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看護職等の賃金改善で思わぬ余波?
2022改定は楽観できず、一層の業務改善が必要

 2022年度診療報酬改定の議論が大詰めを迎えています。中央社会保険医療協議会(中医協)の議論の動向など最新のニュースに関してはシリーズ◎ウオッチ診療報酬改定でも詳しくお伝えしています。

 全体の情勢としては、決して楽観できない改定になりそうです。次期改定を巡っては、岸田政権が目玉政策として打ち出した看護や介護、保育職の処遇改善などが新たな調整要因として絡んでくるからです。看護職等の賃金改善に関しては、2022年9月末までは補正予算による対応、2022年10月以降は診療報酬での対応も視野に議論が進んでいます(関連記事:「看護師の処遇改善、基本診療料等での対応を巡り意見が対立」)。

 診療報酬で対応する場合、2022年度診療報酬改定において10月以降の賃金改善分を捻出するために何かを削らなければならない事態も考えられます。加算などの算定要件が厳格化される可能性もあるわけです。

 外部環境の厳しさが予想されるだけに、医療機関や介護事業所においては、法人の自助努力で業務改善やコスト削減に取り組む必要性が高まっています。医療・介護の経営情報誌『日経ヘルスケア』では2021年12月号の特集記事として「コスト削減・業務改善で生き残る」を企画しました。組織力を高め、ICT化を推進することでコスト削減・業務改善に取り組んだ成功事例や改革のポイントなどを解説しています。

業務改善で紹介患者の受け入れを迅速化

 医療法人一穂会・西山病院グループ(浜松市西区)では、2018年4月に地域連携センターを立ち上げ、紹介患者の受け入れを促進。紹介から入院・入所に至るまでの期間の短縮に乗り出しました。図1のように受け入れフローを改善し、紹介から入院・入所までの期間は以前の20日余りから約10日短縮させることに成功しました。

図1 西山病院グループにおける地域連携センター発足による入院受け入れフローの変化 ※クリックで拡大します。

 具体的には、紹介状が届いた際、以前は担当医師1人で週2回、患者の状態の確認や受け入れの判断などを行っていましたが、2人に増員して毎日実施するようにしました。併せて受け入れに課題がありそうな事例を中心に関連病棟の同意を得たり、入院入所判定会で審査するなど段階を踏んでいた流れを、医師や看護師が一堂に会する毎朝のミーティングで受け入れの可否を判定するようにしています。

 入院・入所予定者のアセスメントも、聞き取るべき項目を整理。入院・入所調整の頻度も増やし、以前は 1病棟で週2人程度の受け入れだったのを、同日に2人受け入れ可能な体制を整えました。空床状況もすぐ把握できるよう、院内ネットワークを通じて情報共有。電子カルテに入院・退院日の予定を入力すると自動的に反映されるほか、退院のめどが立った病床については色を変えて判別できるようにしています。

 業務改善の効果は病床等の稼働率の改善にも表れ。グループの平均病床稼働率は2014年度の94.6%から2020年度には98.0%へと上昇しています(図2)。

図2 西山病院グループ施設の平均稼働率の推移 ※クリックで拡大します。

医療材料費や給食委託費、保守費用などのコスト削減も

 同グループでは2018年度から、各施設が明確な目標を定めて安定した経営を実現するため、売り上げやコスト等の目標管理制度を導入。併せて、人材育成の仕組みを整備。チームワークなどの組織として活動する能力、各職種の専門的能力、同グループとして身に付けるべき能力ごとに研修システムを整備しました。「全職員が心地よく経営数値を意識し、個々の能力を高めながら、組織全体を発展させる」という目的意識に基づいています。

 グループ全体でのコスト抑制の効果も出ています。2018年以降、医療材料費や給食委託費などについて随意契約から相見積もりを取る競争契約に変更。紙おむつの購入費は6%強、給食委託費は7%弱、エレベーター保守費は50%弱引き下げることができたそうです。職員の採用に関しても既存職員からの紹介を推進し、人材紹介会社をほとんど利用しなくて済むようになり、紹介料の支払い負担が大きく減りました。

 コスト削減を実現した分は、職員満足度の向上などにも充てています。「ハッピーランチ」と称して全施設でギョーザパーティーなどを年数回開催したり、職員の昇給額を上げるといった施策を実施しているそうです。

 本特集ではこのほか、病院や介護老人保健施設の事務部門を統合することで、職員数を15人から半減させた事例などを紹介。介護では5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ))の徹底や事例発表会で改善活動を共有したことで水道光熱費を約1億円から6300万円と4割近く減らした事例、部門別採算管理手法の1つである「アメーバ経営」を導入したことで、残業時間を大幅に減らし、1時間当たりの職員の生産性を高めたケースなどを取り上げています。日経ヘルスケア12月号をぜひご覧ください。

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   MMオフィス 代表取締役
   渡辺 優 氏
   メディチュア 代表取締役
プログラム:
  「2022年度診療報酬改定の全体像」
  「高度急性期・一般急性期入院」
  「急性期後・回復期・慢性期入院」
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  (※改定内容等により変更になる場合がございます)

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日経ヘルスケア、1月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2022年1月号以降のラインアップを少しご紹介します。

ここまで進んだ! 医療機関の地域包括ケア 入退院支援や在宅医療を強化する医療機関が増加中!
負担増時代への備え 介護で一定以上所得者の自己負担割合がアップ、施設経営への影響は?
メディカルスタッフの採用・育成 技師や管理栄養士などを採用・定着を進める方法をステップ別に解説
高齢者住宅マーケットの最新動向と未来 外付け型モデルへの風当たりはどうなる? ホスピスケアを特徴としたホームも急増
これからのタスクシフト・タスクシェア 働き方改革はどう実現?
看護・介護の処遇改善最新事情 政府の看護師、介護職員の処遇改善策を受けて現場はどうなる?
決定! 2022診療報酬改定 2022年度診療報酬改定の内容を詳しく紹介!
          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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