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2021介護報酬改定を象徴する3つのキーワード
「科学的介護」「口腔、栄養、リハビリ」「自立支援・重度化防止」で読み解く

2021/02/19

 2021年度介護報酬改定の内容が明らかになりました。地域包括ケアシステムや医療・介護連携の推進など盛りだくさんな次期改定。特徴をあえて3つのキーワードで表せば、「科学的介護」「口腔、栄養、リハビリ(機能訓練)」「自立支援・重度化防止」になるのでは、と思っています。

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』では、2月号の特集「決定! 2021年度介護報酬改定」で、改定のポイントをカテゴリー別に解説しました。また主要改定項目をサービス別に読みやすく整理した13ページの参考資料も収載しています。(定期購読のご案内ページはこちら)。

改定の方向性は新設加算に表れる?

 筆者が医療・介護分野の駆け出し記者だったころ、厚生労働省の幹部や先輩記者などからは「改定の方向性は、新設加算に表れている」というアドバイスを何度か受けました。国が改定で重視していることや、どういう事業者になってほしいのかを端的に示しているからです。その観点から、上記3つのキーワードに関連した2021改定の代表的な新設加算を以下に挙げました。

・科学的介護:「科学的介護推進体制加算」(施設系サービス、通所系・居住系・多機能系サービス)
・口腔、栄養、リハビリ(機能訓練):「口腔・栄養スクリーニング加算」(通所系・居住系・多機能系サービス)、「栄養ケア・マネジメント未実施減算」(施設系サービス)
・自立支援・重度化防止:「自立支援促進加算」(施設系サービス、介護療養型医療施設を除く)

 科学的介護に関しては、改定の柱の1つである「介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進」として掲げられています。そして、事業所の入所者・利用者の基本的なデータ(ADL(日常生活動作)の値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他心身の状況)を厚労省に提出し、データベースを活用してサービス計画を確認するなど、PDCAサイクルを推進してケアの質を向上させる取り組みを評価する加算として、科学的介護推進体制加算が新設されます。

科学的介護情報システム「LIFE」始動へ

 単位数は40単位/月(施設系は加算I)として、施設サービスでは詳細な既往歴や服薬情報を提出・活用した場合に、加算(II)(60単位/月、介護老人福祉施設などでは50単位/月)を算定できます(表1)。

 さらに、利用者に関する上記の項目は、個別機能訓練加算口腔衛生管理加算栄養マネジメント加算など現行の加算の算定要件で作成を求める各利用者の計画書やケアの実施記録にも含まれます。これらの加算でも、データ提出とフィードバックの活用を要件とする区分を新設しています。

表1 科学的介護推進体制加算の概要 ※クリックで拡大します

 これらのデータ提出先として4月から運用が始まるのが、科学的介護情報システム「LIFE」(Long-term care Information system For Evidence)です(図1)。LIFEは介護老人保健施設などで既に運用されているリハビリテーションの質の評価データ収集に係るシステム「VISIT」、科学的介護データベース「CHASE」を一体的に運用するものです。

図1 「LIFE」を用いたPDCAサイクル推進のイメージ ※クリックで拡大します

データに基づき、自立支援・重度化防止を推進

 また、口腔、栄養、リハビリ(機能訓練)の取り組みの評価は、2021改定で様々なサービスで盛り込まれます。通所介護や通所リハビリなどの通所系サービス、小規模多機能型居宅介護などの多機能系サービス、特定施設入居者生活介護などの居住系サービスでは、介護職員等による口腔スクリーニングの実施を新たに評価する口腔・栄養スクリーニング加算が新設されます(表2)。利用開始時や6カ月ごとに利用者の口腔の健康状態や栄養状態について確認し、情報をケアマネジャーに提供している場合などが要件です。

 施設サービスでは現行の口腔衛生管理体制加算と栄養マネジメント加算が廃止され、基本報酬に包括化されます。包括化するということは、基本サービスとして提供することを求めることを意味します。特に栄養ケア・マネジメントに関しては、栄養ケア・マネジメント未実施減算(14単位/日)を新設するなど、推進する姿勢を強く打ち出しています(3年間の経過措置期間あり)。

表2 口腔・栄養スクリーニング加算の概要 ※クリックで拡大します

 そして、「自立支援促進加算」(300単位/月)は、介護療養型医療施設を除く施設サービスに新設されます。入所者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきり防止などの観点から、定期的な医学的評価や自立支援に係る支援計画等の策定などが算定要件になっています。日中の離床などを促し、生きがい支援につなげていくことを評価する加算です(表3)。

 この3つのキーワードや新設加算からは、高齢者の自立支援・重度化防止という制度の目的に沿って、サービスの質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられたリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みを連携・強化するとともに、寝たきり防止などの重度化防止の取り組みを推進していくという2021改定の方針が見て取れます。

 改定の詳しい解説は日経ヘルスケア2月号をぜひご覧ください。

表3 自立支援促進加算の概要 ※クリックで拡大します

日経ヘルスケア、3月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2021年3月号以降のラインアップを少しご紹介します。

医療・介護の人事労務「8の大問題」 新型コロナ禍で変わる課題と対策
患者の「もしもの時」について話そう 新たな看取りの在り方を考える
今どきの開業の傾向 今、開業するクリニックの勝算はどこにあるのか?
徹底分析 2021年度介護報酬改定 全サービスの改定内容を詳しく解説!
イケてる事務職員の育成方法 有能な事務職員はどう育てる?

          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

 ご興味があれば、定期購読の案内ページをご覧ください。

2021年度介護報酬改定の攻略法
サービス別に徹底解説!

2021年4月4日(日)13:00~18:00
※Zoomを使ったWeb配信セミナー(見逃し配信予定)

2021年度介護報酬改定では、新型コロナウイルス感染症への対応の評価や、要介護認定者の自立支援・重度化防止に資する情報の活用、業務効率化を念頭に置いたICTの推進、看取りの充実などが図られます。介護経営コンサルタントや有識者が、改定のポイントのほか、居宅・施設のサービスごとに介護経営への影響や展望を分析して、介護事業者・施設が取り組むべき対策を丁寧に解説します。

<講師>
小濱 道博氏(小濱介護経営事務所 代表)
近藤 国嗣氏(全国デイ・ケア協会 会長)
江澤 和彦氏(日本医師会 常任理事)
小嶋 達之氏(リフシア 常務取締役)

◆お申し込みはこちら

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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