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今どきの医療・介護の人事・労務問題
SNSなどでの職員の秘密漏洩、どう防ぐ?

2021/03/19

 今やすっかりSNS(交流サイト)はコミュニケーションのツールとして定着しました。しかし、もし、医療機関や介護施設の職員が、患者や入所者などの情報をSNSなどで外部に漏洩してしまったら、法人にとっては大きな問題に発展しかねません。

 SNSによる漏洩ではありませんが、過去の裁判例では、病院勤務の看護師が家庭内の夫との会話で入院患者の病状や余命などを話した結果、夫から患者の家族にその内容が伝わり、看護師を雇用する病院に損害賠償を命じられたケースもありました(福岡高裁2012年7月12日判決)。勤務時間や場所の内外を問わず、職員が職務上知り得た秘密を漏洩しないように監督する義務が病院にはあることを明確にした内容になっています。

 ひとたび情報漏洩が起きれば、雇用者である医療機関や介護事業者は損害賠償を求められるリスクが生じます。組織内部の不満に関しても、職員がSNSなどに書き込んだりすれば、地域での評判の低下などを招く恐れがあります。情報漏洩に対する予防策を講じておくことが欠かせません。

就業規則やSNS利用ガイドラインなどでの規定整備が重要に

 職員のSNS利用に関する規定については、就業規則で禁止事項などを明記したり、別途ソーシャルメディア利用ガイドラインを定めるなど、様々な方策があります。例えば就業規則では、禁止事項として法人および法人関係者に対する誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害などに該当する内容や、内部情報の発信などを禁止することを明示し、違反した場合は懲戒処分の可能性もあり得ると明記しておくといったポイントがあります。
 
 一方のソーシャルメディア利用ガイドラインは就業規則と異なり、業務命令には相当しません。しかし、ガイドラインとしてSNSを利用する際の留意事項や禁止される発信の具体的な内容などを整理して職員に周知すれば、より慎重な態度でSNSに投稿することが見込めます(図1)。

 また、問題になりそうな投稿を発見した場合は、トラブル発生時の相談窓口や担当者、調査や対処などの業務フローをあらかじめ用意しておくことが求められます。法的な問題に発展する可能性も考慮して、顧問弁護士や地域医師会、業界団体の弁護士などと協力体制を築くことも重要です。

図1 ソーシャルメディア利用ガイドラインに盛り込む項目例 ※クリックで拡大します

多様化する医療・介護の人事・労務問題

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』では、3月号の特集「医療・介護業界の人事・労務“8の大問題”」で、医療機関や介護事業所の人事・労務問題の最新の課題と対策についてまとめました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で疲弊した職員へのメンタルケアや、受診控え等による減収下での賞与等の原資確保など、人事・労務を巡る新しい問題が続々と出てきています。一方で医師の働き方改革同一労働同一賃金、パワハラなどのハラスメントなどへの対応も待ったなしの情勢です(図2)。本特集では、これらの人事・労務に関する8つの課題と対策について、実際の就業規則などの作成例などを含めて解説しています。(定期購読のご案内ページはこちら)。

 詳しい内容は日経ヘルスケア3月号をぜひご覧ください。

図2 多様化する医療・介護の人事・労務対応 ※クリックで拡大します

日経ヘルスケア、4月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2021年4月号以降のラインアップを少しご紹介します。

徹底分析 2021年度介護報酬改定 全サービスの改定内容を大ボリュームで詳しく解説する大特集!
医療機関にも「SDGs経営」のススメ 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」に基づいた経営に注目が集まる中、医療機関における先進的な取り組みを紹介!
医療・介護ニーズ減少時代の克服法 人口減少などで医療・介護ニーズの減少が見込まれる中、ダウンサイジングなどを含めてどう対応していくべきか?
イケてる事務職員の育成方法 医療機関の経営を任せることができる有能な事務職員はどう育てる?
今どきの開業の傾向 今、開業するクリニックの勝算はどこにあるのか?
          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

 ご興味があれば、定期購読の案内ページをご覧ください。

2021年度介護報酬改定の攻略法
サービス別に徹底解説!

2021年4月4日(日)13:00~18:00
※Zoomを使ったWeb配信セミナー(見逃し配信予定)

2021年度介護報酬改定では、新型コロナウイルス感染症への対応の評価や、要介護認定者の自立支援・重度化防止に資する情報の活用、業務効率化を念頭に置いたICTの推進、看取りの充実などが図られます。介護経営コンサルタントや有識者が、改定のポイントのほか、居宅・施設のサービスごとに介護経営への影響や展望を分析して、介護事業者・施設が取り組むべき対策を丁寧に解説します。

<講師>
小濱 道博氏(小濱介護経営事務所 代表)
近藤 国嗣氏(全国デイ・ケア協会 会長)
江澤 和彦氏(日本医師会 常任理事)
小嶋 達之氏(リフシア 常務取締役)

◆お申し込みはこちら

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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