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週末の石巻で産婦人科の当直支援をやってみて
太田寛(北里大学医学部公衆衛生学 助教、産科婦人科学会専門医)

2011/09/16

 夜は分娩が1件ありましたが、経過は順調でした。緊急帝王切開が必要な場合などは、石巻赤十字病院に搬送することになっており、院長室やナースステーションにも赤十字病院と、産科医のPHSの番号が書かれていました。新生児の状態が悪い場合も、赤十字病院から新生児科の医師が来てくださり、場合によっては、そのまま新生児搬送となることもあるそうです。

 8月7日は休日当番医だったので、外来で患者さんを5人診察しました。月経不順や不正出血が目立ち、震災後の不安定な状況が影響しているのではないかとも感じました。基本的な薬剤は院内で処方できましたが、血液検査は院内では行っていないとのことで、問診と触診、視診、超音波検査だけを行いました。患者さんには、20歳代でも3人、4人とお子さんを持つ人が多く、東京のように、30歳を超えてから2人程度という方が多い状況とは大きく違っていたことも印象的でした。

 当直中、病院から離れることはできませんが、手が空いているときは基本的に自由に過ごしていました。

当直室のある別棟の外観(トラックの向こう側の建物、一階を改築中)です。

外来、分娩ともに問題なく終了
 当直室は病院から20メートルほどの別棟の2階にあります。この別棟の2階は、もともと看護学生などが寝泊まりする場所だったようです。1階にはホールがあり、震災前はマタニティビクスなどの会場に使われていたそうですが、津波を被ったため、内装をやり直す工事をしていました。院長ご夫妻も、自宅が津波で損壊したため、この建物に仮住まいをされていました。

病院に隣接していた院長自宅の跡地。津波の被害を受けたため再建予定とのことでした。

 当直室は8畳ほどの和室で、布団を敷いて寝ていました。オペ着、タオル、石鹸などもそろっており、特に持参するものはありませんでした。エアコン、こたつ、テレビ、冷蔵庫などもありました。当直室にはネット環境はなく、WiMAXも届きませんが、必要なときは、病院の院長室にあるLAN回線を利用できました。

 阿部先生のご自宅は病院とこの建物の間にあったのですが、津波で破壊されたため、解体されて現在は更地になっています(写真)。これから、床を以前より高くして新築するとのことでした。ここには、いまだにドブのような臭いがただよっていて、津波の傷跡が感じられました。

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著者プロフィール

PCAT●地域の医療・保健・介護が復興を遂げる日まで——を合言葉に、日本プライマリ・ケア連合学会が発足させた東日本大震災支援プロジェクト。PCATはPrimary Care for All Teamを意味する。

連載の紹介

PCAT便り~被災地支援の現場から~
外部からの被災地支援活動が徐々に縮小される中、長期的な支援活動を計画するPCAT。医師、薬剤師、看護師、保健師、管理栄養士など様々なメンバーから寄せられる、最新の活動報告を随時公開していきます。

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