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専門医制度の混迷はキャリアを見つめる機会?

2016/12/13
鈴木裕介(ハイズ)

 Cadetto.jpをご覧の皆さんはじめまして! 内科医兼コンサルタントの鈴木裕介と申します。現在は医療機関などの経営支援に携わっていますが、前職は某自治体の公的法人にて若手医療職のキャリアを支援していました。また、ライフワークとしてこれまで医療職や学生のキャリア相談を1000件以上受け、好きが高じて国家資格を含むキャリアコンサルティングに関するいくつかの資格を取得しました。微力ながら、キャリアに不安を感じている方に少しでも希望を感じてもらえる連載にできればと思います!

 さて、荒れまくっていた新専門医制度は、「やっぱ1年延期!」という壮大なちゃぶ台返しでいったん落ち着きました。しかし、まだまだ先行きは不透明であり、不安が拭いきれない方もさぞ多いのではないかと思います。研修プログラムを提供する医療機関サイドの対応も本当に大変な様子で、こうした混迷の渦中に自らのキャリアに関わる重要な意思決定をしなければならない研修医・若手医師の皆様におかれましては、本当に「お疲れ様です」としか言いようがありません(汗)。いまだ診療科や就職先が決まらず、あたかも迷子のような心境になっている人もいるのではないでしょうか。

 かくいう私にも、未来が全く見えない「キャリア迷子」になっていた時期がありました。当時、「あの診療科は業務がキツそう」「この診療科は興味がわかない」と消去法に次ぐ消去法でやっと選んだはずの診療科が「実は全く肌に合わない」ということにうっかり気づいてしまい、ちょっとした絶望感\(^o^)/を感じていた私。そこに一筋の光が射したのが「キャリア理論」との出会いでした。

 その人らしく充実したキャリアを体現するために偉大な先人たちが研究したいくつもの理論があることを知り、おかげで今は珍妙ではありながらもそれなりにハッピーな職業人生を歩むことができております。こんなに素晴らしい概念があるのだから、その恩恵にあずからないのはあまりにももったいないことではないか!というのが本連載を執筆する上での私の基本的なモチベーションです。

専門医取得は「キャリア形成」じゃない
 誤解を恐れずに言えば、専門科目の選択、そして専門医資格・学位の取得は、キャリア形成と同義ではありません。組織心理学者でありキャリア理論の大家であるエドガー・シャインによれば、キャリアには「外的キャリア」と「内的キャリア」の2つの視点があります。

 外的キャリアとは、キャリアの客観的な側面であり、どんな仕事をしているか、その職務の名称や内容・肩書などのことを言います。一方、内的キャリアとは、自分がどのように働けば幸福を感じるか、働く上でのモチベーションの源泉は何か、何を大事にしているか、といった主観的な側面であり、端的に言えば「働きがい」「生きがい」のことです。

 そして、全ての職業人にとってのキャリア開発の究極の目的は内的キャリアを完成させることにある、とシャインは言います。実際に「どういうキャリアを歩んでいいか分からない」と相談してくる人は、自分の内的キャリアを分かっていないことが多いと感じます。

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著者プロフィール

鈴木裕介(ハイズ社)●すずき ゆうすけ氏。2008年高知大卒。一般内科診療やへき地医療に携わる傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構にて広報や医師リクルート戦略、 医療者のメンタルヘルス支援などに従事。16年に国家資格キャリアコンサルティング技能士2級を取得。15年より現職。

連載の紹介

鈴木裕介の「キャリア迷子」に捧げる処方箋
昔に比べて価値観やキャリアが多様化し、「働き方」に悩む機会が増えてきました。医師でありながらこれまで1000件以上のキャリア相談を受けてきた鈴木裕介氏が、進むべき道を見失った「キャリア迷子」たちに送る「愛の処方箋」。様々なキャリア理論と実践に基づき、優しくレクチャーします。

この連載のバックナンバー

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