国立がん研究センターがん対策情報センターは、がんが再発した患者やその家族向けに『もしも、がんが再発したら:[患者必携]本人と家族に伝えたいこと』を出版する。
同センターは昨年、がんに初めてかかった患者向けに『患者必携 がんになったら手にとるガイド』(学研メディカル秀潤社、1260円)を出版。だがその当初から、再発時に必要な情報がほしいという要望が寄せられていた。そこで、がんの専門医と、同センターの活動を支援する「患者・市民パネル」のうち再発がんや多重がんを経験した患者を中心とした8人がワーキンググループを結成し、内容を検討してきた。
できあがった『もしも、がんが再発したら』には、「再発、転移とは」、「痛みについて」、「体や心の不調に対処する」、「治療法をどう選ぶか」、「生きる意味を考えること」など、様々な内容が盛り込まれている。あえて章を立てず、どこからでも読んでもらえるように配慮した。
患者の体験談が豊富に収録されているのも特徴。試作版を読んでもらったところ、がん体験者の97%(153/158)、医療者の96%(248/258)が「役に立った情報があった」と回答し、中でも体験者のエピソードに対する評価が高かった。28日に会見した理事長の嘉山孝正氏は「患者さんの目線で、患者さんが共感できる本ができた。患者や家族だけでなく、医療者にもぜひ読んでほしい」と話す。
同センターは今後、同書の見本版(内容は市販版と同じ)を、全国のがん診療連携拠点病院や公共図書館など約1000カ所に配布する。さらに、一定の条件を満たすがんの患者会・患者支援団体にも見本版を提供する。同時に、3月5日から同センターのウェブサイト(http://ganjoho.jp/public/index.html)でPDFファイルを無料で公開する。今後はスマートフォンにも対応できるようにする予定だ。
『もしも、がんが再発したら:[患者必携]本人と家族に伝えたいこと』は、英治出版刊(ISBN978-4-86276-139-2)。788円(税込)。