
図1 2型糖尿病の血糖降下療法における強化療法と標準療法の比較(全死亡)
(論文1) BMJ 2011;343: d4169.より改編引用
*1 99%信頼区間の上限は6.91
*2 99%信頼区間の上限は5.63
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「メタ解析だからといって、必ずしも水準が高いとは限らないことが分かると思う。これは、読む価値がないということではなく、結果だけを見て振り回されないためには読む必要があるということ」と能登氏。メタ解析の対象の中で気になった試験があれば、「その原著にさかのぼるのもお薦めだ」(能登氏)。
1次エンドポイントの結果でサブ解析の数は変わる?
このほか、2011年に発表された中で能登氏が一読を推奨するのは、頻回の生活習慣指導による糖尿病予防効果を日本人で初めて示した論文2だ。「食後高血糖ではなく、空腹時血糖の異常を対象者の条件としたのも斬新で、臨床的意義は大きい」(能登氏)という。

図2 2型糖尿病の血糖降下療法における強化療法と標準療法の比較(重症低血糖リスク)
(論文1) BMJ 2011; 343 : d4169. より改編引用
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研修医など若手医師のうちは目前の診療で手一杯で、予防にはなかなか目が行かないところだろうが、「国内で行った試験ということで、デザインも参考になると思うので、ぜひ読んでみてほしい」(能登氏)。
小腸からのコレステロール吸収を阻害するという、新しい作用機序の薬剤であるエゼチミブについて、慢性腎臓病(CKD)患者における臨床効果を示した論文3も要注目。死亡、心血管イベントなどハードエンドポイントで、エゼチミブの臨床効果を初めて示したものだ。ただし、比較はスタチンとの併用(合剤)vs.プラセボで、スタチンに対するエゼチミブの上乗せ効果などの検証が待たれる。
もっとも、こうした論文を読む前にまず頭に入れておくべきは、論文4のような“メタ”論文の結果かもしれない。論文4は、1つの臨床試験から派生するサブグループ解析の数と、1次エンドポイントの結果(ポジティブかネガティブか)、試験のスポンサー(製薬企業か否か)などの関連を、469件ものランダム化比較試験を対象に分析したものだ。
「1次エンドポイント以外の結果はより慎重に解釈しなければならないという原則を強く認識させる内容となっている」(能登氏)ので、詳細はぜひ原著をお読みいただきたい。