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「なぜ面会できない!」患者・家族の不満をサービス改善につなげる
医療・介護クレーム、“トリアージ”のススメ

 「なぜ面会できないんだ!」「ワクチンを早く接種してくれ!」「どうしてPCR検査をしてくれないのか」──。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、医療機関や介護事業者は新たなタイプのクレームに対応する必要が出てきました。感染拡大に伴う不安などから、患者や家族が感情的に訴えるケースが増えているそうです。

 医療・介護コンサルティング会社の(株)ウィ・キャン(東京都港区)の代表取締役である濱川博招氏はクレーム対応のポイントについて、「傾聴・共感した上で現状を説明すること」を挙げています。「面会できないのは嫌ですよね。私もそう思います。ただ、クラスターが起きたら大変なことになります。だから、ごめんなさい……」などと応じるわけです。「興奮した気持ちを静めてもらうのが目的で、事情を説明しなくても解決することが少なくない」と濱川氏。最初から施設側の状況ばかり説明しては、感情的になっている当事者にはなかなか納得してもらえません。

 慢性期の西山病院(浜松市西区、158床)を中心に介護医療院や介護老人保健施設、通所系サービスなどを運営し、医療法人一穂会と社会福祉法人西山福祉事業団から成る西山病院グループでは、クレームの“トリアージ”に取り組んでいます。クレームや不平不満を共有し、現場で解決できるか、職場長が対応しないといけないか、施設やグループ全体で対処すべきかを、病棟であれば看護師長を中心に判断しています。解決しても看護部長などに報告し、課題が残っていれば改善に取り組む仕組みになっています。

「ガラス越し面会」を導入、好評得る

 COVID-19の流行期においては、長期間にわたり面会を中止している施設が少なくありません。そこで西山病院グループでは、静岡県独自の6段階のCOVID-19警戒レベルに合わせて面会の行動制限をまとめています(表1)。施設全体で統一した対応が可能になるほか、感染状況により面会できる範囲を明確にすることで患者や家族の理解を得やすくなります。患者や家族のワクチン接種の有無によっても細かく面会方法を規定しています。

表1 西山病院グループにおける面会の行動制限(原則)(提供:西山病院グループ) ※クリックで拡大します

西山病院グループでは、患者と家族とのガラス越しの面会を導入。当初の予想より来院する家族が多く好評を博している(提供:西山病院グループ) ※クリックで拡大します

 併せて、できるだけ患者や入所者と家族が顔を合わせることができる機会を設けました。オンライン面会は、COVID-19が流行し始めた2020年3月に導入。さらに一歩進んだ方法として「ガラス越し面会」を導入して好評だそうです。このガラス越し面会は携帯電話などで話しながら施設1階のガラス越しに面会する仕組み。西山病院では職員の負担等を考慮し、毎週水曜日と土曜日の14~16時に25分単位の4枠を設けて、面会者に事前に予約をしてもらっています。

 毎回全ての枠が埋まり、当面の予約はいっぱい。オンラインによる2次元の画面だけの面会より、実際に顔を合わせて話をしたいというニーズが高いことが改めて浮き彫りになりました。このほか同院では、面会できない分、手紙や入院明細書と一緒に患者の写真などを家族に送るといった取り組みをしています。

5つの新しい課題への対処法

 ウィ・キャンの濱川氏は、「クレームは解決するだけでなく、業務やサービスの改善につなげることが最も大事なところだ」と指摘します。サービスが向上すれば、クレームをした当事者の満足度は上がり信頼度も以前よりもアップ。業務の見直しにつながれば、職員の勤務環境の改善にもつながります。そのサイクルが、西山病院グループではうまく回っているといえそうです。

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』では、9月号特集「医療・介護リスクマネジメントの“新潮流”」として、今どきのクレームなどへの対応についてまとめました。患者や要介護者の命を預かる医療・介護業界では、様々なリスクマネジメントが求められます。そのトレンドは時代によって変化し、常にアップデートが必要。冒頭のCOVID-19の感染拡大に伴う感染対策の強化や、コロナ下特有のクレームへの対応などが不可欠になっています。

 本特集では「感染対策」「転倒リスクへの理解」「クレームへの対応」「カスタマーハラスメント対策」「BCP(事業継続計画)」の5つの新しいリスクマネジメントの課題について、対処法と先進的な事業者のケーススタディーを紹介しています。日経ヘルスケア9月号をぜひご覧ください。

日経ヘルスケア、10月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2021年10月号以降のラインアップを少しご紹介します。
その採用、育成方法で人は定着しますか? 医師や看護師、介護職、事務職など、職種別の採用トレンドを紹介
どうなるグループホーム 2021年度介護報酬改定で大きな規制緩和も
コロナ下の廃業トレンド コロナ禍で廃業を選ぶ医療機関も増加
徹底予測! 2022年度診療報酬改定 議論が始まった2022年度診療報酬改定。現時点の情報を基に次期改定の動向を予測!
5年後を見据えた訪問看護ステーション 中重度対応などのポイントを解説!

          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

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2022年度診療報酬改定の行方を考えるセミナー開催!

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2025年、さらにその先の病院の経営~2022年度診療報酬改定を見据えた戦略とは


2021年11月14日(日)10:00 ~16:00 開場 9:30(予定)
会場 東京・秋葉原 秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル2F)
受講料 5,000円(税込み)日経ヘルスケア定期購読者
   10,000円(税込み)一般の方
講師
・社会医療法人財団董仙会 理事長 神野 正博氏
・株式会社リンクアップラボ 代表 酒井 麻由美氏 ほか

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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