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2022年度診療報酬改定、高度急性期医療は評価を大幅拡充
「スーパー急性期」と「一般急性期」で明暗

 2022年度診療報酬改定のポイントの1つは、高度急性期医療を高く評価する一方で、一般急性期や地域包括ケアの病床機能は適正化が図られた点です。高度急性期医療では、急性期充実体制加算重症患者対応体制強化加算など、多くの報酬が新設されました。

 一方、一般急性期入院を担う病院には厳しい改定になりました。重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)は、評価項目から「心電図モニターの管理」が削除されました。併せて看護必要度基準も緩和されましたが、特に内科・循環器疾患の患者が多い病院では看護必要度の低下による影響が懸念されています。

 2022年度改定の診療報酬本体の改定率は0.43%で、2010年度以降で最も低い水準でした(図1)。しかも看護職員の処遇改善や不妊治療の保険適用などに割り振られる分などを差し引くと、実質的な増分は0.23%にとどまりました。限られた財源から、メリハリをつけた配分が行われた形です。

図1 2010年度以降の診療報酬改定率の推移
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急性期充実体制加算は「スーパー急性期」向け

 新設された急性期充実体制加算(7日以内460点、8日以上11日以内250点、12日以上14日以内180点)は、急性期充実体制加算には全身麻酔による手術が年2000件以上(うち緊急手術が年350件以上)などの手術等に係る実績や24時間の救急医療提供体制、特定集中治療室管理料などの届け出、院内迅速対応チームの設置など、多岐にわたる要件が設定されました(図2)。

図2 急性期充実体制加算の新設
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 集中治療室(ICU)のさらなる体制強化と人材育成の観点からは、重症患者対応体制強化加算(3日以内750点、4日以上7日以内500点、8日以上14日以内300点)が新設されました(図3)。有事の際に他の医療機関へ支援を行う看護師2人以上の確保などが必要です。同加算からは基幹病院のICUに平時から余裕のある人員配置を促し、有事に地域を支える体制を整える意図が見えてきます。

 これらの加算を算定できれば、かなりの増収を見込めます。シミュレーションした病院によっては、急性期充実体制加算は400~500床規模の病院で1カ月当たり1500万円前後の増収につながるケースもみられました。また重症患者対応体制強化加算も400床規模で年間1000万円以上の増収を見込める場合もあるそうです。

図3 重症患者対応体制強化加算の新設
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高度急性期病院の機能分化が明確に

 医療コンサルティングを手掛ける(株)リンクアップラボ(福岡市博多区)代表の酒井麻由美氏は、「今改定は医療機関にとって高度急性期医療以外、ほとんどプラスになるものがない」と分析しています。

 高度急性期の強化は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大時に、重症患者に対応するICUなどが大幅に不足したことも一因とみられます。COVID-19患者を受け入れるICUだけでなく、大学病院などではCOVID-19患者に対応するため、他の疾患でICU管理が必要な患者の受け入れができなくなるという事態が起きました。これらを踏まえ、今改定でICUの体制強化が図られた形です。

 また今改定では高度急性期の病院に、感染対策をはじめ、日ごろから地域の他の医療機関をリードしてもらいたいという意図も明確にうかがえます。今改定で再編された感染対策向上加算のうち、感染対策向上加算1は、地域の感染対策の中心的役割を担う病院を想定し、多職種から成る感染制御チームの設置や地域の医療機関、保健所や医師会と連携したカンファレンスや訓練の実施を義務化しました。新興感染症の発生時には感染症患者を受け入れる体制が必要です。さらに平時からの対策強化として、同加算2、3や外来感染対策向上加算の医療機関に助言を行った場合などで、指導強化加算(30点)を上乗せで算定できます。

 今改定を契機に、高度急性期と一般急性期の機能分化はさらに進むと思われます。地域によっては病院の再編につながるかもしれません。リンクアップラボの酒井氏は、急性期充実体制加算の要件に「地域包括ケア病棟入院料を届け出ていない」「一般入院基本料などの病床数合計が9割以上である」が入っていることに注目しています。「高い実績要件を満たし続けるために、2つの急性期病院が合併して1つの大きな基幹病院となり、残った病院で地域包括ケアや回復期ケアを担う流れが出てくるかもしれない」と予測します。

4月号特集で先進的な医療機関の改定対策も紹介

 医療と介護の経営情報誌『日経ヘルスケア』4月号では、50ページに上る大ボリュームの総力特集「徹底解説! 2022年度診療報酬改定」で2022年度改定の内容を詳しく解説しています。

 特集では全体動向のほか、厚生労働省保険局医療課長のインタビュー、高度急性期入院、急性期入院、軽度急性期・急性期後入院、回復期入院、慢性期入院、精神医療、外来、在宅医療・訪問看護、オンライン診療、手術・処置等、救急・癌医療等、働き方改革、不妊治療・周産期の各項目について、改定内容を徹底的に取材しました。

 さらに先進的な医療機関が、今改定にどう対応しようとしているのか、新設加算の算定意向や経営に与えるシミュレーションなども取材しています。

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