メディネットは8月21日、東京大学医学部附属病院と共同で行っていた、腎細胞癌を対象に樹状細胞ワクチン療法と分子標的薬スニチニブを併用した臨床試験の結果が、米国がん免疫学会(Society for Immunotherapy of Cancer)の学会誌「Journal for Immuno Therapy of Cancer」(2014年8月19日電子版)に掲載されたと発表した。
実施された臨床試験(研究責任医師:東大病院泌尿器科・男性科教授の本間之夫氏)は、腎細胞癌を対象に、手術で採取した患者の腫瘍組織を調製したもの(ライセート)を樹状細胞に導入する樹状細胞ワクチン療法と分子標的薬スニチニブを併用し、その治療法の安全性と有効性を評価することを目的として実施された。この臨床試験では、メディネットの樹状細胞加工技術が用いられた。
試験の結果、登録した8人(男性5人、女性3人、55-75歳)で、完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が1人、病勢安定(SD)が3人に認められた。樹状細胞ワクチン療法に起因した重篤な有害事象はなく安全に実施可能であった。
メディネットは今回の臨床試験の結果における重要な点として、分子標的薬が体内の免疫機構に変化を与えることが確認できたことだとしている。スニチニブを使用することで骨髄由来抑制細胞(MDSC)や制御性T細胞(Treg)といった免疫抑制に関与する細胞を減少させることができたという。分子標的薬による免疫抑制状態の解除は、腫瘍組織を用いた樹状細胞ワクチンの免疫応答を高め、治療効果をより引き出すことが可能であることが示唆されるとしている。