日経メディカルのロゴ画像

医療・介護セクターのCOVID-19感染者は1万2700人超に
冬を迎えて大型化するクラスター

2020/12/18

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の勢いが衰えません。全国では12月17日、新規陽性者数が約3200人となって過去最多を更新。東京都では17日、822人の感染者を確認し、16日の678人を150人近く上回って過去最多を更新しました。ちょうど1カ月前の11月18日、全国の新規陽性者数は2179人(厚生労働省調べ)でしたから、1カ月で約1000人増えました。

 日経ヘルスケアでは自治体や各施設の発表、報道などを基に、医療・介護・障害福祉分野に従事する職員の感染状況や、院内・施設内感染と思われる患者・入所者の数などを継続的に集計してきました。12月16日時点の集計値(速報値)では、これまでCOVID-19陽性になった職員は計5640人以上を数えています(表1)。院内・施設内感染と思われる患者・利用者等は7080人以上で、合計1万2720人以上に上りました。

表1  医療・介護・障害福祉従事者におけるCOVID-19陽性者数の推移(日経ヘルスケア調べ、カッコ内は全COVID-19陽性者に占める割合) ※クリックで拡大します

 厚生労働省のデータによると、国内のCOVID-19の検査陽性者の累計は、12月16日時点で18万4042人。この陽性者数のうち、医療・介護・障害福祉の従事者が占める割合は約3.1%。患者・利用者等が占める割合は約3.8%で計6.9%です。つまり、日本のCOVID-19陽性者の7%ほどが医療・介護・障害福祉セクターで発生している計算です。

 ただし、ほぼ1カ月前の11月18日時点と比較すると、医療・介護・障害福祉セクターの陽性者数は増えているものの、構成比に大きな変化はありませんでした。全体の陽性者数が減らない限り、同様の傾向が続く可能性が高いといえます。

200~300人規模のクラスターが北海道で相次ぎ発生

 集計作業の中で実感しているのは、「冬のクラスターは今までと違う」という点です。急速に感染拡大し、短期間で非常に大規模になるケースが目立ちます。JA北海道厚生連・旭川厚生病院(北海道旭川市、539床)で発生したクラスターは、11月22日に看護師1人の感染が明らかになった後、12月17日16時時点で296人(職員等115人、患者等181人)になりました。3月に発生した永寿総合病院(東京都台東区)の214人(職員等83人、患者等131人)を超え、国内最大となっています。

 医療法人慶友会・吉田病院(北海道旭川市、263床)では、11月6日に職員1人の感染が確認された後、12月17日までに計207人(職員58人、患者130人、非公表16人、北海道発表3人:旭川市調べ)となっています。看護師などが感染して自宅待機などを余儀なくされ、病棟運営が窮地に陥りました。自衛隊に応援を要請し、陸上自衛隊から5人の看護官が派遣され、支援に当たっています。

 札幌市では医療法人タナカメディカル・札幌田中病院(札幌市手稲区、334床)で11月半ばに発生したクラスターが、12月15日時点で221人(職員等60人、患者等161人)という規模になっています。北海道で200~300人の大規模クラスターが連続している傾向は、今までとは明らかに違い、冬季クラスターのすさまじさと発生後の感染制御の難しさがうかがえます。

第1波・2波の経験を生かす動きも

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は12月10日発行の2020年12月号で、第3波への備えを特集「新型コロナ、『冬の陣』」で紹介しました。過去にクラスターが発生した医療機関・介護施設などがどのような教訓を得て、今冬を乗り切るための備えをしているかなどについて紹介しています。

 第1波や第2波の経験を生かす動きも出てきました。社会福祉法人札幌恵友会の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」(札幌市北区)は、介護職員2人と看護師1人を札幌市で発生したクラスター対応の応援職員として派遣しました。支援先は札幌市南区の社会福祉法人前田記念福祉会・特別養護老人ホーム「ドリームハウス」。職員派遣のきっかけは、茨戸アカシアハイツの対応に当たったDMAT(災害派遣医療チーム)の医師がドリームハウスにも派遣され、その医師からの要請を受けたことでした。

 茨戸アカシアハイツは2020年4月にクラスターの発生を経験しています。入所者71人、職員21人が感染。うち入所者17人が死亡しました。この経験を教訓に、同法人では全ての関連施設で(1)災害発生時の組織体制の見直し、(2)非常時の勤務体制の検討、(3)施設内感染発生時のゾーニングと入所者の動線確認、(4)感染症標準マニュアルの作成──などを行いました。

 10月には、同法人の複数の関連施設でCOVID-19陽性者が発生しました。その際は、自身も感染を経験した茨戸アカシアハイツの職員が応援に入り、感染の封じ込めに成功しています。こうした教訓を生かし、他施設へも派遣することになったのです。札幌恵友会理事の鶴羽佳子氏は「様々な人の協力でアカシアのクラスターを収束させることができた。さらにゾーニング方法などその後の備えについても正しい知識を教えていただいた。壮絶な経験を一緒に乗り越えた医師と地域に恩返しをしたいという職員の強い思いがあり、管理職の多くが支援に手を挙げた」と語ります。

 ドリームハウスでは11月6日に介護職員1人の感染が判明した後、計114人(入所者86人、職員28人)まで感染が拡大しましたが、11月27日を最後に施設内で新たな陽性者は発生しておらず、12月12日に収束宣言を出しました。

 詳しくは日経ヘルスケア12月号をぜひご覧ください。

日経ヘルスケア、1月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2021年1月号以降のラインアップを少しご紹介します。

医療・介護現場で広がるデジタルトランスフォーメーション(DX) 集患や業務効率化に役立つDXはどう進める?
決定目前! 2021介護報酬改定 介護報酬改定の議論もいよいよ大詰め
個性いろいろ高齢者住宅 付加価値の高いサービスで差をつける!
再始動なるか? 地域医療構想 議論が再開に向かう地域医療構想。コロナ対応を踏まえたポイントは?
新型コロナも影響! 人事・労務トラブル2021 新型コロナを踏まえた人事・労務トラブルへの対策決定版!
患者の「もしもの時」について話そう 新たな看取りの在り方を考える
今どきの開業の傾向 今、開業するクリニックの勝算はどこにあるのか?
徹底分析 2021年度介護報酬改定  全サービスの改定内容を詳しく解説!
イケてる事務職員の育成方法 有能な事務職員はどう育てる?

          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

 ご興味があれば、定期購読の案内ページをご覧ください。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ