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“必ず芽が出る”医療・介護リーダーの育て方とは?
「リーダーになりたくない」と言われたら

 医療・介護経営にとって先の見えにくい時代。自ら考え、動くことができる次世代リーダーの育成は急務です。しかし、昨今では「リーダーになりたくない」と言う職員も少なくありません。そういうときには、どうすればよいのでしょうか。

 医療・介護の専門職向けコーチングなどを手掛けるコミュニケーションオフィス3suncreate(大阪市北区)代表の三田村薫氏に、こうした場面での質問の仕方を教えてもらいました。図1のように傾聴や承認、質問などを用いた人材育成方法のコーチングの技術を活用した聞き方です。「やりたくない・辞めたい」という気持ちの裏側にある理由を、質問を用いて引き出していきます。

図1 リーダーをやりたくない・辞めたいと言われた場合の質問の例(※クリックで拡大します。)

 また、医療・介護の世界では、奉仕の精神が強く、売り上げや利益といった経営指標に苦手意識を持ち、中には毛嫌いする人もいます。こうした場合の伝え方は、図2のように「何のために売上高や利益は必要なのか」を併せて伝えることが重要になってきます。

図2 リーダーに数字の重要性を理解してもらいたい場合の話し方の例(※クリックで拡大します。)

まずはキャリアパスの明確化から

 医療と介護の経営情報誌『日経ヘルスケア』の6月号の特集は、「必ず芽が出る! 医療・介護リーダー育成術」です。リーダーに求められるスキルや研修の方法などについて、多数のケースを取材して紹介しています。

 社会医療法人加納岩(山梨県山梨市)では、2020年10月から3病院の代表が集まり、20年以上続いた人事制度の刷新に乗り出しました。今年4月から医師を除いた全職種で新制度による運用をスタートしました。ポイントは、「マネージャー・プレイングマネージャーコース」と「エキスパートコース」の2つのコースを設けてキャリアパスを明確化したことです(図3)。

図3 社会医療法人加納岩の昇格要件の例(事務職)(※クリックで拡大します。)

 「マネージャー・プレイングマネージャーコース」では、将来の管理職候補として経営に関わる内容を含めた幅広い知識や能力を身に付けてもらいます。「エキスパートコース」は管理職を希望せず専門職を目指したり、役職ポストの空きがない場合に待機する人が対象です。それぞれに「資格要件」を設け、昇格のために資格取得を必須としました。

 資格取得にかかる研修は勤務とみなし、教材や試験などの費用は全て法人が負担。これまでに医療経営士3級は10人、診療情報管理士は2人増えたとのこと。経営的な側面では、「役職と役割」に応じた給与にしたことで、数年後には人件費適正化の効果を見込んでいるそうです。

「院長・事務長に頼らない」職員を育てる

 医療法人メディーノ・しおや消化器内科クリニック(さいたま市中央区)は2014年に開業し、非常勤も含めて医師18人、医療事務8人、看護師8人、医療秘書4人など総勢40人の職員が在籍する大規模なクリニックです。同院では2018年5月にリーダー制を導入し、看護部門、医療事務部門にそれぞれ1人ずつ配置しました。

 狙いは院長や事務長からリーダーに権限を委譲し、現場に任せて運営が円滑にすることです。リーダーの権限を高めるため、日々の備品の購入やスタッフの勤務シフトの作成などの権限を委譲。経営面の意識を高めてもらうために、患者数の推移データの管理も任せました。自由に使える資金として月5万円を支給し、部署内で不足する備品の購入などに充てる権限も与えたそうです。

 同院の理念は、「自走できる組織」。院長不在時には現場業務の取りまとめをリーダーに一任しています。例えば、患者のクレーム対応です。以前はクレームがあれば、全て院長が報告を受けて対応せざるを得ませんでしたが、リーダーを配置してからは現場で最良の対処方法を考えて解決を図るようになり、院長が対応することが減ったそうです。現在、リーダーの職務内容は、スタッフに対する定期面談の実施から、スタッフからの業務改善提案を幹部ミーティングで議論することまで多岐にわたっています。

 今ではあえて、院長が不在の日を月に数日作るようにしているそうです。院長はその分、経営に関する他の医師との意見交換会での情報収集やマーケティング戦略に関する研修など、自院の経営について勉強する機会を設けています。その成果として自身の地域の医療情勢の変化や行政政策に臨機応変に対応できるようになったそうです。「最終的には、院長が不在でもクリニック経営を滞りなく進められるリーダーを育てたい」──。これが同院の目指す姿です。

日経ヘルスケア、7月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2022年7月号以降のラインアップを少しご紹介します。
医療・介護の労務対策 総点検 パワハラ防止法や育児・介護休業法、36協定など、押さえておくべき労務対策を総点検!
医療・介護職員モチベーションアップ大作戦 職員の意欲向上のノウハウ満載!
「Beyond 処遇改善! 一歩先行く介護事業者の人事制度改革」 給料アップだけじゃない定着率アップの方法とは?
社会福祉連携推進法人、いよいよスタート 今年4月に制度化、利点や活用法は
広がるか? リフィル処方箋 2022改定で導入、活用例や課題は?
特養の生きる道 今後の特別養護老人ホームの生き残り策を考える

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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