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被災地での妊婦さんケア 3つのキーポイント
被災地の妊婦さん、産褥婦さんを助けたい

2011/04/21

被災地の妊婦さんによくあるマイナートラブル

 まずは、私の産婦人科医としての経験と、今回の被災地訪問から、「被災された妊婦さんによくあるマイナ―トラブル5項目」をまとめました。この5項目は私個人の判断であり、確固たるエビデンスに基づいて選んだわけではありませんが、このいずれかを訴える妊婦さんはとても多いと思います。

 処方例は「周産期のマイナ-トラブル―これですべて解決!」(小笠原敏浩・メディカ出版)」より引用させていただきました。妊娠している可能性を否定しきれない女性や授乳婦さんを診た時にも処方できるお薬です。

 妊婦さんには一律に薬を処方しない、という方針の医師も多いなか、薬物療法の可能性を知っておいていただきたいと思います。

被災された妊婦さんによくあるマイナ―トラブル5項目
●トラブルその1 「便秘」
 繊維質と水分摂取が基本ですが、避難生活では食事療法もままならないことがあります。
処方例:
・塩化マグネシウム 0.5~2.0グラム/分3
・プルゼニド2錠/分2、あるいは2錠/就寝前1回
●トラブルその2 「痔」
処方例:
・プロクトセディル(座薬と軟膏あり)頓用
・ネリプロクト(座薬と軟膏あり)頓用
●トラブルその3 「皮膚掻痒症」
処方例:
・保湿剤(白色ワセリン、ヒルドイドローションなど)外用
・抗ヒスタミン剤(レスタミン軟膏)
【特に湿疹や皮膚炎を伴う場合、痒くて眠れない場合】
・ステロイド外用薬(キンダベート軟膏など)
 妊娠中にはPUPPP(pruritic urticarial papules and plaques of pregnancy)と呼ばれる比較的症状の激しい皮膚炎が起こることがあります。また、背景に衛生問題やストレスが潜んでいることがありますので、痒み以外の日常生活についても、よく話を聞いてあげることが必要です。
●トラブルその4 「腰痛」
処方例:
・モーラス、セルタッチなどの鎮痛消炎剤
・内服であればカロナール(200ミリグラム)6時間おきに頓用(ただし、個人的には、鎮痛効果が弱いため、腰痛にはあまり効かない印象もあります)
●トラブルその5 「感冒様症状」
処方例:
・PL顆粒 3.0グラム/分3
・葛根湯(2.5グラム)3包/分3(メーカーによっては1日2回のものもあります)
【発熱時】
・カロナール(200ミリグラム)/6時間おきに頓用。
 産後の方の場合、乳腺炎も念頭に置く必要があります。治療法は、赤ちゃんに腫れている側の乳房をよく吸わせ、発熱のある場合には黄ブ菌をカバーする経口セフェム(cefalexinなど)を使用し、しこりのある部分を冷却し、可能であれば圧迫マッサージをして鬱滞(うっ滞)を取ること、水分をたくさん取ることです。

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著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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