国のがん対策推進協議会が12月26日、厚生労働省内で開かれ、2012年度からの5カ年計画である次期がん対策推進基本計画の全体構成と骨子がほぼ固まった。
計画の柱となる全体目標には、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が加わり、個別施策に「医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」、「小児がん」、「がんの教育・普及啓発」、「がん患者の就労を含む社会的な問題」を新たに追加。がん医療の均てん化を目指した現計画に比べ、ピア・サポートの拡大、精神面も含めた苦痛の軽減、就労支援、経済的負担の軽減など精神的、社会的問題の支援へ踏み込む方向性を打ち出した。
しかし、患者団体が求めてきた適応外薬のドラッグ・ラグの解消に向けた制度改正は、この日がん対策推進室から提示された骨子案には盛り込まれず、がん医療が抱える問題を積み残した形だ。この問題に関しては、同協議会で次期計画の柱とする方向で議論されてきており、がん患者団体有志一同(60団体)が、12月19日、小宮山洋子厚労大臣と担当部局の局長、課長宛てに「ドラッグ・ラグ解消に向けた制度改正等を求める要望書」を提出していた。
また、前回見送られた「喫煙率低減目標」は、今回の骨子にも入っていない。同協議会では、「喫煙率50%減といった目標を盛り込むべき」といった意見が複数の委員から出た。
この全体構成と骨子をもとに、厚労省が次期がん対策推進基本計画案を作成し、パブリックコメントの募集、閣議決定を経て、2012年度前半には新基本計画がスタートする予定となっている。