大腸がんを生きるガイド

大腸がんと診断された方へ

セカンドオピニオンの活用法

セカンドオピニオンとは

 「抗がん剤治療と言われたけれども手術はできないのか」
 「人工肛門になると言われたが、何とか肛門を残せないか」──。

 治療法や病院の選択に迷っていたり、いまの治療方針でよいのか不安だったり、大腸がんの治療を受けるうえで悩んでいる人は少なくありません。

 これまでに述べてきたように、大腸がんの標準的な治療法(標準治療)はある程度しっかりと定まっています。しかし、専門の医師の間でも治療法について意見の分かれる分野や、標準治療がまだ定まっていない分野もあります。また、確実な有効性はまだ確認されていなくとも、これまでの標準治療より効果が高いと思われる治療法が存在する場合もあり得ます。

 そのような場合、一人の医師の考えだけではなく、他の医師の意見を聞くこと(セカンドオピニオン)も一つの方法です。

セカンドオピニオンを受けるには

 セカンドオピニオンを希望する場合は、まず、「他の医師の意見も聞いてみて、それを踏まえた上で自分の治療を決めたい」旨を現在の担当医に伝えてください。「セカンドオピニオンを受けたいと言ったら医師が気を悪くするのではないか」とためらう人もいますが、心配はいりません。

 次に、現在かかっている病院に、これまでの治療の経過や検査の結果を記した「診療情報提供書」と検査で撮影した画像などを用意してもらいましょう。これがないと、セカンドオピニオンを聞きに行った先でもう一度検査を受け直したりする必要が生じ、体への負担も大きい上、結果的には治療を始めるまでに、時間もお金も余分にかかってしまいます。

 では、どこでセカンドオピニオンを受ければよいのでしょうか。

 一般的には、大腸がんの治療経験が豊富な病院で、専門の医師に意見を聞くのがよいでしょう。「人工肛門になる」と言われて戸惑っている人は、肛門の温存手術に力を入れている病院へ行ってみてもよいでしょう。ただし、無理に肛門を残すと、手術後の排便機能が悪く、かえって日常生活に支障を来す場合があるので、その点も十分説明を受けた上で考えましょう。

 最近では、大きな病院のほとんどが有料のセカンドオピニオン外来を設置しています。金額は病院によって異なります。予約制のことが多いので、セカンドオピニオンを受ける病院を決めたら、申し込みの方法と金額を問い合わせてみましょう。

 実際にセカンドオピニオンを受けるときには、自分の病状と経過、質問したい点をまとめてメモしておくと、短い時間を有効に利用できます。

 セカンドオピニオンは家族だけでも受けることができますが、できるだけ患者本人が直接医師の話を聞いたほうが、納得のいく選択につながるはずです。医師の前に出ると質問しにくいものですが、ほかならぬ自分の体のことですから、わからないことがあれば遠慮せず質問しましょう。

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 セカンドオピニオンを受ける前には、最初の担当医の説明をよく聞き、自分の病状や進行度、提案された治療法についてよく理解しておくことがとても重要です。自分の病状についてきちんと把握しないままセカンドオピニオンを受けても、あまり意味がありません。

 がん相談支援センターなどには、「セカンドオピニオンは受けなければいけないのですか」という質問が寄せられますが、最初に診断を受け、治療方針の説明を受けた病院の担当医を信頼し、納得して治療を受けられるのであれば、セカンドオピニオンを受ける必要は特にありません。

 基本的には、セカンドオピニオンとは、あくまでも「他の医師の意見を聞く」ということです。セカンドオピニオンを聞いた病院での治療を選ぶ場合は、後日改めて通常の外来を受診する必要があります。

 セカンドオピニオンを上手に活用して、十分納得してから治療を受けるようにしましょう。

[参考サイト]
・公益財団法人日本対がん協会「がん相談・サポート」
・国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「セカンドオピニオンを活用する」

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「大腸がんを生きるガイド」が掲載する情報・データはあくまで一般情報であり、個々の患者さんとその治療に関して特定の治療法などを推奨したりするものではありません。治療に関しての判断は、担当医などの医療者とご相談のうえ、ご自分でなさってください。日経BPおよび「大腸がんを生きるガイド」は、当サイトを読んだことが引き起こすことに関して一切の責任を負いません。

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