前立腺がんで同じホルモン療法を受けた場合でも、太っている男性では、正常体重の男性と比べて、前立腺がんが進行・転移するリスクがかなり高い――。そんな研究結果を、米国Duke大学メディカルセンターのChristopher J. Keto氏が米国泌尿器科学会の年次総会(2011年5月14~19日)で15日報告した。
Keto氏は、前立腺がんの治療で1988年~2009年に前立腺を切除した後、がんが再発したためにアンドロゲン(男性ホルモン)遮断療法(ADT)を受けた287人の男性の経過を調べた。
全員が同じ治療を受けていたにもかかわらず、過体重(BMI25以上30未満*)または肥満(BMI30以上*)の男性は、正常体重の男性と比べて、がんが進行するリスクが3倍になることが分かった。
さらに、がんが骨に転移するリスクも、過体重の男性は正常体重の男性の3倍以上、肥満の男性では5倍に上った。
「太った男性が正常体重の男性より前立腺がんの治療経過が不良となる理由はまだ明らかでないが、一つにはADTの投与量が関係しているかもしれない」とKeto氏は言う。「大部分の薬は体重に応じて投与量が決まるのに対して、ADTの投与量は体重に関係なく同じだ。太っている男性に対しては投与量を増やす必要があるかもしれない」と同氏は語っている。
近年、肥満と前立腺がんとの関係を示唆する研究報告が増えており、太っている前立腺がん患者は経過が良くないという結果が多く示されている。
この研究チームは、前立腺がんの治療を受ける過体重または肥満の患者に対する食事療法と運動の効果を調べる新しい研究に既に着手している。