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末梢動脈疾患の研究会・TECCとのコラボで実現
『はたらく細胞』の特別版を全国の医療機関に!

2022/02/01
鈴木 健之(TECC代表理事、東京都済生会中央病院循環器内科)

 『はたらく細胞』(作者・清水茜氏)というコミックスのことをご存じの方は多いのではないかと思います。赤血球や白血球などの細胞を擬人化して病気を分かりやすく解説している人気コミックスで、アニメ化もされています。

 私が代表理事を務めるTECC(Tokyo Endovascular Challenging Conference)では、このほど、この『はたらく細胞』とのコラボレーションにより末梢動脈疾患編の特別コミックスを作成。全国の医療機関への配布を目指し、クラウドファンディングを開始しました。その経緯や、我々が目指しているものについてご説明したいと思います。

地方在住や若手の医師も参加しやすいウェブベースの研究会

 TECCは2018年に設立されたPAD(peripheral arterial disease: 末梢動脈疾患)への血管内治療の研究会です(TECCのウェブサイトはこちら)。筆者のほかTown訪問診療所城南院/東邦大学医療センター大橋病院の宇都宮誠、東京ベイ・浦安市川医療センターの仲間達也、船橋市立医療センターの岩田曜を中心に活動しており、2021年12月18日のTECC2021総会には1148人の参加を頂いています。

 カテーテル治療のライブ研究会は幾つかありますが、リアルでの開催の場合、遠方への出張は時間的、金銭的に負担になることがあります。特に若い先生方は学会期間中、病院の留守番が必要なこともあり、参加そのものが困難なこともあります。そのため、ウェブベースの研究会を立ち上げることで、地方の先生、若い先生が参加しやすい仕組みを作りました(関連記事:「お金の払う価値のあるウェブ配信を手掛けていきたい」)。

 2019年からは、カテーテルのライブ治療のみならず、症例検討会や企業との合同研究会、若い先生への少人数授業、また看護師さんを対象とした研究会とバラエティーに富んだ活動を展開しています。

 また、ウェブの強みを生かしての海外との交流もTECCの特徴です。2021年6月にはTECC Asia Pacificを開催。シンガポールのChangi General Hospitalとの2元中継ライブで、登壇者の半数はアジアの国々から招へいしました。言語はすべて英語で行いましたが、最近の若い医師は英語への抵抗はあまりないように感じています。

一般の方も含めPADに向き合うムーブメントを

 TECCは3年間にわたり様々な活動を行ってきましたが、医療者を対象としたPADのセミナーがメインでした。一方で、歩行時の足の痛み、足の難治性の傷といったPADの症状は、患者さんが「動脈硬化によるもの」と理解しにくいという問題があり、一般の方々へのPADの啓発活動の重要性を意識するようになりました。

 そうした中、浮上したのが、『はたらく細胞』とのコラボです。一般の方にPADを啓発するために、『はたらく細胞』のような人気コンテンツの力を借りることが重要と考えました。

 そこで、出版元の講談社さんと打ち合わせを何回も重ね、魅力的な特別コミックス、末梢動脈疾患編(原作:黒野カンナ氏、漫画:和泉みお氏、監修:清水茜氏)を作り上げることができました。PADの患者さんの血管にどのような変化が生じているのか、擬人化された細胞の働きを描くことで分かりやすく説明しています。

特別コミックスの一場面。足先の細胞に酸素を配達中の「赤血球」の前に障害物(プラーク)が現れ……

 そして、特別コミックスと、TECCによるPADの解説がセットになった小冊子を作成し、全国の医療機関に配布するためのクラウドファンディングを立ち上げました。少しでも多くの方々に特別コミックスを届け、PADのことをより知っていただこうと考えた次第です(クラウドファンディングサイトREADYFORのページはこちら)。医療者、一般の方も含めてみんなでPADに向き合うムーブメントを作っていくことが重要であると考えています。

 この小冊子をたくさんの方に読んでいただくことで、少しでもPADの早期発見が可能になり、1人でも足を失う患者さんを減らすことが目標です。ぜひともこの記事を目にされた方々がTECCの活動に興味を持っていただき、クラウドファンディングへご賛同、ご支援を頂けると幸いです。

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Cadetto通信
日経メディカル Online編集部の「Cadetto.jp担当」約2名(飛び入りあり)が、時に熱く時にまったりとつづるコーナー。取材のこぼれネタや企画の予告編、耳よりなイベント、面白い人&面白い話、編集部の秘密、困っていることや皆さまへのお願いなどなど、自由度高め、文章短めで参ります。時には「病院ランチ食べ歩き」などの特別企画に変身することも。

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