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7月14日の東京都の新規感染者数は1149人で第4波超え
東京五輪を控え「第5波」、医療逼迫は大丈夫か
重症病床の使用率は13.8%だが、「調整逼迫」の懸念高まる

 東京五輪の開幕を7月23日に控える中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大が止まりません。7月14日に発表された東京都の新規感染者数は1149人。25日連続で前週の同じ曜日を上回り、第4波のピークである5月8日の1121人を超えました。「第5波」入りの傾向がはっきりしてきています。

 年齢層別に見ると、20歳代が326人で最も多く、30歳代は214人、40歳代は209人、50歳代は140人でした。一方で65歳以上の高齢者は46人。ワクチン接種で先行する高齢者の感染は、ほかの年齢層に比べて少なくなっています。

 東京都のCOVID-19の入院中患者は7月14日時点で2023人。確保病床5882床に対する入院中患者の比率は34.4%です。東京で緊急事態宣言が解除された6月20日時点と比べて、入院中患者は1270人から2023人と59.3%増加しました(図1)。

図1 東京都のCOVID-19入院中患者と新規感染者の推移
※クリックで拡大します。 

緊急事態宣言の解除から重症者数は2割増

 一方、都の基準である人工呼吸器管理(ECMO[体外式膜型人工肺]を含む)を使用する重症者数は54人です。重症病床数392床に対する重症者数の割合は13.8%。重症者数は6月20日の45人から54人と20%の増加です。重症者の増加は感染者数の増加に遅れてやってくるとはいえ、感染者数の59.3%増という伸びに比べると増加ペースは比較的緩やかです(図2)。

図2 東京都のCOVID-19重症患者数の推移
※クリックで拡大します。 

 重症者の年齢層別の内訳を見ると、40歳代・50歳代の数が7月から急激に増えています(図3)。一方で60歳代は横ばい、70歳代以上は横ばいから微減という状況です。高齢者層でワクチン接種による重症化予防の効果が示唆される一方で、接種の本格化がこれからとなる40歳代・50歳代の重症者の急増が目立ちます。

図3 東京都のCOVID-19重症患者の内訳(年齢層別)
※クリックで拡大します。

入院調整が厳しくなる「調整逼迫」の傾向も

 東京の感染状況について、東京都医師会副会長の猪口正孝氏は7月13日の都医師会の会見で、「1日当たりの入院患者数が増え続け、入院調整が厳しくなり始めている」と述べました。東京都の入院患者数のうち、多くは中等症の患者とのことです。「軽症患者が宿泊療養や自宅療養となる現在の医療提供体制下で入院しているのは、基本的に病院でないと診れない患者だ」と猪口氏は説明します。

 そして、今後の医療逼迫の懸念について猪口氏は「医療逼迫には3種類ある」として、「調整の逼迫」「入院病床の逼迫」「重症病床の逼迫」について言及しています。「前週の同じ曜日に対する増加比が1.3倍という現在のペースが続くと、3週間後には約2倍になる。このままでは入院などの調整が逼迫しかねない。次に来るのは入院病床の逼迫だ。重症病床の逼迫については遅れてやってくるかもしれない。東京の感染状況が、年末年始の第3波を超えてくる可能性は十分にある」との見解を示しました。

最大の山場を迎えるコロナ対応

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は、2021年7月号で「新型コロナ患者に積極対応する病院・介護施設の“勝算”」という特集記事を掲載しました。本特集ではまず、なぜ大阪の第4波で“医療崩壊”と言われる現象が起きたのかを探りました。

 大阪では5月4日に重症者数が最大の449人に到達。一時は重症病床数の120%を超える事態に陥りました。変異株の流行で急速に重症化し、入院が長期化する患者が増加。重症病床が満床になり、軽症・中等症病床でも重症者を受け入れざるを得なくなりました。その結果、本来受け入れるべき軽症・中等症患者に対応しにくい状況となり、転院調整も難しくなるなど、医療提供体制が機能不全に陥っていった様子をリポートしています。

 そして病床逼迫を巡っては、「患者を受け入れようとしない民間病院のせいだ」という批判も見受けられましたが、実は積極的にCOVID-19患者や回復後患者を受け入れている民間病院・介護施設も少なくありません。こうした医療機関等がどのような戦略に基づき、どのような体制でコロナ病床を運営しているのかを取材しました。

 見えてきたのは、「コロナ患者への対応は社会的な要請に応えるだけでなく、病院などの収益向上策としても有用」という点です。国は手厚い補助金などで、COVID-19病床や回復後患者を受け入れる医療機関を支援しています。患者の受療行動がCOVID-19によって変化し、受診控えなどで減収に苦しむ医療機関も多い中で、コロナ対応をきっかけに補助金収入などが寄与して利益水準が回復したケースもありました。本特集ではコロナ対応が収入や利益に及ぼした影響など、経営指標の変化について詳しく掘り下げました。

 5月初めの大阪と現在の東京ではワクチン接種の進展も異なり、東京の重症病床が直ちに逼迫するような状況ではないと思われます。しかし、重症化のスピードが早い可能性があると指摘されている変異株ウイルス。東京五輪・パラリンピックの開催前後やお盆の帰省などで感染状況がどのように変化するかは予断を許しません。この難局を乗り切り、接種を希望する国民へのワクチン接種が完了するまで、新型コロナとの戦いは最大の山場を迎えているといえます。

日経ヘルスケア、8月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2021年8月号以降のラインアップを少しご紹介します。
医療・介護は「まちづくり」といかに関わるべきなのか? 医療・介護ニーズも大きく変化する将来を見据え、地域との関係性を深める方法を考える
どうなるオンライン診療 オンライン診療の最新動向と事例を多数紹介!
2021改定で脚光! 口腔・栄養・リハビリ最前線 先進事業者の取り組みに成功例を学ぶ
今の対策で大丈夫? リスクマネジメントの“新常識” 感染対策、転倒予防、BCP…多岐にわたる課題にどう向き合う?
今どきの廃業の傾向 コロナ禍で廃業を選ぶ医療機関も増加
5年後を見据えた訪問看護ステーション 中重度対応などのポイントを解説!
科学的介護システム「LIFE」完全対応 データ提出の方法や注意点は?

          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

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連載の紹介

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