Cさん 私も、学生のときは全然外科に興味ありませんでした。手術に触れる機会がないから、外科って何するか分からない、つまらないって思うけど、機会さえあれば外科は面白いって思えるんじゃないかな。

中安さん やっぱり、実際に経験する機会というのは大事なのかもしれませんね。

Eさん 術野を見るだけで全然違うと思います。ただ、外科でいうとロールモデルの少なさが不安です。自然と「女性は外科医にはなれない」と思ってしまっています。面白そうとは思うんですけど、無理だって思ってしまいます(図3)。

図3 志望していた、または研修していた診療科を変更した最大の理由は?

さん その診療科がプライベートを犠牲にしている人ばかりに見えると、進路を選ぶ人は不安になると思う。心臓外科も楽しく研修したけど、大動脈解離の手術を夜中にやって、日中勤務して帰ろうと思ったらまた大動脈解離が来るとか、そういう先の読めないところがあってつらかったな。

Bさん 自分の時間を自分でコントロールできないとつらくなるよね。

中安さん 産婦人科医は、待機の間でもお産が来そう、と心構えができます。でも、循環器内科だといつ患者が来るかなんて分からないですよね。それについてはどう対応しているんですか?

さん うちは人数がいるから、毎晩当直が1人、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)時の呼び出し1人の計2人でシフトを組んでなんとか回しているよ。心筋梗塞はいつ来るか全く読めないというのはその通りだね。

中安さん うちの産婦人科は毎晩3人体制でシフト勤務しています。これも、医師が25人いるからできることだとは思いますけどね。

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Dさん うちの循環器内科は、医局派遣1人を含む3人で基本的には回しています。週2回くらい当直する感じで、当直明けももちろん休みにはなりません。

さん その1人の先生が派遣元に戻ってそっちの戦力を増やす代わりに搬送体制を整えるのはだめなのかな。3人の医師が、年間何件あるか分からないPCIに備えて日々命をすり減らすのってどうなんだろうと思うよ。

Dさん PCIは3人でやっているんですが、うちの病院に来るだけで既に1時間かかってしまう地域もあります。うちでPCIができないとなると、転送するのにまた1時間半くらい掛かって手遅れになってしまいます。どこが切り捨てる医療で、どこを守る医療かという点で考えると、脳卒中などの救急医療は切り捨ててはいけないと思っています。例えば、癌とか心不全の末期みたいな疾患は合意形成が可能なので他に行ってもらうことも可能かもしれませんが、救急医療は放棄してはいけないと思っています。

さん プレホスピタルを充実させて医療圏を拡大するのか、医師を増やすのかだと思うけど、どちらも簡単ではないね。

中安さん 専攻医(後期)研修で診療科ごとに人数制限をするという話についてはどう思いますか? どうしても循環器内科になりたいけど成績が悪いから人が足りてない地方に行くか、別の診療科に変えるかの選択を迫られるようなことが考えられますよね。USMLEの点数で診療科と勤務地が決まる米国と似たような制度も話題に挙がっています。調査では、人数制限に対する賛成・反対が拮抗しました(図4)。

図4 各専門領域で定員を設け、各診療科に進める人数を制限することについてどう思いますか?

さん そもそも、医師が余っている診療科ってどれくらいあるの?

中安さん 増えている麻酔科ですら足りてないと言われていますからね。

Bさん 日本ってこんなに自由にしていて、診療科偏在がそこまで起きていなそうなのが不思議なくらいだよね。

Dさん 若手医師的には、診療科ごとの人数制限はやってほしくないですけどね。

調査概要

2018年3月に、全国の赤十字病院のうち初期・後期研修医(医師1〜5年目)が所属する60施設に対し、オンラインアンケートを送付した。回答者は226人。本調査は、中安氏が日本赤十字社医療センター院長の本間之夫氏、副院長の加藤啓一氏、第一産婦人科部長の木戸道子氏の協力を得て、同センターの臨床研究倫理委員会での承認を経て実施した。