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被災地での妊婦さんケア 3つのキーポイント
被災地の妊婦さん、産褥婦さんを助けたい

2011/04/21

我慢強い妊婦さんを問診するときのコツ

 これは産婦人科に限りませんが、「今日はいかがですか」といったオープン・クエスチョンよりも、Yes/No式のクローズド・クエスチョンの方が答えやすいときがあります。以下に具体的な聞き方を挙げておきます。また、こうしたことを話すだけで、薬を処方しなくても、症状が少し楽になることがあります。

「赤ちゃんはよく動いていますか」
「お通じは何日おきですか」
「どこか痛いところはないですか。腰痛や痔などでお困りではないですか」
「眠れていますか。妊娠していない時を100点満点とすると、今は何点くらいですか」
「それはどうしてですか」
「どこか痒いところはないですか」(妊娠線や乳房・乳頭に痒みが出る妊娠性掻痒症は、非常によくみられます)

 逆に、このような言葉は避けた方がよいと思います。妊婦さんの辛さを受容し、共感することにはつながらず、余計我慢させてしまうからです。

「妊娠中はできるだけお薬は使わない方がいいから」
「お産が終われば治りますよ」
「赤ちゃんがいるから仕方ないですね」

 痛みや痒みなどの症状は妊婦にとってかなりのストレスになりますが、被災地の生活では、普段の妊婦健診のようなトータルケアや生活指導(運動、マッサージ、食事内容の改善)ができません。

 ときには薬を上手に使って症状をできるだけ和らげるようにすると、とにかく我慢しなければと思っている妊婦さんたちは少しほっとすると思います。妊婦への処方について不安を抱かれることもあると思いますが、もともと妊婦さんは、薬剤を安易に使うことに大きな抵抗を感じ、処方したとしてもほとんど使わないことが多いものですから、薬剤を過剰に乱用する恐れはないと思います。ご安心ください。

 それより、被災地における妊産婦に対するプライマリ・ケアの役目は、まず患者を安心させ、安全に妊産婦ケアのできる後方支援施設に引き継ぐことです。被災地で必要なことは上記の3点、つまり

(1)妊産婦さんに特異的な病歴聴取の仕方について知っておくこと
(2)辛そうなときは適量の対症薬を使ってもいいと、医療者自身が知っていること
(3)よく話を聞くこと

です。これが妊婦さんには大きな助けとなります。

 私は、長期的に考えて、東北という「根」を絶やしたくないという被災地の方々の愛着を大事にしたいと思います。「妊婦さんは遠く離れた安全な場所に避難していて、被災地の避難所にはいないに違いない」と思われていた震災当初、PCATの先生方が根気強く妊婦さんを見つけ出されたことをきっかけに、石巻・南三陸地方でも数十人の妊婦さんが被災し避難所生活をしていることが分かりました。

 危険でも不便でも、生まれた育った土地、長年暮らした土地を離れたくないという彼女たちの「自分のルーツ」への気持ちを尊重し、この地で次世代が産まれ育ち、可能なかぎり同じ土地で同じ人々が家族を作っていこうとする手助けができればと願っています。

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著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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