もう一つの研究は、コーヒーを1日に4杯以上飲む女性はほとんど飲まない女性と比べて、子宮体がんの発症リスクが有意に低くなるという研究結果で、米国のハーバード大学のEdward Giovannucci 氏らが、Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌12月号に発表した。
「コーヒーは、肥満や女性ホルモンのエストロゲン、インスリンに関連するがんに対する防護剤として注目されつつある。コーヒーはインスリンに影響することから、糖尿病の予防薬であると示唆されているが、我々は、幾つかのがんのリスクも減らすだろうと考えている」とGiovannucci氏は言う。
研究開始時に34~59歳だった 6万7470人の女性を対象とし26年間追跡したデータを分析した。対象者はナース健康研究の登録者で、追跡期間に672人が子宮体がんの診断を受けた。
1日にカップ4杯以上のコーヒーを飲む女性は、1杯未満の女性と比べて、子宮体がんの発症リスクが25%低下することが分かった(95%信頼区間0.57-0.97、傾向のP=0.02)。1日に2~3杯の場合も、関係は弱いながらリスクが7%低下した。
カフェイン入りのコーヒーに限ると、1日にカップ4杯以上の飲む女性は、1杯未満の場合と比べてリスクが30%低下した(95%信頼区間0.51-0.95)。さらにカフェイン抜きコーヒーの場合でも、1日にカップ2杯以上飲む女性と1カ月に1杯未満の女性の間でリスクが22%低下する示唆的な関係が認められた。
「コーヒーを飲む習慣は非常に広く普及しているので、子宮体がんのリスクを下げるための追加方策となるかもしれない。しかし、コーヒーに砂糖やクリームを加えるとコーヒー摂取に関連するどんな潜在的利益も相殺されるかもしれない」とGiovannucci氏は語っている。
なお、2008年にInternational Journal of Cancer誌に報告された日本人を対象とした大規模前向き研究でも、コーヒーの摂取量が増えるほど子宮体がんのリスクが低下するとの結果が示されている。この研究では、1日にカップ3杯以上飲む女性は、週に2回未満の女性と比べてリスクが62%低下した。