
見逃し怖い大動脈解離、チェック項目をポケットに
頻度はそれほど高くはないが、見逃しは非常に怖い大動脈解離。2011年には米国心臓協会(AHA)のガイドラインの妥当性を検証した研究も報告された(論文10)。「検証自体は特筆すべき成績ではなかったけど、大動脈解離の患者を2000人以上も登録したのは『すごいなあ、さすがアメリカ』と感心した」(林氏)。大動脈解離は見逃すと非常に深刻なので、ハイリスクのサイン(図6参照)は把握しておくべき。といっても、すべての項目を覚えるのは大変だろうから、「カンニングペーパーとして、ラミネートして白衣のポケットに入れておくといい」(林氏)。
数多くの論文を読むために林氏が挙げる原則は、「飲まない」「テレビを見ない」「論文(ジャーナル)は自腹で買う」の3つ。読み続けているうちに、「捨てる論文を見分けるノウハウもついてくる」と林氏。その先には「愛をもって」読める境地が広がっているかもしれない?
図6 急性大動脈解離(ADD)のリスクスコア
AHA/ACCによる大動脈解離ガイドラインのリスクスコアを検証した(論文10)Circulation 2011;123:2213-8. より改編引用。大動脈解離患者の95.7%が1 個以上のリスクを持っていた。
