比は0.80(95%信頼区間:0.64-0.98)、p=0.036、ECOG PSが2以上となるまでの期間の調整ハザード比は1.02(95%信頼区間:0.81-1.30)、p=0.85だった。

 福岡氏らは「年齢により薬剤の選択が生存に影響する可能性が考えられるが、レゴラフェニブとTAS-102を使い分けるためには、今後の研究で明確な効果予測因子となるバイオマーカーを特定する必要がある」としている。

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