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境界悪性卵巣腫瘍を乗り越えて(麻美ゆま氏インタビュー後編)
抗癌剤治療が不安で、東京から逃げました
手術も抗癌剤も乗り切った、けど「癌サバイバー」じゃない

治療の不安はポジティブなことを見つけて克服

――今は前を向いている麻美さんですが、抗癌剤治療の前は不安が募ったそうですね。

 かなりネガティブになっていました。手術が終わって退院し、抗癌剤治療が始まるまでの間、友達に会いに地元に帰ったときのことです。もう子どもを産めないことや、抗癌剤治療への不安などが一気に押し寄せてきて、「もう、このまま消えてしまいたい…」という思いが急に込み上げてきました。

 現実が待ち構える東京の部屋に戻りたくないと思った私は、そのまま一人旅へ。最終的には北海道まで行きました。ここで逃げても仕方がないことは分かっていましたが、あちこちを転々としながら、「東京に戻りたくない」という気持ちと葛藤していました。結局、かなり直前まで迷いましたが、3日後に予約していた病院の外来に行くことを決めました。母は、私が東京に帰るのがあと1日遅かったら捜索願を出すつもりだったと言っていました。多くの人に心配を掛けた逃避行でしたが、手術の次に抗癌剤治療に進む上で、自分の気持ちを整理するために必要な時間だったと今は思っています。ただ、この逃避行、お金もすごく掛かって大変でしたが(笑)

――恐れていた抗癌剤治療、実際に経験してみてどうでしたか?

 抗癌剤治療は月1回のペースで計6回、半年間続きました。やっぱり頭がぐらぐらしたり、体温調節ができなくなったり、副作用の痛みやしびれが強く出たりして、つらかったです。

 つらさはありましたが、乗り切るコツはいかにポジティブなことを見つけられるかだと思います。私が使った抗癌剤は、副作用で必ず脱毛が起こると説明されていました。私は、髪が抜けることを悲しむのではなく、「せっかくだから今しかできない髪型にしてみよう」と思うことにしました。胸まであったロングヘアを、顎の下くらいのボブヘアにカット。憧れていた刈り上げカットに挑戦しました。ボブの内側を刈り上げて、ハートや星の模様を入れるヘアスタイルです。あとは、「今回の抗癌剤が終わったら花火大会に行く」とか、小さい目標を立てて、それを楽しみに耐え抜きました。

抗癌剤の副作用で脱毛することを逆手に取り、憧れのヘアスタイルに挑戦。ボブの内側を刈り上げて、ハートや星の模様を入れました。

 半年間の抗癌剤治療を終えた後、Youtube動画でファンの皆さんに「報告」をしました。私が病気になったこと、抗癌剤治療を受けていることは既に公表していたので、今は治療が終わって元気でいますよということをお知らせするために撮ったものです。文字や写真ではなく、動いてる姿で伝えた方がいいなと思ったので、自分の声で伝えることにしました。

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Cadetto通信
日経メディカル Online編集部の「Cadetto.jp担当」約2名(飛び入りあり)が、時に熱く時にまったりとつづるコーナー。取材のこぼれネタや企画の予告編、耳よりなイベント、面白い人&面白い話、編集部の秘密、困っていることや皆さまへのお願いなどなど、自由度高め、文章短めで参ります。時には「病院ランチ食べ歩き」などの特別企画に変身することも。

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