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シリーズ◎しまね初期研修医合同研修会で語られたこと《1》
初期研修医がやってしまいがちな10の失敗例
島根大の和足孝之氏が「研修生活を10倍楽しくする方法」を伝授

勉強する機会を失っていないか

写真4 和足氏が示した使えるアプリの例

 「せっかくの症例を経験したとしても、予習や復習をしないと、学ぶ機会を失います。何よりも深い学びは、やはり患者さんから学ぶことであると思うのです」。学ぶ機会を失うという失敗をしないためには、どうしたらいいのでしょう。

 忙しい研修生活で、威力を発揮するのが、スマートフォンだ――。和足氏は、現代ならでのスマホを用いたアプリの活用方法を紹介しました。例えばこんなアプリです(写真4)。一般知識を調べる「UpToDate」や抗菌薬の選択で用いる「サンフォードの熱病」、様々な予測因子や重要なスコアリングを網羅して入れてある「Medical」、症状から鑑別診断をチェックする「Diagnosaurus」などです。これらは、「自分が詳細な知識を忘れてしまったとしてもいつでも調べて臨床現場で活用するために有用です」。

 「大事なことは、『分かる』から『できる』の段階に進むために、自らが怪しいと思う知識は必ず調べること」。こう説く和足氏は、予習し、復習した手技や知識は、あなたの力になるはずです、と語り掛けました。

興味がわかない診療科

 スーパーローテート研修が始まって以来、存在するのが「自分の進もうと思わない診療科には興味がない」という問題です。これは、「医師としての人生の可能性を狭めることになりもったいない」と和足氏は言います。

 「確かに、ある領域に絞ることができれば、遅かれ早かれある一定のステージにまで到着することができる。また周囲からも認めてもらうことができるかもしれない。しかし、日本が直面するこれからの時代は混とんとしている。将来、自分がどの医学領域で花開くか分からない」。和足氏はさらにこう続けました。

 「人生100年時代に、10年、20年たっても、絶えず成長していける医師になるために、あえて自分が将来選択しない科のことを勉強するのも必須です」。

うつ傾向になってしまったら

和足 孝之(わたり たかし)氏:2009年岡山大学医学部卒業(学士編入)、2009~14年湘南鎌倉総合病院総合内科、2013年湘南鎌倉総合病院総合内科チーフレジデント、2014年東京城東病院総合内科副チーフ、2015年マヒドン大学臨床熱帯医学大学院、2017年ハーバード大学医学部ICRT修了、2016年より島根大学卒後臨床研修センター(現職)。雑誌『J-COSMO』の編集責任者の一人でもある。

 最後の失敗例が「思い描いていた自分の姿と現実とのギャップに悩む」でした。和足氏は言います。「自分より優秀な同期がいたり、指導医に理不尽に怒られたり、患者さんを危険にさらした責任を感じたり、コメディカルとの確執があったり、仕事が忙しすぎたり……。そんな出来事が重なると、精神的な辛さが襲い掛かる」のです。体力的にきついことは多くの場合問題とならない、しかし研修医として本当に辛いのは精神的な負担なのだ――。

 和足氏は、こんなときにうつ傾向になるリスクがあると指摘。そして、こう続けます。「自分は、うつにはならないだろうと思う気持ちは分かります。でも、自分は違うなどと考える前に、まずは先輩や友達、上級医に相談してください」。それだけではない。「もし、同期の様子が気になったら、必ず上級医らに相談してください」と同僚たちへの心配りも呼びかけました。

 和足氏は最後にこう話しました。

 「自分の初期研修医時代の過ちを反省し、同じような失敗で苦しんでほしくない。そのためには、どうしたらいいのかを皆さんに伝えたいと思いました。これから色々な苦境に立たされることもあると思います。最終的にどうしても迷ったら、患者さんのために行動するという姿勢があれば、だいたい間違うことはありません。頑張ってください」。

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Cadetto通信
日経メディカル Online編集部の「Cadetto.jp担当」約2名(飛び入りあり)が、時に熱く時にまったりとつづるコーナー。取材のこぼれネタや企画の予告編、耳よりなイベント、面白い人&面白い話、編集部の秘密、困っていることや皆さまへのお願いなどなど、自由度高め、文章短めで参ります。時には「病院ランチ食べ歩き」などの特別企画に変身することも。

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