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シリーズ◎しまね初期研修医合同研修会で語られたこと《3》
「島レジプロジェクト」の潜在力に期待大
初期研修医の初期研修医による初期研修医のためのオンライン研修

 こんにちは。Cadetto.jp編集委員の三和です。4月5、6日の2日間にわたって行われた「しまね初期研修医合同研修会」の報告は、いかがでしたでしょうか。最終回となる今回は、初期研修医の提案で生まれた「島レジプロジェクト」についてです。研修医らが自主的に立ち上げたもので、研修医のスキルアップのためのオンライン研修が柱です。合同研修会の最中、プロジェクトのこれまでと今後について幹部の皆さんにお話をうかがいました。

写真1 「島レジプロジェクト」の幹部の皆さん(左から、藤本直樹氏[松江生協病院]、金築駿吾氏[島根県立中央病院]、大谷真紀氏[島根県立中央病院]、齋藤保隆氏[浜田医療センター]、松原加歩氏[松江市立病院]、長野奈津子氏[島根大学医学部附属病院]、上谷直希氏[松江市立病院]、町田亘氏[浜田医療センター]、中野里菜氏[益田赤十字病院]、久保田敏文氏[松江赤十字病院])

電子カルテの書き方が一変した

 「島レジプロジェクト」は、一言でいうなら「研修医の研修医による研修医のためのオンライン研修」です。テレビ会議システムを駆使して、昨年9月から月1回のペースで開催しています(表1)。テーマを決めて外部の講師と交渉し、事前学習をして疑問点をまとめ、それを講師に投げかけて指導してもらう、というスタイルで行ってきました(表2)。

 幹部の皆さんにはまず、オンライン研修で学んだことで一番印象に残っているのは何か、と尋ねました。すると、「PATの書き方です。あの時は講師の先生に間違っているとズバット言われて、思わずのけぞってしまった」(大谷真紀氏、島根県立中央病院)との発言がありました。

 これを機に、「本当に驚いた。翌日から、電子カルテの書き方が変わった」や「PATは言葉としては知っていたが、実際の評価方法を理解していなかったことを思い知った」などの発言が飛び出しました。同じ研修で、別々の病院で何人もの研修医がのけぞっていたわけです。

 以下は、幹部の長野奈津子氏(島根大学医学部附属病院)の解説です。

 「小児患者の評価法として、3要素(Pediatric Assessment Triangle:PAT)による評価が提唱されています。子どもの患者の全体像を把握するために、外観(Appearance)、呼吸状態(Work of Breathing)、皮膚への循環(Circulation to Skin)の3要素で評価するものです。PATは、言葉として知っていましたが、その評価の仕方を勘違いしていたことを指摘されました。

 例えば、外観(Appearance)を評価する際のことです。オンライン研修では、研修医の症例プレゼンテーションで「元気がなさそう」と書いていました。これに対して講師の先生は『元気がないというのは、具体的にどういうことなのか? 元気がないという記載だけでは評価できていない。例えば、目線は合うのか、呼びかけても反応が弱いのか、興奮しイライラしているのか、手足を動かさずぐったりしているのか、など具体的な評価が必要だ』と教えてもらいました。

 参加した研修医は皆、このとき学んだPATを、翌日の救急外来で小児を診療するときから活かすことができました」。

 PAT以外にも、様々な成果を生んでいるようです。例えばこんな具合です。

 「検査の順番など、他の病院のやり方を聞いて『なるほど』と思うことがあります。それを普段の私の診療に取り入れるなど、すごく参考になっています」(松原加歩氏、松江市立病院)。

 「自分が疑問に感じていることは、みんなも同じように感じているんだと知ったことで、普段から少しでも疑問に思ったことがあると積極的に、指導していただいている医師に聞けるようになりました」(齋藤保隆氏、浜田医療センター)。

 「『自分の診療は間違っていなかった』と確認することができて、自信につながったことがあります」(上谷直希氏、松江市立病院)。

 「第2回に講師をしていただいた坂本壮先生(総合病院国保旭中央病院救急救命科)のときは、みんなが本当に聞きたかった疑問に対して答えていただきました。実際の救急の場でしっかり活かすことができる講義をしていただいたので、とても勉強になりました」(久保田敏文氏、松江赤十字病院)。

 「生協病院グループでも研修会を展開しています。島レジプロジェクトでの経験がそちらにも生かせています」(藤本直樹氏、松江生協病院)。

 「他の病院の研修医が、どのように考えて疾患にアプローチしているのかを知ることができているし、互いに刺激し合えていると思います」(町田亘氏、浜田医療センター)。

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Cadetto通信
日経メディカル Online編集部の「Cadetto.jp担当」約2名(飛び入りあり)が、時に熱く時にまったりとつづるコーナー。取材のこぼれネタや企画の予告編、耳よりなイベント、面白い人&面白い話、編集部の秘密、困っていることや皆さまへのお願いなどなど、自由度高め、文章短めで参ります。時には「病院ランチ食べ歩き」などの特別企画に変身することも。

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